
20日に投開票を迎える参議院選挙。『ABEMA Prime』は政党研究を実施し、今回は「社民党」をピックアップした。
前身は1945年に創設した「日本社会党」。1986年には土井たか子氏が委員長に就任すると、初めて女性が党のトップとなり話題に。1989年の参院選では女性候補者を次々と擁立し、日本に空前の「マドンナ旋風」を巻き起こし大勝、自民党を過半数割れに追い込んだ。
その後の新党ブームの中、1993年には細川政権で与党入り。翌年には「自民・さきがけ・社会」の連立政権で、当時の社会党トップ村山富市氏が総理の座に就くこととなった。しかし、村山氏が自衛隊を合憲と認めるなど、社会党の政策を大きく転換。これにより
、党の求心力が一気に低下する事態に。立て直しを図った1996年、現在の「社民党」に改名するも、所属議員が次々と離党。2003年以降、福島みずほ氏が党を率いているが、現在は衆議院1議席、参議院2議席のみ。この参院選はもはや、党の存亡を賭けた戦いなのだ。
かつての力を取り戻す、起死回生の一手はあるのか。福島氏に聞いた。
■社民党に聞く"10の質問"
まずは、各党共通の10個の質問を聞いた。
Q1.党が一番大事にする理念は?
平和・共生・平等・自由、この4つを掲げている。
Q2.今回の選挙で一番の推し政策は?
社会保障費。“あなたの社会保険料を半額にします”ということを打ち出している。
Q3.党を推している人たちにはどんな人が多い?
平和を愛する、平和が大事と思う人。そして、女性が多く、若い人もいる。人権が大事だと思う人たちが推してくれていると思う。

Q4.世間のイメージの認識は?どんな党だと思われている?
党首、副党首が女性なので、やはり“女性の味方”と思われていると思う。がんこに平和、暮らしが一番、というふうに考えられている。
Q5.党として勘違いされている、誤解されている点はある?
古い政党だと思われるが、新しい政党でもある。選択的夫婦別姓は50年前に請願を受け付けして、同性婚を公約に掲げたのは2004年。最近議論になっているようなことを前からやっている、ある意味新しい感覚の新しい政党だと言いたい。
Q6.ネットのアンチに思うことは?
真摯に受け止めたいと思う。しかし、誹謗中傷は許さない。
Q7.現時点の情勢調査の受け止めは?
これから上がっていくしかない。
Q8.政策的に一番近い党、手を組める党は?
立憲民主党、共産党、れいわなど。
Q9.絶対に組めない党はある?(アリ・ナシで)
ある。
Q10.メディアに言いたいことは?
もっともっと社民党のような考えや、社民党を取り上げてほしい。
■「“リブート(再起動)社民党”。これから面白い政党になる」
社民党の考えについて、福島氏は「憲法の価値を生かしていく政党。大企業が潤えばいいという新自由主義ではなく、社会民主主義。資本主義の中で、どう公平性を保ち、みんなをハッピーにできるか。イメージ的には、北欧などの福祉国家やジェンダー平等を実現している国家・国々が近く、社会主義や共産主義を目指すのではない」と説明。

社民党は「ミサイルよりコメを」とし、(1)食料品消費税ゼロ 即時実現 物価高から生活を守る、(2)最低賃金1500円 社会保険料半減など若者世代支援拡充、(3)最低保障年金 月10万円 医療費負担軽減で安心な老後、(4)原発はいらない 防災省創設し 災害対策、(5)農家の所得を増やす! 地方交付金倍増で循環型地域経済を、(6)ジェンダー平等・多文化共生社会の実現、(7)沖縄・日本を再び戦場にさせない!、という7つの提言を行っている。
「人権問題や普遍的なことにずいぶん前から取り組んできて、55年体制の時は社会党の提案を自民党が実現するようなこともあった。LGBTQやジェンダー平等、気候危機など、今とても大事なことを議論している政党で、フレッシュさを出すことが課題だと思う。今回の参議院選挙は、“リブート(再起動)社民党”。“社民党はこれからワクワクドキドキ、面白い政党になるから、あなたも一緒にやりましょう”ということを打ち出している」
■茂木健一郎氏「福島さんの話は理想を言われているよう」
脳科学者の茂木健一郎氏は、「地方議員の方の集会などに行くと、“生活しなくちゃいけない”“自分の会社をこうしたい”など、いろいろな人がいる。福島さんの話は理想を言われているようで、そういった声をあえて捨てているように感じる」と投げかける。

これに福島氏は「“答えは現場にある”というのが社民党の標語だった時もあるぐらい。むしろ現場に最も行っているし、現場に一番近いのは社民党だと思っている。なぜ社民党が必要で、私自身も“なんとかしよう”と思っているかというと、日本の中にもし宝物と言えるものがあるとすれば、いろんな労働運動や各地の地域運動、市民運動だと思う。社会党時代から続いているもので、それがついえてしまったら問題だ」と語る。
パックンは、「マイノリティの声があがり続けるのは大事なことだし、失いたくない。しかし今の時代、反応が大きいのは“右”の声だ。多文化共生が訴えられる中で、マイノリティに対する怒りを煽るような発言が反応を起こして運動になっている今の世の中はどう見るか」と問題提起。
福島氏は「あなたの生きづらさはあなたのせいじゃないし、別に外国人のせいでもない。外国人やアイヌ、沖縄、場合によっては女性といろいろターゲットを変えて、“あいつらのせいで俺たちは大変だ”と叩いていく。差別・排外主義の次はヘイトクライム、そして戦争に行くので、“それはやめようよ”と言うのが社民党。だからこそ、存在意義があると思う」と答えた。
さらに現役保育士で育児アドバイザーのてぃ先生は、「外国人が優遇されている云々の前に、“日本人がまず大事にされていない”という感覚が国民の中にあるから、排他的な思考になってしまうのでは」とコメント。
これには、「住まいも、仕事も、子育ても、すべてが自己責任と言われ、“政治が自分を全然応援してくれない”と思っているわけだ。それは外国人や生活保護受給者のせいではなく政治のせいなので、その政治を変えようよと。そこをきちんと応援するのは必要だと思う」とした。
■今回の選挙は「崖っぷち」、それでも「社民党にしかできないことがある」
共同通信社が行った全国電話世論調査(13、14日実施)によると、獲得議席予想は社民党が「1得る可能性」との見通しとなっている。

福島氏は「120万票取らないと政党要件も失ってしまうので、崖っぷちだと思う」とコメント。また、今後の党の存続を踏まえた上で、「世代交代はしたいと思っている。中学生・高校生・大学生の数は多くないが、『社民党頑張れ』『自分が選挙に出る時までちゃんと残しておいてね』と言う子たちがいる」と明かす。
最後に、改めて社民党としての覚悟を語った。「私がなぜ社民党に入ったかというと、憲法9条や憲法を変えずに生かしていくという政党だから。いろいろな政党が憲法とは言えないような改正案を出していて、ものすごく危機感がある。憲法は権力者を縛るものなのに、国会の憲法審査会ではそれすら理解されていないわけだ。貧困や生活をよくするために、多くの政党と力を合わせて法律を作ったり、税金を見直したり、教育の無償化などはできると思っている。でも、社民党にしかできないこともある」。(『ABEMA Prime』より)

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