
厳しいチーム状況でも腕を振るう菅野(C)Getty Images
オールドルーキーにとっては、今年は勝負の夏になるかもしれない。
レギュラーシーズンがいよいよ後半戦に向かうメジャーリーグにおいて、小さくない注目を集めるのは、現地時間7月30日にデッドラインを迎えるトレード市場の動きだ。ポストシーズン進出を狙う各地区のコンテンダー球団のテコ入れと、将来を見越しての再建期に突入している球団の動きは、例年大きな話題となる。
そんなトレードの動きが水面下で活発化する中で、貴重な戦力として買い手市場の人気銘柄となりそうな一人が、オリオールズの菅野智之だ。
現在35歳の菅野は、昨年12月にオリオールズと最高35万ドル(約5250万円)のオプションが付帯する1年1300万ドル(約20億円)の契約を締結。当初は加齢による衰えや平均球速の遅さによるパワー不足も指摘され、獲得を疑問視する声が確かにあった。
しかし、蓋を開けてみれば、巨人の大エースとして君臨してきた男は、主力の故障離脱や不振で地区優勝から後退したオリオールズにあって孤軍奮闘。疲労の色が見せ始めた7月に打ち込まれるケースは目立ち始めたが、18先発と開幕ローテーションの核となる活躍を見せている。
スプリットとスライダーを軸とした変幻自在な投球で声価を高める菅野は、とりわけ先発の駒不足に悩むチームにとって「優良物件」となり得る。そうした中で、水面下での獲得が囁かれているのが、パドレスだ。
ナショナル・リーグ西地区で首位ドジャースをゲーム差5.5で追走するパドレスは、ワイルドカード争いでもポストシーズン出場圏内の3位につける。今以上に確固たる立場を確立するためには、弱点とされる投手陣のテコ入れが必須の状況となっている。
現在のパドレスの先発投手陣は、ディラン・シーズやマイケル・キング、そしてダルビッシュ有などビッグネームは揃っているものの、いずれも怪我や不振によって成績が不安定な感は否めない。
そうした状況下で白羽の矢が立ったのが菅野だという。米メディア『Sporting News』は、「スガノは不調にあえぐサンディエゴの先発投手陣に救いの手を差し伸べる有力候補として浮上している」と指摘。さらに米スポーツ専門局『CBS Sports』のRJ・アンダーソン記者も「スガノは万人受けする投手ではない」と前置きした上で、パドレスの補強ポイントに合致するという見立てを語っている。
「だが、彼は35歳で、間もなくフリーエージェントになるため、長期的な価値は限られている。とはいえ、幅広い球種を正確にコントロールできるのは大きな武器だ」
今オフにフリーエージェントとなるため、後半戦の内容が新契約にも大きな影響をもたらすのは間違いない。それだけに菅野の去就の行方は、大きな注目に値すると言えよう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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