
トータル性能を重視したプレミアムコンフォートタイヤ
ミシュランのプレミアム・コンフォートタイヤ「プライマシー5」が2025年2月に発表されました。このタイヤをメーカーでは「濡れた路面での安心感が長く続く、環境にも配慮したプレミアムコンフォートタイヤ」と言っています。試乗会が行われたので、その実力を試めしてきました。
最後まで使い切れるサスティナブル性
プライマシー5の立ち位置は、コンフォート系で比較するとすれば、ブリヂストンのレグノシリーズ、ヨコハマタイヤのアドバンdbシリーズ、ダンロップのビューロシリーズに相当する。このカテゴリーのタイヤを求めるユーザーニーズは「高いトータルパフォーマンス」だという。
そうした市場ニーズに応えるためにミシュランでは「高い性能が最後まで続くこと」や現代社会において求められているサスティナブルな製品、つまり環境性能を高める位置付けでタイヤ開発を行なっている。
プライマシー5の技術ハイライトでは縦溝の幅を広げ排水性を高めウエット性能が向上しているところだ。この縦溝はU字型をしており、V字型が一般的と言われているが、U字とすることで摩耗しても排水性能への影響が少ないとされている。つまり高い性能が最後まで続くわけだ。
それと静粛性ではサイレントリブの横溝の両端が、縦溝に接する角度の最適化により、エッジ部の剛性が上がり、ブロック振動が抑制されてノイズが低減する技術を開発。またトレッドのコンパウンドに、新合成ゴムのエラストマー3.0を開発し、ウエットグリップ・転がり抵抗・耐摩耗性の向上という二律背反になりがちな課題に対応している。
そして内部構造の最適化により、トレッド面のより均一な接地圧配分を可能とすることができたのも大きな進化と言える。
操舵時のしっかり感はバツグン
これらの新技術を搭載したプライマシー5を装着したさまざまな車両をテストコースで試乗したみた。
まずはミニバンの日産セレナ。高速周回路を走行。途中、ハーシュネスゾーンを50km/h、レーンチェンジを80km/h、スラロームを60km/hで走行し、高速バンクの走行も行なった。
第1印象は、カチッとしててしっかり感が得られることだ。80km/hのレーンチェンジはスパッとステアリングを転舵するのだが、背高のミニバンにはハードなテストメニュー。実走行では、緊急危険回避以外ではそうした運転はまず行なわないレベルの走り方だ。そこで感じられたのが、ぐにゃっと腰砕けすることなく、ガチっとタイヤが受け止めている感覚だ。
グローバルで見るとハイスピードで走行環境が整っていると言えば、やはり欧州であり、ハイスピードでのしっかり感に重きを置いた開発であることが感じられる。
摩耗しても制動時のフィーリングは良好
ウエットハンドリング路はメルセデス ベンツGLAで走行した。ここでは従来モデルのプライマシーSUVとの比較を行なった。じつは、このプライマシー5からはSUVシリーズがなくなり統合されている。その理由は、SUVオーナーとミニバン、セダン、ハッチバックユーザーの求める性能が類似している点や在庫の課題なども踏まえての結果だという。
さて、その違いだが、じつは非常に似通っていて大きなハンドリングの相違は感じにくい。ただ最初の操舵応答ではプライマシー5のほうが手応えとノーズの動き、反応は良いが、それ以外のグリップ性能での違いは感じにくい。強いて言えばタイヤのスキール音がSUVの方が出ていた程度だった。
そして最後のテストはウエットでの急ブレーキ。テスト車はフォルクスワーゲンのゴルフ8だった。新品のプライマシー5と溝を2mmまで減らしたプライマシー5の比較で、80km/hからのABSが作動させての短制動テストを行った。
制動距離の違いは、新品が27.8mで停止できるのに対し、摩耗タイヤは30m前後。その違いは、ある意味当然の結果だ。ただ、フィーリングとしてブレーキの踏み始めからグリップ感があり、路面を滑る感覚がない安心感が、摩耗タイヤでも感じられたことは特筆すべきことだ。
これは高い性能を最後まで続くことを目標にしている、ミシュランの開発姿勢が製品化できている証だと思う。ユーザーが求める高いトータルパフォーマンスをコンフォート系タイヤで実装しているのが、この新しいプライマシー5と言えそうだ。
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