
最新モデルが目の前に……
7月10~13日にかけて、英国でグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードが開催された。今年の欧州自動車業界におけるハイライトの1つとなりそうだ。
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アストン マーティン、マクラーレン、ベントレーといった英国のブランドだけでなく、BMW、ホンダ、ヒョンデなど、世界各地から数多くのメーカーが集まり、最新モデルの展示を行った。今回はその中から、特に注目すべきモデルを前後編に分けて42台紹介したい。
アルピーヌA110 Rウルティム
アルピーヌA110の生産は来年をもって終了する予定で、このウルティムが最後のモデルとなる。最高出力は350ps(既存のRより50psアップ)で、標準のトランスミッションの許容限界を超えるため、新しい6速ユニットが採用されている。カーボンファイバーを随所に使用し、車両重量を1120kgに軽量化。アグレッシブなエアロパーツも装備している。英国価格は27万6000ポンド(約5500万円)からで、生産台数は110台限定。フェスティバル・オブ・スピードは、このモデルが全力で走るところを生で見るチャンスだった。
なお、日本では6月12日から7月27日まで注文を受け付けており、価格はA110 Rウルティムが4200万円、特別仕様車のA110 Rウルティム ラ・ブルーが5200万円からとなっている。
アルピーヌA290ラリー
アルピーヌの電動ホットハッチ、A290のラリー仕様モデル。リミテッド・スリップ・ディファレンシャル、大型ブレーキ、ハイドロリックハンドブレーキを採用し、観衆を楽しませるために外付けスピーカーも装備されていた。
アルピーヌA390
ポルシェ・マカンへの対抗馬となるアルピーヌの新型A390が、フェスティバル・オブ・スピードで英国デビューを果たした。来年発売予定で、価格は6万ポンド(約1200万円)程度からとなる。3モーターのパワートレインとトルクベクタリングを採用し、スポーツカーのA110の俊敏性を再現しているという。
アルピーヌ・アルペングローHy6
水素燃焼のデモカーで、最高出力750psを発生する3.5L V6ツインターボの水素エンジンを搭載している。その最大回転数は9000rpmに達する。
アストン マーティンDBX S
アストンの高級SUVであるDBXの、パフォーマンス重視の新モデル。最高出力727psという驚異的なパワーで、フェラーリ・プロサングエを凌駕する。グッドウッドのファースト・グランス・パドックでは実車を見ることができた。
アストン マーティン・ヴァルハラ
フェスティバル・オブ・スピードは、1079psを誇るアストン マーティンの最新ハイパーカーが故郷で走る姿を目にする貴重なチャンスとなった。ヴァルハラの生産はまもなく開始される予定だ。
アウトモビリ・ミニャッタ・リナ
このイタリア製の2シーターは、1960年代のスポーツカーへのオマージュとして開発された。印象的なスピードスターボディに、自然吸気の5.0L V8エンジン、マニュアル・トランスミッションを採用している。
ベントレー・ベンテイガ・スピード
ベントレーのラグジュアリーSUV、ベンテイガのハイパフォーマンスモデル。従来のW12エンジンから新しい4.0L V8ツインターボエンジンに換装されている。最高出力650ps、最大トルク86.7kg-mで、0-100km/h加速3.4秒を誇る。
BMW M2 CS
BMWのジュニアスポーツカーが、コンペティション・スポーツ(CS)仕様となって登場。最高出力500ps(通常のM2より50ps強力)と最大トルク66.2kg-mを発揮する。カーボンファイバーを多用することで、車両重量を1700kgに抑え、0-100km/h加速を3.8秒で達成する。顧客への納車は、夏の終わり頃に開始される予定だ。
BMWコンセプト・スピードトップ
昨年に強烈な印象を残したコンバーチブル『スカイトップ』が、流線型のシューティングブレークに生まれ変わった。幸運な少数のBMW愛好家のために限定生産される予定だ。BMWグループのデザイン責任者、エイドリアン・ファン・ホーイドンク氏によると、このモデルは「現在のモデルとは意図的に対照的な存在」として考案されたという。誰かのコレクションに収められてしまう前に、実物を見る唯一のチャンスとなったかもしれない。
BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス
4基のモーター、ダウンフォースを生み出す5つのファン、1835kg-mものトルク……。ビジョン・ドライビング・エクスペリエンスは、EV時代におけるドライビングの楽しさを表現したBMWのマニフェスト的存在だ。同社のパフォーマンスモデルは引き続き後輪駆動に重心を置き、従来よりも10倍速く反応する制御エレクトロニクスを採用している。
ボーフェンジーペン・ザガート
アルピナの創設者一族であるボーフェンジーペン家が、新しいコーチビルディング会社を設立し、その最初のモデルが『ザガート』となる。BMW M4をベースに、デザイン会社のザガートがスタイリングを手掛けた。最高出力611psと最大トルク71.3kg-mを発揮し、0-100km/h加速は3.3秒、最高速度は300km/h以上とされる。
カラム・ウッド&ピケット・ミニ
元ジャガーのチーフデザイナー、イアン・カラム氏がミニのレストモッドを手掛け、ロンドン市内を疾走するホットハッチに仕上げた。フェンダーが広くなり、ディープディッシュホイールが装着され、Aシリーズエンジンは1310ccに排気量アップされている。これにより最高出力112psを発揮し、強化トランスミッションの装着が必要になった。
デンツァB5
BYDの高級ブランドであるデンツァ(騰勢、Denza)から、ランドローバー・ディフェンダーに対抗する新モデル『B5』が登場。4WDのボディオンフレームに合計出力686psのプラグインハイブリッド・パワートレインを搭載し、フェスティバル・オブ・スピードではヒルクライムに挑戦した。販売は来年から開始予定だ。
デンツァZ9 GT
欧州におけるデンツァの初陣を飾るのが、シューティングブレイクのZ9 GTだ。合計出力870psのプラグインハイブリッドと、965psのバッテリーEVの2種類が用意されており、ポルシェのパナメーラやタイカンと競合することになるだろう。
フェラーリ296スペチアーレ
フェラーリが「史上最も楽しく、エモーショナル」と謳う296スペチアーレ。従来のGTBから数々のアップグレードが施されており、出力は50ps向上、ダウンフォースは20%向上、車重は60kg軽量化された。これには、新型ハイパーカーのF80から移植されたアルミニウム製ピストンやチタン製コネクティングロッドなどの部品が寄与している。
フェラーリ・アマルフィ
新型アマルフィはローマの後継車で、新鮮なデザインと扱いやすいパフォーマンスを約束している。グッドウッドでは初めて一般公開された。
フェラーリF80
ラ・フェラーリの後継となるF80は、ほぼル・マン・ハイパーカーと言える仕様で、同社の499Pレーサーからコンポーネントを流用し、最高出力1200psを発揮する。価格は300万ポンド(約6億円)、799台限定ですでに完売している。グッドウッドのヒルクライムでは豪快な走りを披露した。
GMA T33
ゴードン・マレーは以前、グッドウッド・メンバーズ・ミーティングでT33を初公開したが、今回、一般の人々もようやく実車を目にすることができた。価格は137万ポンド(約2億7000万円)からで、既存のT50よりも実用性を重視したモデルとして位置付けられている。自然吸気V12エンジンを搭載し、615psを発生、最大回転数は1万1100rpmに達する。生産台数は100台限定だが、スパイダーや、サーキット向けのT33 Sなどの派生モデルも発売される予定だ。
GMA T33スパイダー
前述のクーペモデルよりわずかに18kg重いT33スパイダーは、タルガスタイルのルーフとロールバー上部のエアインテークスクープにより、直感的なドライビング・エクスペリエンスを実現しているという。フェスティバル・オブ・スピードで初めて一般公開された。
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