松本洋平・自民党政調副会長

 20日に投開票を迎える参議院選挙。『ABEMA Prime』は政党研究を実施し、今回は「自民党」をピックアップした。

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 いわずと知れた現在の政権与党。長年にわたって日本の政治をリードし続けてきたが、去年の衆院選では“大敗”。「少数与党」となった自民党は国民の支持を取り戻せるのか。松本洋平・自民党政調副会長に聞いた。

■自民党に聞く"10の質問"

 まずは、各党共通の10個の質問を聞いた。

Q1.党が一番大事にする理念は?
 「政治は国民のもの」という理念がある。また、保守政党として、伝統や文化に根ざした施策を進めていくと同時に、守るべきものは守り、変えていくものは変えていく、進歩的政党としても位置づけられると考えている。

Q2.今回の選挙で一番の推し政策は?
 強い経済で豊かな暮らしをつくること。

Q3.党を推している人たちにはどんな人が多い?
 我々は国民政党を自認している。どこかの団体に偏ったりはなく、広く国民の皆さんに支持をいただいていると考えている。

Q4.世間のイメージの認識は?どんな党だと思われている?
 安定や信頼があろうかと思うが、一方で、一般的な常識からかけ離れているところがあるのではないか、という批判も多くあると承知している。

Q5.党として勘違いされている、誤解されている点はある?
 今回の参議院選挙でも様々な政策に対する議論が行われている。これまでの間、物価高対策などを打ってきたが、なかなかそうした実態が国民の皆さんに伝わっていない、またご理解いただいていないということで、強い批判をいただいていると承知している。

消費税めぐる各党のスタンス

Q6.ネットのアンチに思うことは?
 いろいろなご意見があるのは当然で、健全なことだと思う。その違いをしっかりと乗り越えて、皆さんのご理解を得ていく、そして作り上げていくことが、大変重要だと思っている。

Q7.現時点の情勢調査の受け止めは?
 大変厳しいと言われている。ひたすらに政策をしっかりと皆さんにお伝えしていきたい。

Q8.政策的に一番近い党、手を組める党は?
 これまで公明党とは連立与党を組みながら、政権を運営してきた。加えて、昨年の衆議院選挙以来、国民民主、日本維新の会、また立憲民主党とも協議させていただき、昨年の臨時国会において、補正予算は国民民主と日本維新の会にご賛成をいただいた。

Q9.絶対に組めない党はある?(アリ・ナシで)
 あると思う。やはり国の基本である外交や安全保障で相容れないところとは、なかなか一緒にやっていくのは難しいと思っている。

Q10.メディアに言いたいことは?
 正しい情報をしっかりとお伝えすることは極めて重要であり、民主主義の基本だと思う。我々の情報発信をメディアが解説し、国民の皆さんにわかりやすくお伝えいただく、大変重要な役割を果たしていただいている。

■“GDP1000兆円実現”にパックン「“今回はやる”と国民にどうアピールできるのか」

 自民党は「責任政党3つのビジョン」として、強い経済(GDP1000兆円を実現、国民の所得を5割増に!)、豊かな暮らし(強力な物価対策と持続的な賃上げを実現!)、揺るぎない日本(世界の中心で輝く国に!)を掲げている。

 松本氏は「日本はずっとデフレに苦しんできた。さらに今の物価高に対して、国民生活をどう下支えしていくかは極めて重要なテーマで、今回の公約の中に盛り込んでいる。また、GDP1000兆円を実現という目標は、決して今の延長線上にあるのではない。中・長期的に人口減少、少子高齢化で社会の構造が大きく変化していく中で、デジタルやAIなど新たな技術を実装し、活用していく。同時に、成長分野に人やお金を配分し、高付加価値な国にしていく改革も重要だ」と説明。

自民党“強い経済”(抜粋)

 GDP1000兆円の実現は2040年を目指すという。これにパックンは「現実的な目標だと思う。今600兆円ぐらいなので、3%ずつ増えていけば15年程度で1000兆円になる」との見方を示しつつ、「過去30年にチャンスはあったわけで、“今回は違う。ちゃんとやるよ”と、責任政党としてどう国民にアピールできるのか。石破政権で何が違うのかを教えていただきたい」と尋ねる。

 これに松本氏は、「これまでの政策が100点満点だったかと言えば、決してそうではない。安倍政権でデフレからの脱却を旗頭に掲げ、様々な政策を打ってきた。その流れを引き継ぎつつ、岸田政権は新しい資本主義として政策を付け加え、石破政権ではさらなる高みに上げていこうと取り組んでいる。石破総理といえば地方創生が非常に売りで、今回の公約にも企業城下町を全国に作り、東京だけでなく地方も含めて底上げをしていくということも挙げている」とした。

■茂木健一郎氏「“ポピュリズム的なこと言っちゃおう”という誘惑はないのか」

 消費税をめぐる各党のスタンスを見ると、自民党のみが「減税ではなく給付」と、減税を否定している。これに松本氏は、「党内でもいろいろな意見があり、様々議論をしてきた。物価高対策として何をするのが一番いいかを考えた時、消費税はどうしても時間がかかるし、1年など年限を区切って下げても、その後また上げる時に混乱が生じるだろう。令和7年の消費税の税収は24.9兆円で、所得税法人税よりも多い一番大きな税収見込みになっている。一方で、社会保障費が増大を続けている中、物価高対策として消費税を引き下げていいのだろうかと。今困っている人たちにできる限り早く支援を届けるには、給付が一番いいのではないか」と述べる。

石破総理「消費税減税はNO」

 一方、脳科学者の茂木健一郎氏は、「松本さんのお話は理知的だし、すごく緻密に考えられていることは伝わってくる。ただ今回の選挙、各所の情報を勘案すると、かなり自民党は苦しいと言われている。一方で、対立している党はポピュリズム的な政策を出してきている。自民党はなぜそこで痩せ我慢をしているのか、“ポピュリズム的なこと言っちゃおう”という誘惑はないのか」と投げかける。

 共同通信情勢調査(13日、14日実施)によると、自民党は選挙区と比例区で40議席を確保できるかどうかで、比例は過去最低の12議席もありえると指摘。自公で過半数維持(50議席以上)は“微妙”だとされている。

 松本氏は、茂木氏の投げかけに「そこはある意味、自民党の矜持だと思う」と答えた上で、「本当に厳しい予測が出ている。ただ、我々は責任ある政策として、政策を1人でも多くの皆さんにご理解いただけるようにお伝えしていくということに尽きる」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

パックン「“石破政権はちゃんとやるよ”と、どう国民にアピールできるのか」 “厳しい参院選”、自民・松本洋平政調副会長に聞く