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 我が子に壁の登り方を教えている母猫の様子が様々なSNSで取り上げられ感動を呼んでいる。

 何度も何度でも見本を示す母猫。そして我が子を口にくわえて感覚をつかんでもらおうとする。そしてさらにまた見本を示す。

 その忍耐力は我が子を思う愛情から湧き出たものだろう。まだ子猫には難しいかもしれないが、こうやって早くから教えることで、万が一、敵に追われたときに役に立つに違いない。

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我が子を思う母親の愛情

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 動画に映っているのは、ブロック塀の前にいる母猫と子猫。母猫は子猫の前で、「よく見てるのよ」と言わんばかりに身構えて、さっと壁に登る。

 子猫はまだ小さいためか、母猫が何をしているのかわかってないようで、母親の動きに集中せず、あたりをキョロキョロ見たりしている。

 母猫は何度も見本を示した後、子猫にやってみるようにうながすも、何をどうしていいのかわからない様子だ。

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すると母親は、今度は子猫を口にくわえ、体に覚え込ませようとする。

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 そしてさらにまた、自分だけが壁に登り、その姿を覚えさせようとする。

見せて教える、母猫の教育術

 母猫が繰り返し壁を登って見本を見せているのは、猫の子育てにおいて、大切な教育手段のひとつだ。

 猫は人間のように言葉で教えることはできない。その代わりに、母猫は行動で子に伝える。「こうするのよ」と何度も実演してみせ、子猫にその動作を視覚的に覚えさせ、手を貸しながらシミュレーションさせる。

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 このように、自分の動きを“見せる”ことで学ばせる方法は「観察学習」と呼ばれ霊長類や鳥類など、多くの動物が用いる自然な学習方法だ。

 猫の観察学習については、信頼性のある研究[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/5345208/]が報告されている。

 1969年にプレスリットらが行った実験では、生後9〜10週の子猫を対象に、母猫がレバーを操作して餌を得る様子を見せた。

 このとき、母猫の行動を観察した子猫は、見知らぬ成猫の動きを見た子猫や、まったく見本を与えられなかった子猫よりも、課題をより早く、正確に習得したという。

  母猫が壁の登り方を繰り返し見せるのは、まさにこの観察学習を誘発する戦略だ。母猫は「自分がまずやってみせる」ことで、子猫に安全かつ効果的に動きを覚えさせているのだ。

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  何度もあきらめずに教えようとするその姿からは、我が子を思う愛情にあふれている。

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