
日々の暮らしではなかなか見えてこない「超富裕層」の世界。彼らはどんな場所に住み、どんなネットワークを築き、そしてどのような投資機会に触れているのでしょうか。資産5億円超のオーストラリアの超富裕層の暮らしと、彼らだけが手にしていた“特別な投資機会”を紹介します。Keyaki Capital株式会社代表取締役CEOの木村大樹氏が解説します。
資産5億円超の「超富裕層」だけにある“特別な選択肢”
資産5億円を超える「超富裕層」──彼らの暮らしには、一般的な富裕層からは見えない、特別な選択肢が存在します。
たとえば、オーストラリア・シドニーの東部に位置するヴォークルーズ(Vaucluse)やベルビュー・ヒル(Bellevue Hill)は、同国屈指の高級住宅地。この地域には、プライベートジェッティ※を備えた邸宅が立ち並びます。
※ プライベートジェッティ:自宅の敷地から海や湾へ直接伸びる“個人専用”の桟橋。
実際、ベルビュー・ヒルはオーストラリア郊外のなかでもっとも住宅価格の中央値が高いと報じられ(2024年時点)、その価格は約1,000万豪ドル(約10億円)に達しています※。このような物件は不動産サイトに掲載されることもなく、限られたネットワークのなかで静かに売買が行われます。
※ THE NEWDAILY: Why prices in the most expensive suburb in Australia dropped in 2024
こうした“非公開”の世界は不動産だけにとどまらず、食事、旅行、教育、医療、そして投資──あらゆる分野において、超富裕層だけがアクセスできる“隠れた選択肢”が存在しているのです。
クルージングも「投資チャンス」のひとつ
シドニーの東部沿岸──ダブルベイ(Double Bay)やローズベイ(Rose Bay)といったエリアには、数億円を超えるヨットやクルーザーが並ぶ風景が広がっています。
波音のなかでスパークリングワインを片手に談笑する人々のなかには、オーストラリアの超富裕層たちの姿も。彼らはマリーナ※を“レジャー”としてだけでなく、“ネットワーキング”と“投資機会発掘の場“としても活用しているのです。
※ マリーナ:ヨットや小型船を泊めておく、小さな港や水域(の施設)。
あるオーストラリアの運用会社が提供するマリーナ投資ファンドでは、こうした超富裕層に向けて招待制のイベントが開かれています。
2時間程度の利用で200万円相当かかるチャータークルーザーで海に出て、ランチを取りながらファンドマネージャーと直接対話する──海上での説明会と質疑応答を経て、なかにはその場で出資意思を表明する方も。映画のワンシーンのような投資機会が、現実に存在するのです。
「特権」はいまや、超富裕層だけのものではない
環境規制による供給制限や高い参入障壁、分散化された運営体制が他にはない収益特性を生み出していることから、いま「マリーナ投資」に注目が集まっています。
主たる収益である停泊料・保管料は長期契約に基づくため、リターンは極めて安定的です。また、レストラン・修理・燃料供給といった付帯収益もあり、昨今の地政学的な要因で大きく変動する株式市場とは一線を画します。
このような投資機会は、一見すると選ばれた者だけの特権に思えるかもしれません。しかし、かつては機関投資家や超富裕層だけのものだった投資対象も、時間とともに一般投資家にも門戸は開かれていくものです。
オーストラリアの超富裕層だけが手を伸ばしていたアセットへの投資も、国内からアクセス可能になってきているのです。
超富裕層の“先行体験”が、富裕層、そして一般投資家へと降りてくる──その過渡期に、私たちは立っています。

木村 大樹
Keyaki Capital株式会社
代表取締役CEO

コメント