
いよいよ夏休みシーズン突入
明日7月21日は海の日。そうなると、いよいよ夏休みシーズン突入だ。もちろん欧州人のように長期バカンスをとるわけではないが、52歳になった今でも、夏休みと聞くと小学生の頃を思い出してなんだかソワソワする。
【画像】ボンドカーに採用して欲しい!アイスシルバーのボディカラーがシックなマクラーレンGTS 全28枚
そんな夏休みのお供になったらどんな素敵なことか……と感じたのが、先日試乗する機会を頂いた『マクラーレンGTS』であった。その日はちょうど半日くらい時間があったので、都心から南を目指し走ってみることにした。
ザ・スーパースポーツカーと呼べる750SやPHEVを採用する最新モデルであるアルトゥーラと比べ、GTSというマクラーレンは、少しキャラクターがわかりにくいかもしれない。もちろんGTであるから、ロングツーリングが得意なことは想像できるだろう。事実、リアゲートを開けると広めのラゲッジスペースがあり、ゴルフバッグを積むことも可能だ。
しかし今回改めて試乗してみて、単純にGTという言葉で括るよりも、もう少し奥が深いモデルだと感じている。これを乗りこなすことができる方は、スーパースポーツ乗りとしては、かなりの上級者ではないかと。
「おお……これは甘くない」と直感
実のところGTという言葉から何となくイメージする姿よりも、マクラーレンGTSはもっとハードなクルマだ。都内の駐車スペースでステアリングを切った瞬間、想像以上に重かったため、「おお……これは甘くない」と直感したほど。
とは書きつつも、街中の走りはジェントルで快適。ガラスルーフのお陰で室内は明るく、クーペながら開放感がある。
ちなみにルーフは標準がグロスブラックのガラスなしで、取材車はオプションの『パノラマプライバシーガラスルーフ』。さらに調光が可能な、『エレクトロクロミックパノラミックルーフ』も用意されている。
高速道路に乗り入れ速度域が上がると、カーボンモノコックの硬質感が伝わってきて、最初の印象どおりなるほどこれはスーパースポーツカーだと理解できた。ただ、750Sやアルトゥーラとの比較でいえば、GTSはドライバーとクルマの間に『ひと皮』あるイメージだ。
もちろん右足に力を籠めれば4LのV型8気筒ツインターボが炸裂し、ちゃんとした速さを見せくれる。ドライバーが自分にスイッチを入れれば、クルマもそれに応えてスイッチが入り、街中のちょっとしたコーナーでも、ギュギュギュとスポーツカーらしいターンが可能となる。しかしスイッチを入れるまでの走りは、英国紳士の如き立ち振る舞いもよく似合うのだ。
ここで、なるほどと気がついた。思い返せば750Sは最初からクルマ側のスイッチが入っていて、アルトゥーラはスイッチを入れろとクルマから迫ってくる。そしてGTSはスイッチを入れるかどうかをドライバーに委ねている、そんな違いを感じた。
気にすべきところはそこじゃない
ロータスでいえばエリーゼに対するヨーロッパ、エキシージに対するエヴォーラのように、英国にはピュアスポーツカーにスーツを着せたようなクルマが多い。アストン マーティン、ベントレー、ジャガーなど、方向性の違いはあれども、根幹にある理想や憧れは近いように感じている。
そんなことを車中で考えているうちに段々と、GTSの見え方変わってきた。例えばインターフェイスが750Sやアルトゥーラと比べて少し前の世代だったりするが、気にすべきところはそこじゃない。それよりもアイスシルバーのボディにボルドーのインテリアを組み合わせたGTSに、どんなファッションで乗るべきかがもっと重要だ。
それにしても、スイッチがひとつもないステアリングの美しいこと! これは750Sやアルトゥーラも同様なのだが、今どきでは珍しいオーディオやADASのスイッチを備えないシンプルなステアリングになっている。これには少し古びた皮手袋なんて似合いそうじゃないか。
例えるならば、ロンドンの高級ホテルに仕立てのいいスーツを着て乗り付けても恥ずかしくない雰囲気。そう、ジェームズ・ボンドに似合うクルマ! マクラーレンGTSは『ザ・ブリティッシュ』と呼べる、英国人が憧れるであろうスポーツカーそのものだった。
これを乗りこなすのはクルマだけでなくファッションにも詳しく、ホテルのレストランでは、ボンドガールを知的な会話で楽しませねばならない。しかし残念ながら、夏休みというワードにソワソワしている私にそういった才は見い出せないので、ぜひマクラーレンGTSをボンドカーに採用して頂き、スクリーンでお手本を見せて欲しいと思った次第である。

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