
この記事をまとめると
■トレーラーハウスを事業に使用する例が増えている
■季節営業やイベント営業を行う際などに便利だ
■トレーラーハウスのメリットについて解説する
コンテナハウスとは異なるトレーラーハウス
コロナ禍がきっかけになって、人気が沸騰したキャンピングカー。すぐに思い浮かぶのは、トラックやバスに改造・架装をして、ホテルやリビングのような空間を備え付けた車両だろう。しかし、それだけではない。車両に牽引装置を取り付けて、駆動装置をもつ別の車両に引っ張ってもらうタイプのものもあるのだ。これを、とくにトレーラーハウスと呼んでいる。
もともと、アメリカのように公共交通機関より自動車を使った移動が多く、広大な国土をもつ国ではアウトドアレジャーが盛んで、長期休暇などにトレーラーハウスを利用することが多いといわれている。
わが国でも、オートキャンプブームを受けて盛んにPRされているが、駐車場の確保、牽引免許取得の必要性(規格に当てはまる車両は牽引車両に対応する免許だけで運転可)、狭い道での運転が困難などといった理由から、普及しているという状況ではない。
ところが、トレーラーハウスを事業に使用する例が増えてきたのだ。ただ、ここで注意が必要なのはコンテナハウスとは違うということである。
両者は見た目に似ているので、たいへん混同されやすい。簡単にいうと、前者は車輪がついていて移動できるものを指し、後者はそうではないもののことだ。ゆえに、街なかでよく見かけるコンテナを利用したレンタルボックスなどは、移送の際にはトレーラーを使用するものの、その場に設置するのでトレーラーハウスとはいえないのだ。
トレーラーハウスには道路運送車両法が適用される
トレーラーハウスは、この「移動できる」というところがミソなのである。建物は建築基準法に従って造らねばならず、その手順、手続き、制限は非常に厳しい。また、建築費用に関しても近年の資材の高騰や、職人の確保が難しいなどといったことから、上昇の一途を辿っている。建築後は、建物の維持コストも必要だ。そのために、一度建設すると投資の回収には、相当の年月、労力を要する事業になるのだ。
これに対してトレーラーハウスは、建築基準法ではなく道路運送車両法の適用になる。相当の大きさをもつトレーラーなら、車両としては決して取得、維持のコストは安くはないものの、建物に比べればかなり費用を抑えられる。また、キッチンカーのように場所を変えることも難しくないので、季節営業、臨時営業、イベント営業などには向いているといえるだろう。
具体的には宿泊施設や小売店舗といった利用が多く、それらに対してトレーラーハウスをレンタルする事業者もいる。さらに、結婚式場や葬儀場として使用している例もあるという。
これらのホールは建設すると場所や規模などが固定されるが、近年は小規模なものや式前後の宿泊など、ニーズの多様化が顕著になっている。そこで、必要に応じて式場、控室、宿泊施設、キッチンスペースなどを組み合わせて提供するのだ。
ユーザーニーズの多様化による先行きの見通せないマーケットを考えるとき、これまでのような恒久的施設で対応するのは必ずしも効率的とはいえない。すべての小売・サービス業がトレーラーハウスを利用するわけではないのだろうが、今後は屋台のような移動型サービスが増えていくことは間違なさそうだ。

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