国や自治体から支給される返済不要の「助成金」。審査が厳しい「補助金」と混同されがちですが、助成金は要件を満たせば受給できる確率が非常に高いことが特徴です。社労士である藤井貴子の著書、『漫画と図解でわかる 会社をグンと成長させる方法 その悩み、助成金が解決してくれます!』(KADOKAWA)より、最適な助成金の見つけ方について、詳しくみていきましょう。

要件さえ満たせば、助成金は獲得できる

助成金とは、従業員の待遇改善など特定の目的に取り組む企業に、国や自治体が経済的な⽀援をする制度のこと。企業側が一定の条件を満たすことで支給され、企業の経営負担を軽減することができます。

そして、助成金は返済が不要。助成金を活用することで金銭的負担を抑えられ、利益を最⼤化することが可能になります。特に中小企業にとっては重要な資金源となるので、企業の成長に不可欠なパートナーになりうる制度なのです。

設備投資、雇用促進、育児・介護支援、人材育成など、幅広い分野で活用できる助成金を適切に取り入れ、事業の永続的な安定と発展を目指しましょう。

国からの経済的な支援というと、補助金を思い浮かべるかもしれません。助成金と補助金はどちらも中小企業の事業運営を支援する制度ですが、まず対象となる企業が違います。

助成金は、労災保険・雇用保険に加入している従業員がいる企業でなければ申請できません。一方の補助金は、労災保険・雇用保険の加入条件は問われないので、従業員がいない、社長一人だけの企業でも申請できます。

そして、助成金は「人」や「人材不足」に対しての支援のため、新たに雇用したり、人材育成や福利厚生で制度を導入したり、業務効率や生産性を上げるための設備投資をしたりする場合に申請の対象になります。補助金は「物」が対象で、機械やシステム、備品などを導入する場合に申請できます。

支給率にも大きな違いがあります。助成金の対象額は平均して5万円から200万円程度。一方の補助金は、平均して50万円から8,000万円程度と金額が大きいのが特徴です。

ただ、助成金は企業内で必要な帳簿を整備して要件に合って期限内に提出すれば、たいていが受給できます。

それに対して補助金は書類の提出後に審査が行われ、採択される比率が30から50%ほど。予算枠や競争により、必ず申請が通るわけではないというところが大きな違いになります。

このような違いからも、要件さえ合えば確実に受給が見込める助成金を上手に活用することが、企業経営にとって有効であることがわかると思います。

使える助成金の探し方・見つけ方

助成金は主に厚生労働省が管轄となっており、50種類以上も存在します。また、助成金には国の経済や社会情勢が反映されるので、制度の中止や要件の変更といった変動があるのも特徴です。

こうした中から自分の会社に最適なものを見つけるのは至難の業。助成金申請のための情報収集の方法として、以下をお勧めします。

1.厚生労働省のホームページ

厚生労働省は毎年、多数の助成金情報を公開しています。そのため、公式のホームページをこまめにチェックすることで最新情報を得ることが可能です。ただし、専門的な用語や膨大な情報量があるため、初心者には難解な部分も多いのが難点です。

2.YouTubeなどの動画メディア

社会保険労務士や助成金専門家が助成金情報をわかりやすく解説している動画が多く、視覚的に理解しやすいというメリットがあります。特に「事例を交えた解説」や「最新の要件変更情報」を発信しているチャンネルが役立つでしょう。

3.専門の社会保険労務士に相談する

一方で、専門家の力を借りることも大切です。助成金に詳しい社会保険労務士に相談することで、自社に最適な助成金を効率的に見つけることができます。

また、助成金は要件が細かく、条件をすべて満たさなければ支給されません。書類に不備があると申請が認められない場合もあります。申請期限を過ぎると助成金を受け取れないため、事前のスケジュール管理も重要です。社労士のサポートを受けることで、申請書類の作成や提出も代行してもらえるため、スムーズな申請が可能になり安心です。

藤井 貴子

ノエル社会保険労務士事務所

代表

(※写真はイメージです/PIXTA)