
7月12日正午ごろ、埼玉県蕨市と戸田市を管轄するごみ処理施設で火災が発生。その影響で両市で7月13日(日)から16日(水)までごみ回収が休止となった。
住民は「ごみの山みたいになっていて、そこからハエがたかっているような状態」「周りに悪臭は漂いますよね」と困惑。猛暑の中、およそ22万人分のごみが行き場を失った。
消防によると、施設地下1階にあるごみの粉砕室のベルトコンベヤから出火したとみられている。ほぼ1日がかりで消し止められたが、出火の原因はいまなお調査中だという。ごみ処理は4日間機能不全で、ごみ出しは一時禁止に。火災発生から5日後の7月17日(木)朝8時からごみ回収が再開された。
「まだ原因はわかってないけど、リチウムイオンバッテリーではないかと言われていて。大変な問題だと思う」と語るのは、現地を訪れたごみ清掃芸人のマシンガンズ滝沢。ABEMA的ニュースショーではごみ清掃員としても働く滝沢が、ごみ回収が始まる前の町の様子を取材した。
「駐車場は多い。こういう飲み物とかタバコとか、裏とかも影に隠れて。誰かがやってくれるだろう、みたいなことなんでしょうね」と、捨てられたごみを回収していく滝沢。別の駐車場でも飲みかけの容器を拾って「放っておくと虫が寄ってくる」と嘆き、「結んでまで捨てている」と、金網に括りつけられていたビニール袋に入ったごみを回収した。
続いて滝沢は集積所に移動。そこには山積みになったごみ袋があり、マンションの管理人に声をかけると「一回休んだから倍になった」とコメント。自治体から配布された回収を中止する旨が書かれた張り紙を掲示したが、それでもごみを出す人はいたという。
別のマンションの管理人は、ごみの出し方について「だらしがねぇな」として、出されて困ったものについて尋ねると「あるある、年中だよ」と話した。
埼玉県内では、2025年1月にも、川口市のゴミ処理施設で火災が発生。原因は可燃ごみに混ざっていたリチウムイオンバッテリーが発火した可能性があるとしている。施設はいまだ復旧しておらず、近隣の自治体の施設でごみ処理を行なっている。施設の修繕などにかかる費用は、およそ65億円にものぼるという。
滝沢がマンションの管理人に「リチウムイオン電池、モバイルバッテリーが入っていたことは?」と問いかけると、「普段はしょっちゅう」「音でわかる」と告白した。
さらに別のマンションの管理人は「何割ぐらいの方が分別してくれない?」という質問に「ざっくり5割」と回答。多く住んでいるという外国人住民がルールを理解できていないことが原因ではないかと語った。
蕨市と戸田市は外国人住民が多いエリア。市では英語、中国語、韓国語、ベトナム語のごみ分別表を配布しているが、言葉の壁や文化の違いから、ごみ分別のルールが正確に伝わりきらないこともあるという。
戸田市の飲食店はどうだったのか。弁当店の店主は「月曜日が生ごみだったが、水曜日まで出せなくて。今日(木曜日)から生ごみが出せる。衛生的にね……」と語った。
しかし町の人によると、それでも大きな混乱はなかったという。なぜ火災発生から4日でごみ回収が再開できたのか。
蕨戸田衛生センターの職員は火災発生を確認すると、消防に通報と同時に埼玉県に支援を要請。それは過去の経験から得た素早い連携だった。翌日には蕨市、戸田市で防災無線を使いごみ回収中止を住民に通知。同時に各町会を通じて、ごみ回収中止のお知らせをごみ集積所に掲示した。
そして火災発生から3日目、さいたま市、越谷市などの、ごみの引き取りが可能な施設からの連絡が届き始め、5日目の7月17日にはごみ回収再開にこぎつけた。1つの自治体がピンチに陥っても、周辺自治体が素早くサポート体制を構築していた。
ごみの回収を行なっていた収集員に「ここら辺は分別はきれいですか?」と尋ねると「そうでもない、場所にもよる。今回は仕方ない」とあきらめた様子で、取材中にびんの入ったごみ袋が「ガチャン」と音を立てる場面もあった。
この日、回収業者は朝8時から夕方の16時半まで8時間半作業し、ほぼすべてのごみ回収を完了させたという。
滝沢は集めたごみの分別をしながら「ごみって社会を表していると思う。生活に密着していたりする」と語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)

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