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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回は(2025年7月12日7月18日)、エンジニアの生産性を高める企業環境のイメージがある企業トップ30、日本が30か国中最下位となった「AIの理解と活用」意識調査、セキュリティ投資意識の分析、若年層で被害が増加する特殊詐欺の現状、会社の飲み会の「最適化」を目指す調査についてのデータを紹介します。

 技術、チーム、企業文化など、エンジニアの生産性を高める環境全般を指す“開発者体験”について、日本のエンジニアが「開発者体験が良さそう」と思う企業を調査、トップ30企業を選出する「Developer eXperience AWARD 2025」より。トップ5は「Google」「メルカリ」「LINEヤフー」「サイバーエージェント」「LayerX」。開発者体験が良さそうと感じさせた「企業発信のコンテンツ」、認知している「発信チャネル」についても調査している。

 ⇒ エンジニアに認知されている企業の発信チャネルとしては、「所属エンジニアのテックブログ」「所属エンジニアの登壇する技術イベント」「所属エンジニアのX(Twitter)」などが上位。ここでは経営者よりもエンジニアが“企業の顔”になっています。

 世界30か国の2万人超を対象に実施した、AIに関する意識調査より。「AIとは何かをよく理解している」と答えた日本人の割合は41%で、調査対象国中で最下位、30か国平均も26ポイント下回った。「今後3~5年でAI利用増加により自分の仕事が良くなる」と考える日本人の割合も29位。「今後5年間でAIが現在の仕事を代わりに行う可能性」は、前年から6ポイント減少しており、仕事でのAI活用への関心も低下傾向を示している。

 ⇒ こうした結果について同社では、日本人特有の「完全主義的思考」による新技術への初動の遅れ、AI環境における日本語精度向上の遅れなどが要因と分析しています。

 世界20カ国・約3200人の各種職位者を対象とした「クラウドセキュリティ調査 2025年版」より。依然として企業の最重要課題は「クラウドセキュリティ」。回答者の3人に2人(世界64%、日本63%)が優先順位の5位以内に位置付け、そのうち17%が最優先事項ととらえている。複数のクラウドプロバイダーの利用(マルチクラウド)が増加し、複雑化が進んでいるため、55%が「オンプレミスよりセキュリティ確保が困難」と回答している。また、攻撃のターゲットとなった資産では、上位5つのうち4つがクラウド上にあるもので、「攻撃の標的はクラウドリソースに集中」と指摘している。

 ⇒ 85%の企業が「クラウド上に保有するデータの少なくとも40%を機密情報が占める」と回答していますが、一方でクラウドでの多要素認証を実装している企業は66%にとどまるギャップも。同社では「設定ミスや認証情報管理不備などの人為的ミスが主要なインシデント要因となっている」と指摘しています。

 全国の20歳以上の人を対象に「詐欺電話」に関するアンケート調査を実施。詐欺電話がきっかけで「金銭被害にあった」「だまされかけた」経験のある人は全体の14.0%、うち56.2%を若年層(20~30代)が占めた。だまされた理由として、20~30代の多くは「怖くて逆らえず」「パニックになった」と感情的要因を挙げ、40~60代以上の過信による思い込み(「信頼できそうだった」「自分がだまされると思わなかった」)との違いが明らかに。また「警察官をかたる詐欺」が増加していることへの認知度は、20代の45.4%が「知らない」と回答するなど、年齢層が低いほど認知も低い傾向があった。

 ⇒ 同社によると、携帯電話への詐欺電話の着信件数は、今年1月から5月で「4倍」に増加しています。一方で、20代の37%、30代の28%が「(詐欺電話などについて)特に情報を得ていない」と回答しています。警察や自治体などによる、これまでの「高齢者を中心とした警戒の呼びかけ」は考え直すべきでしょう。

 全国の企業勤務者7500名を対象に「会社の飲み会」に対する意識を調査。会社の飲み会が「非常に満足」と答えた人の要因は、「参加の自由度」(男性12.84%/女性17.21%)、「参加費」(11.22%/17.35%)、「開催時間」(7.83%/9.06%)が上位。いずれの要因についても、女性のほうが満足度が高い傾向にある。一方で「非常にストレス」を感じる要因としては、「酔っ払いによる騒音・迷惑行為」(30.81%/48.85%)、「気分・体調不良時の参加」(27.35%/46.86%)、「上司の振る舞い」(26.67%/43.33%)。こちらも女性はすべての項目で、男性よりも強いストレス割合を示している。

 ⇒ 会社の飲み会を、誰もが快適な“最適な飲み会”にアップデートするための研究。今回の調査から「性別に配慮して運営する必要がある」と結論付けているほか、今後は職場内の階層的要因(年齢や雇用形態、職位など)にも着目して調査を重ねていくとしています。

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