中古車戦線異常アリ! いま旧車のタマが減るばかりか現行モデルの中古価格まで高騰!!

この記事をまとめると

■昨今は旧車の中古車物件が激減して価格は上昇傾向にある

■海外バイヤーによる買い占め日本国内の物価・部材費高騰が影響していると考えられる

■新車納期の長期化が追い風となって高年式中古車のニーズも急増中

外国人が狙う日本の中古車

 時間があると、大手中古車検索サイトで旧車の中古物件を眺めることがよくある。この前、久しぶりに旧車物件を検索すると、価格自体も総額表示にまだ慣れないところもあるなか、それでも高値傾向が顕著になったなあと感じたのだが、なにより物件数の極端な減少傾向を強く感じた。

 日本車のなかではもっとも長い歴史をもち、いまもなお現役でラインアップされているトヨタ・クラウンでは、以前は数台は必ず掲載されていた初代、いわゆる「観音開きクラウン」は1台も掲載されていなかった。2代目も掲載台数が少ないイメージが強いが、3代目や4代目もそれほど多くなく、とにかく年式の古い順番で見ていくと、あっという間に1974年にデビューした5代目となってしまう。

中古車市場に起きる変化とその背景を分析

 掲載台数が減っていることが、即市場に出まわっている物件数の減少につながる、とするのは早計かもしれないが、ここのところクルマに限らず日本を訪れる外国人があらゆるジャンルで年代物の商品を積極的に購入し、それがもとで相場が吊り上がっているとの話はよく耳にすることがあり、つい脳内でそれとリンクしてしまった。

 少し前には、日産スカイラインGT-Rなど日本メーカーの高性能スポーツカーが海外バイヤーに積極的に買われていることが話題となっていたが、現状ではそのような傾向が広範囲に渡っているようで、トヨタ・カローラの物件情報をみると、初代より2代目や3代目のほうが中古車価格は高くなっていた。カローラは2代目以降広く海外でも普及するようになったので、やはり海外市場というものの影響を感じてしまう。

中古車市場に起きる変化とその背景を分析

 ここ最近、日本では物価上昇が顕著となり社会問題化しているが、それでもとくに欧米人からみればまだまだ日本での買い物バーゲンセールのように映るようだ。東京では新築マンションの平均販売価格が1億円を超えたとされるが、外国人がこぞって購入していると聞く。

 年代もののクルマ、つまりヴィンテージカーの相場も、欧米などに比べればまだまだバーゲンプライスのようだし、先行投資目的で今後相場が上がりそうなモデルにまで手を出しているようにも見える。

中古車市場に起きる変化とその背景を分析

 そもそも、日本から輸出される中古車は走行距離もそれほど伸びていないし、日本人は一般的に大切に乗るために程度もよいので、実用車としてのニーズにおいての海外における人気の高さはいまさら語る必要もなく一般的となっている。最近では、東南アジアなどを中心としてほぼ未使用の軽自動車が日本から中古車輸出され高値で取引されたり、軽トラックが世界的に注目されているのも有名な話となっている。

高年式の新車も高騰が続いている

 かつては、「新車は買えないので中古車で……」とよくいわれたが、海外バイヤーの目に留まらない一般的な車種であっても、高年式車ほど高値傾向が顕著となっているように見える。

 数年前、半導体不足などの影響で新車の生産が思うようにできず、世界的に新車の納期遅延が問題となった。あのころに比べれば、一部の人気車種を除けば納期については改善傾向が見受けられるのだが、それでも生産計画の都合などにより新規受注停止や納期が乱れることがある。

中古車市場に起きる変化とその背景を分析

 そんなタイミングで新車ディーラーへ行くと、「お急ぎなら中古車で探してみては……」とセールスマンに案内されるのだが、そもそも生産計画が乱れているのだから、同型車の中古車流通台数も当然少ない。それでも同じように優良物件を探すひとは多いので、当然需要と供給の関係から中古車価格は上昇していくことになる。なかには新車で購入するよりも支払総額が高くなる車種もあるとも聞く。

 新車ディーラーでは、短いスパンで使用した試乗車を自社中古車センターで販売することがあり、この「試乗車あがり」を狙うひとも増えている。よほどほしがるひとが多いと、新車時価格より中古車価格が上昇することもあるが、手間のかかる値引き交渉を経なくても新車よりは若干お得程度の価格となるのが、一般的には魅力なようである。

中古車市場に起きる変化とその背景を分析

 ただ、ここのところは部材費や流通経費、人件費高騰を車両価格に反映させることも狙った一部改良が、多くのメーカーで頻繁に行われるようになった。見た目はほとんど変わらずに若干の装備内容が変更されることが多く、そのため従来は改良ごとに試乗車も入れ替えを行っていたのだが、ここのところは見た目が大きく異なるまでは試乗車の入れ替えを行わないケースも目立っているようだ。

「いまはここが変わっていますよ」とセールスマンが説明しているようである。以前より長く試乗車として使い、ディーラーによっては店長(営業所長)などが幹部使用車両として兼用していることもあり、走行距離があっという間に数万kmとなることもあるようす。以前ほど「試乗車あがり」の魅力(低走行距離など)は薄くなることもあるようだが、それでも中古車価格が目立って下がることもないようである。

中古車市場に起きる変化とその背景を分析

 メーカーを問わず、どのメーカー系正規ディーラーでも中古車販売に力を入れているのが現状。そのような動きも中古車相場を吊り上げているのかもしれない。

 いいタマ(中古車)は展示場に並ぶ前に売れてしまう、これは古くから中古車販売の世界でいわれてきた話。中古車専業店は在庫をもっていればそれだけ負担が増えるので、できるだけ短いスパンで仕入れてから売り切ろうとするのである。そのため「これはいける」と思った物件は仕入れた直後は展示場に並べず、ほしいとして声をかけてもらっているお客などへ売りさばいてしまうのである。

中古車市場に起きる変化とその背景を分析

 中古車を買うにあたって業者に希望を告げて、その希望に叶うクルマが入り連絡がきたら買うか買わないかを即断するといった買い方をするひとも多いようだ。

 いまどきは未使用に近い程度のよい高年式車か、乗り潰しを前提とした低年式車かに中古車の売れ筋は二分されているともいわれている。とくに高年式中古車に関しては価格面の魅力というよりは、納車を待たされる新車に対して「すぐ乗ることができる」というのが最大の魅力となっているようである。

中古車市場に起きる変化とその背景を分析

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