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エッジの効いた響きはフェラーリ風

ツインターボの4.0L V8エンジンにトリプルモーターで、総合920psを得たランボルギーニ・テメラリオ。初試乗は、ポルトガルエストリル・サーキットに限られた。ヘルメットを被り、攻め込むことも許されたが、公道での印象は確認できていない。

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日常との親和性の高さは、ハイパワー・スーパーカーとして重要なポイントといえる。試乗車は、完成間際のプロトタイプでもあった。2025年の後半には、量産仕様がグレートブリテン島に来る予定。その日が楽しみだ。

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ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)

ヘルメットは防音性が高く、走行中のサウンドを充分に鑑賞できたわけではない。だが、少し前のフェラーリが放った、エッジの効いた響きへ近いように思えた。あちらも、フラットプレークランクを組んだV8エンジンを積んでいたからだ。

ランボルギーニへ期待される、重奏的な機械音や図太い燃焼音は放たれない様子。それでも、フェラーリのV8エンジンは1万rpmまで引っ張れない。超高速で回るクランクシャフトからは、特有の響きが奏でられ、刺激に不足はないだろう。

1万rpm以下でも不満なく速い 回したい衝動

3基のモーターが叶えるトルクは太く、アクセルペダルを踏み切る必要性は、サーキットでも限定的。8速デュアルクラッチATの変速は、極めて迅速。奮い立って右足を傾ければ、5000rpmへ達する前に、胸が苦しくなるほどの加速が始まる。

正直なところ、1万rpmまで回さなくても不満なく速い。それでも、回したいという衝動に駆られる。レッドライン目がけて、その勢いは熾烈さを増していく。

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ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)

ブレーキペダルの感触は頼もしく、不安感なく速度を殺せるが、ブレーキングゾーンでは車重の影響を隠さない。加速力ほど、減速力は強力ではないようだ。

コーナーでは、フロント側のトルクベクタリング機能が威力を発揮し、高い旋回速度を披露。パワーを掛けながらでも、鋭い回頭性を叶えつつ、安定性も素晴らしい。スポーツ・モードとドリフト・モード時は、ベクタリング制御が変化し、敏捷性が更に増す。

没入するスポーツ・モード 野獣感は若干乏しい?

かくして、操縦性はウラカンより直感的。車重は増えていながら、バランスも素晴らしい。最速でサーキットを周回するなら、コルサ・モードが理想的。正確なステアリングでラインを選びつつ、鋭く沸き立つトルクを調和させ、タイムを削れる。

あるいは、深く運転へ没入したいなら、スポーツ・モードが良さそうだ。更にダイナミックにテメラリオを操れ、シャシーの限界へ情感豊かに迫れる。

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ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)

ドリフト・モードでは、ドリフトアングルを選ぶことが可能。ノブに3段階のポジションがあり、20度から40度でテールを振り出すことができる。フロントアクスルが巧みに進行方向を維持しつつ、不気味なほど絶妙で自然にスライドし続けられる。

ただし、ステアリングホイールへ伝わる情報量は限定的。ブランドらしい、野獣感も若干乏しいかもしれない。ハイブリッドのV8エンジンと軽くない車重は、一般道でどんな喜びを導くのだろうか。

驚異的な回転数と新次元の操縦性

ウラカンから能力を遥かに拡幅する、テメラリオ。ランボルギーニ自ら、「フオリクラッセ」(別格)」のモデルだと主張する。V10エンジンは失ったが、多くのライバルが6気筒なことを考えると、V8エンジンでも訴求力は欠かないはず。

サーキットを10周走った程度では、実力へ迫ることは難しい。公道でのドラマチックさやエキサイティングさは、その環境でなければ探ることができない。

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ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)

9500rpmへ達した時や、最大トルクを召喚した時、150km/hでコーナーを縫う時に真の魅力が顕になるなら、もどかしく感じる可能性はある。しかし、インタラクティブな操縦性や、ドライバーを惹き込む能力の高さは明らかだろう。

テメラリオが、ハイブリッドへ完全にシフトするランボルギーニの、強力な新人であることは間違いない。さらなる成長を、確実に後押しするに違いない。驚異的な回転数と新次元の操縦性で、充分以上の可能性を実感させてもらった。

◯:ジュニアとは呼ばせない速さと操縦性 ウラカン以上の限界領域での魅力 思わず見惚れてしまうデザイン
△:V10エンジンの高揚感まではない ウラカンから相当な価格上昇 スタイリングにはもう少し個性が欲しい

ランボルギーニ・テメラリオ(欧州仕様)のスペック

英国価格:26万35ポンド(約5149万円)
全長:4706mm
全幅:1996mm
全高:1201mm
最高速度342km/h
0-100km/h加速:2.7秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:272g/km
車両重量:−kg
パワートレインV型8気筒3995cc ターボチャージャー+トリプルモーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:920ps/9000-9750rpm(システム総合)
最大トルク:74.2kg-m(V8エンジン)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動


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