
「来てるやん!すげえ!」。普段は物静かで優しげなイメージの豊島将之九段(36)が、その瞬間だけはガラッと変わったようだ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2025」予選Aリーグ・1位決定戦、チーム豊島 対 チーム稲葉が7月19日に放送された。第2局はチーム豊島・大石直嗣七段(35)とチーム稲葉・吉池隆真四段(20)が対戦したが、激しい戦いの中でチームメイトが逆転した瞬間を目の当たりにした豊島九段が冒頭の言葉をあげる一幕があった。
豊島九段はタイトル6期を誇る実力者。今でこそ藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋聖、棋王、王将、22)がタイトル7つを保持する圧倒的な時代に入っているが、居飛車党の実力者として将棋界をリードしてきた一人が豊島九段だ。日頃から冷静かつ落ち着いた口調で、どことなく保ち続けるあどけなさから女性ファンも多く「とよぴー」「きゅん」といったニックネームもついている。
その豊島九段のキャラが変わって見えた瞬間があった。第2局、先手の大石七段、後手の吉池四段ともに居飛車・雁木を採用しての出だしになると、中盤からじわじわと後手ペースに。80手を過ぎたあたりではABEMAの「SHOGI AI」では後手の勝率が70%を超え、はっきりと優勢、さらには勝勢に近づいていた。
後手から△6六桂という手が出たところでは、解説を務めた小山直希四段(23)からは「見た目に詰めろですね」と勝負も大詰めであることを示すコメントがあったが、ここから大逆転が待っていた。▲2六銀の後、△2八飛と指したところでSHOGI AIの評価値が一変。一気に先手の勝率70%を示した。控室で見ていたチーム豊島・糸谷哲郎八段(36)が「あ!これは▲4二と…。これは来たんちゃう!?」と逆転を察して色めき立つと、豊島九段も「お、お、お!来てるやん、これ!おおー!すげえ!ミラクルが起きたか?」と、普段は出さない関西弁とともに、明らかにハイテンションだと思わせるワードを連発した。
ファンも珍しいものを見たとばかりに「きてるやん!!」「とよぴの来てるやん」「関西弁丸出し」「とよぴの関西弁」とすかさず話題化。対局以上に反応が多く集まっていた。なお対局は大石七段が117手で逆転勝利を収めた。
◆ABEMAトーナメント2025 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が8回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士7人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全8チームで行われる。予選は4チームずつ2リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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