
将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2025」が7月19日に放送された。予選Aリーグ・1位決定戦、チーム豊島 対 チーム稲葉の戦いは、大会史上初の2回連続の千日手など波乱が続出。それでもメンバー全員が好調を維持するチーム豊島が押し切り、最終スコア5勝3敗で勝利した。この結果、チーム豊島の本戦一番乗りが決定。前回覇者のチーム稲葉は、2位決定戦から予選突破を目指す。
豊島将之九段(35)率いるチーム豊島が、大熱戦の関西勢対決を制した。修業時代からの絆で団結する糸谷哲郎八段(36)、大石直嗣七段(35)が序盤のスタートダッシュに成功。先発した大石七段が初戦でチーム稲葉の主力ともなっている上野裕寿五段(22)を下すと、連投した第2局では吉池隆真四段(20)にも勝利を飾った。
続く第3局では、豊島九段と稲葉陽八段(36)のリーダー対決が実現。ここでは大会史上初となる2回連続の千日手が成立する異例の事態が発生した。騒然とする中、互いに一歩も譲らぬじりじりとした展開から最終的に豊島九段が激戦を制することに成功。“フィッシャー王”とも呼ばれる稲葉八段を破り、チームを率いるリーダーとしての貫禄を見せつけた。さらに、この勢いに続けと糸谷八段は第4局で上野五段を撃破。怒涛の4連勝でチーム勝利に“王手”をかけた。

しかし、前回優勝のチーム稲葉も簡単には倒れない。大ピンチに追い込まれた第5局で稲葉八段が登板すると、大石七段に快勝を飾ったことから流れを引き戻すことに成功。第6、7局では新鋭・吉池四段が糸谷八段、豊島九段とタイトル経験を持つトップたちを次々に撃破し、猛烈な追い上げを見せた。
大注目の第8局では、糸谷八段と上野五段が激突。ここで勝負を決めると、糸谷八段が先輩の意地を見せ、上野五段の力を封じ込めるように圧勝。最終スコア5勝3敗でチームの予選通過を決めた。
全員の力で優勝候補のチーム稲葉をねじ伏せたチーム豊島。主将の豊島九段は「いろいろあったが、何とか勝ち切れて非常に嬉しい」と晴れやかな笑顔を見せた。さらに、「糸谷さんは最後の将棋が名局だったし、大石さんは出だし2連勝で勢いを付けてくれた」と信頼を寄せる仲間にも感謝。「予選突破が目標だったので、達成できた。昨年もベスト4だったので、ここから上を目指していきたい」と悲願の初優勝を見据えていた。
◆ABEMAトーナメント2025 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が8回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士7人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全8チームで行われる。予選は4チームずつ2リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

コメント