
この記事をまとめると
■2016年の法改正で多くのナンバープレートカバーが違法とみなされた
■ナンバーが見えにくくなることは不正行為の増加につながるからだ
■ではなぜレーダー探知機はいまでも堂々と売られているのだろうか?
2016年の法改正で多くのナンバープレートカバーが違法に
バブル経済期の頃に、カー用品として一世を風靡していたナンバープレートカバー。いまではどこの店舗や通販サイトを訪ねても、販売されているのをほぼ見ることがない。その理由は、2016年にナンバープレートの表示基準が変わって、多くのカバーが違法商品と認定されたからだ。その後、これらの商品は店頭から順次撤去されていった。メーカーのなかにはこのあおりを受けたことで、事業撤退を余儀なくされたところもあるという。
ナンバープレートとは自動車登録番号標のことで、公道を走行する車両は必ず取り付けなければならないと、道路運送車両法に定められている。なぜならば、それが公道を走ってもよい車両であることを証明しているからだ。自動車は事故を起こせば人命にかかわる大事になりかねないから、公道を走る基準に達した車両であることを、明確に表示しておく必要がある。ちなみに、同様に安全にかかわる車検、法定点検などを受けているか否かは、ナンバープレートを見ただけではわからないので、別途ステッカーの表示義務があるのだ。
表示を義務付けられているナンバープレートが、ファッションとはいえスモークカラーのカバーで見にくい状態になれば、それは禁止になっても仕方のないこと。これに対して、ネズミ捕りやオービスを事前に知らせるレーダー探知機は、なぜいまでも堂々と売られているのであろうか。
レーダー探知機はギリギリセーフ!?
最大の理由は、違法性を問う根拠がないことだ。無理に考えれば犯人(取り締まり機手前までスピード違反をしていた人物)の隠避、隠匿、道路交通法違反幇助(速度超過)である。ただ、これらはいずれもレーダー探知機のメーカーにしか問えず、違法性の立証は難しいし根拠も希薄だ。逆に、レーダー探知機が警報を出すことでドライバーは速度を落とすのだから、事故や事件につながる可能性が高いとはいい難い。これらを勘案すれば、レーダー探知機はギリギリセーフといったところであろうか。
じつは、このほかにも両者の違法性に関する見解の差には、大きな理由があったといわれているのだ。それは、警察活動への支障である。警察は速度の取り締まりだけではなく、Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)という犯罪捜査に欠かせないシステムを導入している。これにより、車両で移動する犯人などの行動を把握して、犯罪捜査に役立てているのだ。
しかるに、ナンバープレートが読み取りにくい状況が発生すれば、捜査に重大な支障が発生する。とくに問題だったのが、赤外線を吸収、反射するカバーであった。これには透明のものが存在した。そこで、ナンバーを視認可能か否かを、わざわざ国土交通省で有識者検討会を設けてまで精査し、「見にくい」と結論付けているのだ。カバーメーカーにしてみれば、「スピード違反逃れができる便利グッズ」程度の感覚だったのかもしれないが、警察はかなり重大な問題だと捉えていたようである。
レーダー探知機は、いまのところそういった動きはないものの、取り締まり装置が進化して移動式なども出ていることから、探知性能が徐々に追いつき難くなってきているという。レーダー探知機メーカーの数も最盛期の半分以下になり、近年は主力商品がドライブレコーダーに移っているようだ。法規制の網にはかからなくても、レーダー探知機は絶滅危惧種になりつつあるのかもしれない。

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