
ル・マン市内で公開車検を実施
ドイツ在住でモータースポーツの取材を精力的に行う池ノ内みどりさん。2025年もヨーロッパ3大耐久レースのひとつ、伝統のル・マン24時間レースを取材しています。公開車検の行われたル・マン市では、新たな取り組みとして2024年からレーシングマシンのパレードランを実施。盛り上がった街の様子をリポートします。
ハイパーカーとGT3が街中をパレードラン
「FIA世界耐久選手権(WEC)2025第4戦 ル・マン24時間レース」の取材のためにフランスへやって参りました。レースウィークを迎えるにあたり、事前に公開車検とチームの集合写真の撮影がル・マン市内で2日にわたって行われます。車検の見学はもちろんのこと、レーシングドライバーやチーム関係者を間近でひと目見ようとする多くのファンでごった返し、普段は静かな地方都市のル・マンはちびっこからシニアまで大賑わいの日々です。
私が住んでいるミュンヘンの自宅は観光地のすぐ近くにあり、イベントがあるときは徒歩数分で行けるとあってとても便利なのですが、早朝から深夜までの渋滞や路上駐車場所を巡っての住民対観光客のいざこざ、当て逃げの警察沙汰などネガティブな面も大変多く、住民を悩ませています。ですので、ル・マン市民の方々にとっても、観光客は必ずしもウェルカムな存在とは言えないのだと理解しています。なるべくお邪魔にならないよう、私自身も気をつけています。
2日にわたって行われた公開車検とチームの写真撮影の後には、2024年からの新たな試みとして、ハイパーカーとGT3クラスの各メーカー1台ずつのレーシングカーが、ル・マン市内をパレードランしました。エキゾーストノートを轟かせたレーシングカーのデモランに、集まった皆さんは大興奮。決勝レース前日の金曜日にはクラシックカーに乗ったドライバーズパレードがあるのですが、レーシングカーが走るデモランはまたまったく違った魅力があって、とても良いですね。
パレードラン自体は1時間もありませんが、安全に観覧できるようにコースサイドはすべてフェンスで覆われます。そして、ハイパーカーにはハイブリッド車もありますので、もしものトラブルに備えて安全講習を受けたコースマーシャルの方々も待機され、警察や警備の方々の大勢のサポートによってイベントが支えられています。そのため市内を走るバスやトラムは交通規制により一部が運行をストップするので、本当に市の行政や市民のみなさんの理解なしでは行えないイベントだということがわかります。
ル・マン24時間仕様のチケットも
ル・マン駅からサーキットまでは、トラム1本・乗り換えなしの直通で行くことができるので、こんな便利なことはありませんね。ヨーロッパのサーキットの大半は、そんな立地ではありません。市内へ行く際には私もトラムに乗って行くのですが、券売機から運よく「あたり」のチケットが出てきて嬉しくなりました。
市の公共交通機関のデザインが施された通常のチケットが主なのですが、たまにル・マン24時間レースのポスター絵柄のチケットが出てくることがあり、とても良い旅の記念になることから、勝手に私が「あたり」だと思っているだけなのですけどね(笑)。
トラムの一部は、2023年にル・マン24時間レース初開催から100周年記念のラッピング車両がそのまま走っているのも嬉しいポイントです。毎年訪れて、同じ風景を見ていても、毎回感動する。そんな場所がル・マンです。新型コロナウイルスの蔓延や、長らく日本経済を悩ます円安や物価高で、現地観戦を望んでいらっしゃる日本のル・マンファンのみなさんにとっては遠い存在になってしまったのが、残念で仕方がありません。
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