
2024年からアメリカのロチェスター工科大学で教鞭をとるコフィ・バゼルスミス氏。なんと、日本のマンガを実践的に描く技術を教えている。
コフィ氏にはさらにもう一つの顔も。マンガを描くだけでなく、プロのボクサーでもあるのだ。なぜプロボクサーでもあるコフィ氏が、アメリカで日本のマンガ技術を教えることになったのだろうか。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、“異色の経歴”を持つコフィ氏にその理由を聞いた。
コフィ氏の原点には幼いころに見た、あるアニメの影響があったという。
「5歳くらいの時にテレビで『ドラゴンボール』を見ちゃった。その後自分の部屋で見よう見まねで描き始めたが、マンガやコミックスがどういったものか当時は何も知らなかった。ただ、いろんなシーンやキャラクターをずっと描いていたのでお父さんがそれに気づいて、日本のマンガを買ってくれた」(コフィ・バゼルスミス氏、以下同)
子どものころから絵を描くことに加え格闘技が好きだったコフィ氏。『ドラゴンボール』がもたらした衝撃は大きく、アニメを見てはイラストを見よう見まねで描き続けたという。
その後、成長したコフィ氏は大学に入学するが、好きなボクシングでプロを目指そうと思い立ち、19歳の時に大学をやめてしまう。
そこで、「日本のアニメというものが好きだろうから、日本語を勉強したらどうだとお父さんが言った。すごく気になって、挑戦が好きだから、勉強し始めた」。
父親の勧めで日本語を学んだコフィ氏。アニメ好きも功を奏したのか、日本語はめきめき上達。その後、お金を貯め27歳のとき人生で初めて日本を訪れた。
日本で“レジェンドマンガ家”と交流!?

語学学校と並行してボクシングジムでも日本語を学び続けたコフィ氏に、ある転機が訪れる。
「語学学校で特別なマンガストーリーテリングの授業があり、日本のマンガの基礎について学んだ。自分が今まで描いていたマンガは日本のマンガに似ているだけのものだと気づいた。例えば起承転結や日本のマンガの特徴的なコマ割りなど何も知らなかったので、その授業で全部学んだ」
将来、プロのマンガ家になることも夢見ていたコフィ氏。これまで知らなかった日本のマンガ技術を学び、アメリカに帰国後、マンガの技術を教えるワークショップを開き始めた。
さらに、コフィ氏が心血を注いできたボクシングがテーマの『あしたのジョー』の作者で、日本のレジェンドマンガ家・ちばてつや氏とも交流が生まれたという。ちばてつや氏はコフィ氏の作品を丁寧に見て多くのアドバイスをくれたという。コフィ氏はこの時の経験を「心に残った経験だった」と振り返る。
その後アメリカの大学でマンガ技術を教える立場になったコフィ氏は、この夏には自分の学生18人を日本へ引率し、関西外国語大学の学生との10日間の交流も実現した。全員が日本の漫画や日本の文化を勉強し、16ページの読み切り漫画も執筆したという。
ペンと拳で好きなことを貫き続け、日本とアメリカの架け橋となってきたコフィ氏。今後の社会とのつながり方など、将来の展望について、コフィ氏は以下のように語った。
「実は漫画を教えるだけでなく、自分の作品や展示で、漫画や異文化交流について発表している。(漫画をきっかけに)他文化を深く勉強すれば平和につながると考えている」
(『ABEMAヒルズ』より)

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