
7月18日から三日間にわたって開催されるインディーゲームの祭典「BitSummit the 13th Summer of Yokai」。今回も魅力的なタイトルが多く出展されており、見逃せない作品ばかりである。
そんなBitsummitで体験できるデモ版の一作としてこの記事で紹介するのは、ゲームサークル「デス組合」の手がけるローグライクゲーム『勇者パーティはぜんめつしました。』だ。
「既に全滅状態にある勇者パーティを救いだす」という一風変わった設定の作品であり、登場するキャラクターたちも、それぞれが「業」を背負った個性的なキャラばかり。ところどころに垣間見えるダークさとポップさが魅力の一作となっている。
それでは早速、具体的なゲーム内容について紹介していこう。
Steam『勇者パーティはぜんめつしました。』はこちら『勇者パーティはぜんめつしました。』公式Xはこちら絶望の淵にある勇者パーティから、一人を選んで共に冒険。ただしどいつもこいつも目が死んでる
本作の物語は、ダンジョン内で仲間を失い一人になってしまった主人公(プレイヤー)が、とある勇者パーティに出会うところからスタートする。
勇者・魔法使い・戦士・僧侶と、一見頼もしそうな構成の勇者パーティなのだが、タイトルにもある通り、なんとこの勇者パーティは既にぜんめつ状態にあった……。
なんてこった……と落ち込んでいる暇もなく、さっそく主人公は勇者パーティの協力を仰いで、ダンジョン脱出を目指し始めることとなる。しかし、さまざまな事情があって、脱出に連れていけるのは勇者パーティの中からたった一人。究極の選択と共に、主人公の決死の脱出劇が始まる。
そんな脱出劇の相棒となりうる勇者パーティの個性的な面々を、ここで軽く紹介しよう。ぜんめつしているだけあって、それぞれのキャラがそれぞれの仕方で色々と「ヤバい」状態になっているのが特徴的だ。
まずは魔法使い。パーティ内ではもっとも「話の通じる」ヤツであり、金髪エルフ耳の可憐な姿をしている。
長きにわたって魔法使いとして活躍してきたが、魔力の源となる心臓を釘で刺されており、もはや魔法は使えない状態とのこと。ちなみに心臓を貫かれても死なないのは勇者パーティが持つ不死の呪いのおかげである。
お次は戦士。快活な性格で、少々お馬鹿も混じったおてんばキャラである。
「おてんばという割には真顔じゃないか」って? それもそのはず。この戦士はダンジョンの途中で、敵の攻撃により身体を人形に変えられてしまっている。人形だから表情は常に一定だ。しかも敵とは元恋人のことらしい、どういうこと???
身体が人形なので当然戦士の持ち味である力も皆無、笑うことさえかなわないという悲惨な状態である。
そして僧侶。この人はダンジョン内での長いサバイバル生活の中で精神の安定を計るため、あまり良くない宗教に頼ってしまったようだ。
「邪神を信仰する」という、聖職者にあるまじき所業へ手を染めてしまった僧侶の精神模様は既に「あっち側」の人のものと化している。ことあるごとに主人公および勇者パーティを「救済」しようとするが、どう考えてもヤバいのであまり話をじっくり聴かない方が良いかもしれない。
そして最後に勇者。
まごうことなきこのパーティのリーダーだが、ある意味このキャラクターこそが最も深刻な状態である。なにせ「はい」か「いいえ」でしか会話ができなくなってしまっている。これはかなりの重症だ。
精神的に壊れてしまったのか、それとも何らかの呪いによる影響か……いずれにせよ、勇者はプレイヤーに「『はい』か『いいえ』しか言わないヤツがいかにヤバく見えるか」という事実を力強く教えてくれる。
と、このように勇者パーティはそれぞれがそれぞれの仕方で「終わっている」のだが、この中から連れ出せるのはたった一人。だれを選ぶかで、ゲームプレイやストーリー展開も変わってくる。
というわけで、そんなゲームプレイ内容についても説明しよう。
装備品は敵から「奪う」、カードタイプのローグライク
本作のゲームシステムは広い視点で見ると『Slay the Spire』等のデッキビルディング型ローグライクに属するものだ。その中で本作ならではの特徴としては、カードをダンジョンの中でモンスターから「奪う」という部分だ。
戦闘中、カードを使用して実際に攻撃を成功させるには、特殊なバーの上で展開される「目押しゲーム」にチャレンジする必要がある。バーの特定の位置にカーソルが来た時にマウスの左クリックを押すことによって、はじめて攻撃を命中させることができる。
カードを選ぶ戦略性と、タイミングよくボタンを押すアクション性の2つが戦闘のカギを握るというわけだ。
さらに、このタイミングをはかるアクションは、カードそれ自体の効果や他のカードとの相乗効果で非常に目押しを簡単にすることが可能となっている。
そして、敵がブレイク状態(ブレイクゲージが減るとこの状態になる)のときにこの目押しを成功させると、大ダメージと共にそのまま敵から武器を奪うことができる。このようにしてモンスターから武器を分捕りつつ、その武器を使って上手く戦闘を構築することがプレイヤーには求められる。
また、武器カードは使用回数制限を超えると壊れるが、その際には追加の効果を発動する。つまり、「武器を奪って壊す」……このサイクルを高回転で回していくのが本作の攻略のカギだろう。
戦闘以外では、ダンジョン道中に仕掛けられた様々なトラップと、それらを切り抜ける呪いのシステムも特徴的だ。
ダンジョン道中には多くの仕掛けがあり、プレイヤーはその仕掛けを、キャラのステータスに依存して成功率の変わるルーレットで乗り切っていく。
もちろん失敗することもあるがご心配なく。冒険の途中でたまる「呪い(画面左上)」を使えば、ルーレットの結果を微修正できるほか、ゲームオーバーになった際にこの呪いを消費して次の冒険を楽に進めるアイテムに変換することも可能だ。
総じて、戦闘やダンジョンの探索など、ゲーム部分に関してはデッキビルディング型ローグライクをアレンジしつつ上手くまとめており、しっかりと遊びごたえのあるものに仕上がっていると言えるだろう。
とはいえ、個人的にやはり本作の目玉部分はキャラクターや設定のインパクトにある。
みんな目が死んでる(それかいっちゃってる)勇者パーティは、悲壮な雰囲気を漂わせながらもどこかコミカルで可愛く描かれており、そのギャップも本作の「ダークかつポップ」な雰囲気作りに一役買っている。
「キャラ萌え×ちょいダークなテイスト×ローグライク」という、日本人オタクゲーマーにはどんぴしゃの作品だ。
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