
この記事をまとめると
■全日本ラリー選手権第5戦「ARKラリー・カムイ」にランクル250が出場
■クロスカントリーラリーの経験が豊富な社員ドライバー三浦 昂選手が操る
■制御面の課題が目立つもポテンシャルの高さを感じさせる走りを披露した
注目のマシンがついに参戦!
全日本ラリー選手権第5戦「ARKラリー・カムイ」が7月4〜6日、北海道虻田郡ニセコ町を舞台に開催。シーズン初のグラベル戦ということもあって、レグ1から各クラスで激しいバトルが展開されていたのだが、そのなかでもっとも注目を集めた1台が、K-one Racing Teamの64号車「K-one TOYO ATランクル250」だといえるだろう。
同モデルは、文字どおりトヨタ・ランドクルーザー250をベースに開発された競技用マシンで、全日本ラリー選手権と同時開催で争われているXCRスプリントカップ北海道のXC-2クラスにエントリー。ドライバーはトヨタ車体を母体とするTLC(チーム・ランドクルーザー・トヨタオートボデー)の社員ドライバーとして5度の優勝実績を持つ三浦 昂選手で、TGRラリーチャレンジでコ・ドライバーとして活躍する羽琉選手とともに国内のスプリントラリーに参戦した。
「今回はトヨタ車体の活動ではなく、K-one Racing TeamとTOYO TIREのプロジェクトにドライバーとして参加させて頂きました。トヨタ車体でランドクルーザーの開発に携わってきたこともあって、モータースポーツでどんな走行ができるのか……ということにも興味があります。ランクル250のユーザーが、自分も競技をやってみよう……と思ってもらえるようになればいいですね」と参戦の経緯を語る三浦選手。
気になるマシンの状態については「ロールケージやガード類、ダンパー&スプリング、ブレーキを除けばほぼノーマルの状態です。事前テストは行いましたが、セットアップを詰めきれていないし、制御を切れていないので、ABSもトラクションコントロールも入る状態。それを理解しながら、うまく付き合ってドライブしないといけない部分はありますね」とのことだが、その一方で三浦選手は、「ランクル300と比較すると250のほうがコンパクトで取りまわしがいいので、日本の林道にあっていると思います。パワーユニット的にはディーゼルのほうがトルクもあって楽しめると思うんですけど、ガソリンも楽しいよ……ということをアピールしたい」と語っている。
制御面での課題が残る
ちなみに、三浦選手はダカールラリーをはじめとするクロスカントリーラリーの経験が豊富で、トレーニングの一環として全日本ダートトライアル選手権にも参戦した経験をもつが、国内のスプリントラリーの経験は少ないようで、「10年ぐらい前にダカールラリーにドライバーとして参戦する前に、トヨタのラリーチャレンジにトヨタ86で参戦したことはありますが、スプリントラリーはそれ以来になります。ペースノートで走ることに慣れていないので、ノートを作る難しさはもちろん、ノートの精度、それにノートを信じて走ることができるのか……という難しさもありますね。まずは距離を走らないと経験値は上がらないので、とにかくフィニッシュすることをターゲットに走りたいと思います」と意気込みを語る。
こうしてランクル250としては初の競技デビューとして注目を集めるなか、三浦選手は5日のレグ1へチャレンジ。「木にぶつけて右のミラーを壊しましたが、それ以外は無事に走れました。ダンパーの減衰力を変えたことで足まわりはよくなってきたんですけど、ギヤが落とせなかったり、ABSが入ったりと制御が介入してくるので、なかなかペースを上げることができませんでした」とのことで、クラス6番手でレグ1をフィニッシュした。
続く6日のレグ2も、「石かなにかを踏んだことで左のフロントのナックルを曲げたんですけど、それ以外は問題ありませんでした」とのことで、結局、三浦選手はランクル250のデビュー戦をクラス6位でフィニッシュ。
ちなみに、三浦選手×ランクル250は9月5〜7日に北海道帯広市を舞台に開催される全日本ラリー選手権・第6戦「ラリー北海道」にも参戦する予定だ。
三浦選手は、「今回制御が入りましたが、これも競技に出ないとわからないことですからね。オートマチックの制御はクルマ全体のコントロールを主導しているので、すぐに対策することは難しいと思いますが、ABSはなんとか次戦までに対策したいです。詰められるところを詰めていって、プロジェクトを前向きに進めたいですね」と語っているだけに、今後の進化に注目したいものだ。
なお、全日本ラリー選手権の第6戦「ARKラリー・カムイ」ではGRヤリスRally2を駆る奴田原文雄選手がJN-1クラスを制したほか、GRヤリスの大竹直生選手がJN-2クラス、GR86の山本悠太選手がJN-3クラスを制覇。JN-4クラスを制したのはスイフトの高橋悟志選手で、ヤリスを駆る松倉拓郎選手がJN-5クラス、GRアクアを駆る天野智之選手がJN-Xクラスでチャンピオンに輝いた。

コメント