
ソフトトップ更新で効率性向上
ドイツ自動車連盟(ADAC、日本のJAFに相当)が、フォルクスワーゲンの小型EV『ID.3』のバッテリー耐久性テストを行った。16万km以上を走行後、一充電あたりの航続距離が新車時と比べてわずか13kmしか低下していなかったという。
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同調査では、バッテリー容量77kWhのうち、4年間の過酷な使用で9%が失われたことが判明した。ADACのエンジニアたちが交代で使用し、定期的に100%までの充電を繰り返した。長距離走行や急速充電も行った。
テスト開始時のID.3の航続距離は438kmだったが、17万2000km走行時点では425kmとなっている。ソフトウェアのOATアップデートにより、エネルギー消費効率が徐々に改善され、バッテリー容量の損失を相殺したとのことだ。
ADACが2021年に実施したラボテストでは、1kWhあたり5kmというエネルギー効率を記録したが、現在は1kWhあたり5.47kmに向上している。実際の使用環境では、合計17万2000kmの走行で1kWhあたり平均4.34kmを記録した。
ソフトウェアアップデートにより、充電速度も向上した。ADACによると、当初は最大125kWの充電が可能だったが、現在は160kWまで対応するという。これにより、10%から80%までの充電時間が約2分短縮されたとしている。
バッテリーの健康状態についてもテストが行われた。走行距離2万1749km時点のバッテリー容量は96%で、5万9166km時点でも変わらなかった。その後、6万9549km時点で95%に低下し、8万7020kmでさらに1ポイント低下して94%に。10万2505kmで93%、12万8500kmで92%、そして最終的に14万5810kmで91%まで低下し、16万9651km時点でも同じだった。
テストの結果、走行距離16万kmまたは8年で元の容量の70%以上を保証するフォルクスワーゲンのバッテリー保証を大幅に上回った。
ADACは今後もID.3の使用を継続し、25万km走行後にバッテリーの状態を再検査すると述べた。
なお、このテストで使用されているのはADACが2021年に購入した『ID.3プロS』という仕様で、全長4260mm、車重1.9トン、最高出力204psの後輪駆動バージョンだ。購入時の価格は税込み4万8550ユーロ(約840万円)だった。
ADACはまた、外気温が低く、バッテリーが冷えているときには急速充電の速度が大きく低下すると指摘した。レポートでは、ソフトウェアアップデートによりバッテリーコンディショニング機能を実装し、充電速度を改善すべきだと主張している。
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