
今週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな「注目の経済指標」について、東京海上アセットマネジメントが解説します。
今週は、「ECB理事会」に注目
今週は、ECB理事会に注目しています(図表1)。
ECBは前回(6月)理事会で7会合連続の利下げを決定し、預金ファシリティ金利はECBが推計した中立金利(1.75%~2.25%程度)の中央値である2%へ引き下げられました(図表2)。

ラガルド総裁は会合後の記者会見で、EUと米国の通商交渉を巡る不確実性が大きいこともあり、先行きの政策金利パスについて「データ次第である」との考えを示し、追加利下げに慎重な姿勢を維持しました。その後に公表された経済データを見ても、今会合で利下げを急ぐ必要性は乏しいと考えられます。
6月のHICPは2%の物価目標に一致しているほか、コアHICPについては前年比+2.3%と物価目標を上回るものの、緩やかながらも鈍化傾向が続いています(前掲図表2)。
また、景気先行指標とされるPMI(総合)は5月の50.2から6月には50.6へ小幅に上昇しており、PMIとGDPの連動性に鑑みると、4~6月期の実質GDPは小幅ながらプラス成長を維持すると見られます(図表3)。

最近では、トランプ米大統領がEUに対する相互関税を当初の20%から30%へ引き上げることを表明しており、この点はユーロ圏経済の見通しを変化させ得る材料となります。
ただし、相互関税発効日は8月1日へ先送りされ、EUと米国の交渉は継続しています。米国による関税賦課はユーロ圏の景気を下押しする可能性が高いことから、トランプ米大統領が関税措置の提示を撤回しない限り、追加利下げは9月のECB理事会で議論される可能性が高いと考えられます。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】7月第3週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」【解説:東京海上アセットマネジメント】』を参照)。

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