
快進撃を続けるAMD RyzenシリーズとAMD Radeonシリーズ
ゲームに、動画編集に、AIワークロードまで──高性能CPUとGPUを武器に、今やインテルに真っ向勝負を挑む存在となったAMD。2024年後半から、秋葉原のPCショップでは「AMD Ryzen™ 9000」シリーズや「AMD Radeon™ RX 9000」シリーズの人気がさらに加速。とくに自作PCユーザーからは「コスパの高さ」と「安定した進化」が高く評価されている。その人気はすさまじく、米国のAmazonベストセラーランキング(CPUの売れ筋ランキング)のTOP10をAMD Ryzen™シリーズが独占した。日本のCPUの売れ筋ランキングでもTOP10のうち7製品がAMD Ryzen™シリーズとなっている(それぞれ2025年7月4日現在)。
そんな人気のAMD製品を使うには、対応したマザーボードやビデオカードが必要ということで、対応製品を取り扱うメーカーにオススメの対応製品を聞いた。第3回は、性能や価格だけでなく、デザインや組み立てやすさまですべてにこだわるASUS編だ。
ゲームパフォーマンスが高く、クリエイティブ用途にも強いAMD製品
AMD製品の魅力は、ゲームパフォーマンスが高く、クリエイティブ用途にも強いことにある。その代表例といえるのが、デスクトップ向けCPU「AMD Ryzen™ 9 9950X3D プロセッサ」と、デスクトップ向けGPU「AMD Radeon™ RX 9070 XT」だ。どちらもゲーマーから高い人気を得ており、クリエイティブ用途でも高い性能を発揮する。
「AMD Ryzen™ 9 9950X3D プロセッサ」の魅力のひとつは「AMD 3D V-Cache™ テクノロジ」(以下、3D V-Cache)を備えている点だ。この「3D V-Cache」は、CPUダイの上に高速なキャッシュメモリーダイを実装することで、3次キャッシュ(L3キャッシュ)容量を拡大させるというもの。これにより、CPUが低レイテンシーで大容量のキャッシュにアクセスでき、ゲームのパフォーマンスが向上する。
GPUの「AMD Radeon™ RX 9070 XT」は、AMDの最新GPUアーキテクチャー「RDNA 4」を基盤としており、Navi 48コアを採用している。さらに、AI処理を担う第2世代AI Accelerator、レイトレーシングユニットの第3世代Ray Acceleratorを備えている。ラスタライズを含む高い描画性能に加えて、AI処理性能やレイトレーシングが強化されたのだ。
AMDのゲームパフォーマンスの高さを支えている技術としては、AMD独自の超解像(アップスケーリング)技術「AMD FidelityFX™ Super Resolution 4」(FSR 4)も見逃せない。AMD FSRはゲーム画面をいったん低い解像度でレンダリングした後、超解像処理してから出力するというもので、最新のAMD FSR 4では複数のフレームを生成でき、その処理にAI Acceleratorを使用するようになった。
またゲーマーなら、AMDのフレーム生成技術「AFMF 2.1」もぜひチェックしておきたい。AFMF(AMD Fluid Motion Frames)は、ふたつのフレームから中間のフレームを生成しフレームレートを向上させるというもので、なめらかな描画でゲームを楽しめる。
ASUS Japan OPビジネスグループ プロダクトマーケティングスペシャリスト Yvonne LAI(イボンヌ ライ)さんに聞く
「AMDってこういうところがいいよね!」
――AMD製CPUの魅力やメリット、今の勢いを感じている点を教えてください。
【ライさん】 優れた処理能力とリーズナブルな価格帯のバランスが魅力!
AMD製品の一番の魅力は、世代ごとに明確な進化がありつつ、コストに対する性能のバランスがとても優れている点です(例:CPUのマルチスレッド性能や電力効率)。
最近では「コスパ重視ならAMD」という声も増えており、秋葉原やECサイトの動きからも着実な人気と勢いを感じています。
ASUSのオススメ その1
「TUF Gaming Radeon RX 9070 XT OC Edition 16GB GDDR6」
「TUF Gaming Radeon™ RX 9070 XT OC Edition 16GB GDDR6」は、「AMD Radeon™ RX 9070 XT」および16GB(GDDR6)のビデオメモリーを搭載したビデオカードだ。接続インターフェースにはPCI Express 5.0を採用している。
ハイパフォーマンスと高耐久性を両立した「TUF Gaming」シリーズらしいゲーミング向け製品で、「AMD Radeon™ RX 9070 XT」によって最新ゲームがWQHD解像度(2560×1440ドット)で快適にプレイできる。しかも、先に触れたAIベースのアップスケーリング「AMD FSR 4」やフレーム生成機能「AFMF 2.1」のおかげで、美しい高画質画面かつ滑らかな映像で楽しめる。
ASUS独自のOCモードにより、最大ブーストクロック3080MHz、ゲームクロック2540MHzの高い動作クロックを実現しており、負荷の高いビッグタイトルでも余裕を持って安定したパフォーマンスを発揮できる。
冷却機構には、3基のAxial-techファンを搭載。防塵性能はIP5X等級で、低負荷時にはファンを自動停止する0dBモードもサポートしている。GPU部分には、熱伝導効率を高めるMaxContact技術を用いた精密加工のベースプレートを採用しており、高負荷時でもGPU温度を効果的に抑制する。
筐体には、通気性と構造剛性を両立させた「Vent-ed Exoskeleton」構造を採用。背面はアルミニウム製バックプレートと補強フレームの組み合わせにより、基板のゆがみや物理的衝撃への耐性が向上している。サイズは全長330mm、厚さ3.125スロットで、冷却性能と耐久構造を重視した設計だ。
高い耐久性と信頼性を確保するための設計は、ASUSのTUF(The Ultimate Force)ブランドの理念に基づくものだ。軍用グレードに準じた部品選定や品質基準を取り入れたうえで、「TUF Gaming」シリーズではそれらをゲーミング用途向けに最適化。製造には自動化された実装技術「Auto-Extreme Technology」を導入し、144時間を超える動作検証や厳格なストレステストを経た製品のみを出荷しているという。
映像出力としては、DisplayPort 2.1a×3基、HDMI 2.1b×1基搭載し、8K解像度出力にも対応。高リフレッシュレートのゲーミングディスプレイを接続しやすく、マルチディスプレイ環境も構築できるのだ。
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ASUSのオススメ その2
「ROG STRIX X870E-E GAMING WIFI」
「ROG STRIX X870E-E GAMING WIFI」は、「AMD X870E」チップセット採用のAM5マザーボードだ。「AMD Ryzen™ 9 9950X3D プロセッサ」をはじめ「AMD Ryzen™ 9000」シリーズなど最新CPUに対応しているうえ、「ROG STRIX」シリーズらしくデザイン性と性能のバランスを高いレベルでまとめている点が魅力だ。
デザイン面では、ブラック基調の基板と金属製ヒートシンクに加え、RGBライティング機能「Aura Sync」にも対応。他のROG製品と連携して統一感ある発光演出も可能で、見た目にもこだわるユーザーの要求にも応えられる。
ビデオカード用にGen5規格のPCI Express x16スロット×1基を備え、SafeSlot構造によってスロットを補強することで重量級GPUでも安定した取り付けが可能。メモリーは最大DDR5-5600に対応し、最大192GB(48GB×4)までの容量をサポート。ASUS独自の「AEMP II」や「DIMM Flex」併用時には、最大DDR5-8000のメモリーを組み合わせることが可能としており、高い安定性とパフォーマンスの両立が狙える。
ストレージ面では、ヒートシンク付きM.2スロット×5基搭載し、うち2基はGen5規格のPCI Express x4に対応している。さらに、SATAポートを4基備えているため、柔軟なストレージ構成が可能だ。
電源設計には、18+2+2フェーズ構成の電源回路を採用。電源部には高品質なパワーステージと大型ヒートシンクを備え、負荷の高い動作時にも優れた安定性を維持する。冷却面では、複数のファンヘッダーと水冷ポンプ用ヘッダーに加え、VRMヒートシンクとM.2ヒートシンクを装備し、全体の熱対策も充実している。
ネットワーク機能としては、フル機能(320MHz)のWi-Fi 7(802.11be)、有線LANとして2.5GbEを搭載。Bluetooth 5.4にも対応し、ワイヤレス環境を構築しやすい。 USBインターフェースとしては、背面パネルにUSB4 Gen 3×2 Type-C×2(最大40Gbps、映像出力対応)、USB 3.2 Gen 2x2 Type-C ×1(最大20Gbps)ほかUSB Type-A×8を用意している。フロントパネル用としては、USB 3.2 Gen 2x2 Type-Cヘッダー×1などを利用可能だ。
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ASUSのオススメ その3
「TUF GAMING X870E-PLUS WIFI7」
「TUF GAMING X870E-PLUS WIFI7」は、堅牢な設計と安定動作を特徴とする「TUF GAMING」シリーズに属するAM5対応マザーボードだ。「TUF GAMING」シリーズは、ゲーミング用途をはじめ、高負荷な環境でも信頼性の高いパフォーマンスを発揮するため、ファンは多い。軍用グレードに準じた部品選定や耐久性の高いコンポーネント、厳格な品質テストを経た構造を採用しており、長時間の動作や高温環境にも強い設計も大きな魅力だ。
基板構造には、金属製の補強プレートや高耐久PCBを採用し、スロットや端子にかかる物理的な圧力・衝撃・曲げ・抜き差しの繰り返しによる損傷を防ぐ配慮がなされている。ビデオカード向けのGen5規格のPCI Express x16スロット×1にはSafeSlot構造を取り入れ、重量級カードの装着によるゆがみにも耐える構造を実現。冷却機構として、VRMやM.2スロットには大型ヒートシンクを採用し、熱対策も万全だ。複数のファンヘッダーや水冷ポンプヘッダーも装備しており、システム全体の温度を細かく制御できるようになっている。
チップセットには「AMD X870E」を採用し、「AMD Ryzen™ 9 9950X3D プロセッサ」をはじめ「AMD Ryzen™ 9000」シリーズなど最新CPUに対応。メモリーは最大192GB(48GB×4)を搭載可能で、ASUS独自の「AEMP II」や「DIMM Flex」技術によって、「AMD Ryzen™ 9000」シリーズ搭載時は最大DDR5-8000の高クロック動作も可能としている。
ストレージはヒートシンク付きM.2スロットを4基備え、うち1基はGen5規格のPCI Express x4に対応。加えて、SATAポートも4基搭載しており、ストレージ構成の自由度が高い。ネットワーク機能としては、フル機能(320MHz)のWi-Fi 7と2.5GbE LAN、Bluetooth 5.4を備える。
背面インターフェースとしては、背面パネルにUSB4 Gen 3×2 Type-C×1(最大40Gbps、映像出力対応)、USB 3.2 Gen 2x2 Type-C ×1の合計2基に加えて、USB Type-A×8を搭載。フロントパネル用には、USB 3.2 Gen 2x2 Type-Cヘッダー×1を装備し、利便性を高めている。
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ASUSのが魅力は、ゲーミングを高いパフォーマンスと堅牢設計で支える製品群だ
ASUSは、ゲーミングからクリエイティブ用途まで、初心者から上級者まで幅広いユーザー層に対応する製品を展開している。各製品は安定性や拡張性、使いやすさに配慮した設計がなされており、信頼性の高いパーツ構成やわかりやすいインターフェースを特徴としている。
マザーボード製品では、「ROG」(Republic of Gamers)、「TUF GAMING」といったブランドを展開しており、それぞれ用途やユーザー層に応じて明確に分けられている。「ROG」ブランドは、高性能と多機能性を兼ね備えた上位モデルで、ゲーマーやパワーユーザーに向けた設計が特徴となっている。「TUF GAMING」ブランドは、耐久性と信頼性を重視した構造が採用されており、ミリタリーグレード準拠の部品と検証基準に基づく堅牢な設計で長期間の運用に適している。
ビデオカード分野においても、ASUSは「AMD Radeon™ RX 9070 XT」シリーズをはじめ「AMD Radeon™」を搭載した複数のモデルを展開している。「ROG STRIX」シリーズでは、大型ヒートシンクや最適化された冷却設計、強化された電源構成により、高い冷却性能と安定性を両立している。また、「Aura Sync」によるRGBライティング制御にも対応し、対応パーツと連携することで統一感ある外観を演出できる。一方、「TUF GAMING」シリーズのビデオカードは、シンプルながらも耐久性に優れ、信頼性の高い製品設計が特徴で、長期使用を前提とした構成となっている。
クリエイティブ用途に向けては、色精度や帯域幅、高速ストレージ対応といった要件に配慮した設計も各製品に盛り込まれている。マザーボードでは、Gen5規格のPCI ExpressスロットやM.2スロット、高速なDDR5メモリー対応により、映像編集や3Dレンダリングといったヘビーな作業にも対応しやすい点が魅力だ。またビデオカードでも、十分なビデオメモリー容量や安定した長時間稼働を実現する冷却機構が搭載され、映像処理やAI支援による画像生成など、プロフェッショナル用途を見据えた仕様となっている。
ASUS製品に共通する要素として、性能・耐久性・デザインのバランスに加え、自作PCを統合的なシステムとして扱いやすくなる点を挙げておきたい。例えばゲーミングにおける例としては、「Aura Sync」によるライティング制御がある。マザーボード・ビデオカード・周辺機器などと連携し、PC全体の演出を統一できる。冷却や電源供給、拡張性の面でも細かな設計が共通で施されており、構成全体での一貫した品質が保たれているのだ。

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