
日本弁護士連合会(日弁連)は7月18日、「福井女子中学生殺人事件」ついて名古屋高等裁判所金沢支部が前川彰司氏に再審無罪判決を言い渡したことを受けて、「前川氏の無罪を改めて明らかとするもの」として評価する声明を発表した。
福井女子中学生殺人事件は、1986年3月に発生した福井市内で起きた女子中学生殺害事件で、前川氏は客観的証拠がない中で関係者らの供述に基づき逮捕・起訴された。第一審では無罪判決を受けたが、控訴審で逆転有罪判決(懲役7年)を受け、それが最高裁で確定した。その後、2回の再審請求を経て、2024年10月に再審開始が決定し、本日の再審無罪判決に至った。
●「荒唐無稽」な捜査機関による供述誘導を判決が認定今回の判決では、主要関係者の一人が自己の利益を図るために前川氏を犯人とする虚偽供述を行い、この虚偽の供述に基づいて捜査機関が他の関係者に誘導等の不当な働きかけを行って供述が形成されていったという合理的な疑いが払拭できないなどとして、無罪判決が言い渡された。
判決は、警察官が重要証人に対し証人尋問に近い時期に金銭を交付した事実を認定し、「公正であるべき警察官の職務に対する国民の信頼を裏切る不当な所為」と指摘。また、確定審検察官が重要な前提事実の誤りを把握しながら秘匿し続けた行為を「公益を代表する検察官としてあるまじき、不誠実で罪深い不正の所為」と批判した。
日弁連は今回の判決について、「前川氏の無罪を改めて明らかとするものであり、当連合会もこれを高く評価する」とした上で、検察官に対し「真摯な反省を求めるとともに、本判決に対する上訴権を速やかに放棄し、無罪判決を確定させるよう強く要請」している。また、再審法の速やかな改正を政府及び国会に求めた。

コメント