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華やかで若々しさを好む層がターゲット

ロールス・ロイス・ゴーストは、ファントムよりひと回り小さい、乗りやすいリムジンとして2009年に登場。顧客数を増やしただけでなく、年齢層の若返りにも貢献した。

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ラインナップとして初めて、ブラックバッジを名乗ったのは2016年。伝統と格式の上級サルーンとは対極的な、華やかで若々しいモデルを好む層をターゲットに、モダンなデザインやマテリアルを取り入れた仕様となってきた。

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ロールス・ロイス・ゴースト・ブラックバッジ(英国仕様)

ラインナップ全体でブラックバッジ仕様は一定の支持を集めており、全体の25%で指定されているという。2020年に登場した2代目ゴーストにも、当然のように設定されている。スポーティさを強めて。

2025年のゴーストはフェイスリフトを受け、前後ライトの形状を一新。控え目なメッキトリムで飾られる。新しいホイールも追加された。大きなエアダムが一体になったフロントバンパーは、ブラックバッジの専用。ブレーキ冷却用のインテークも備わる。

ブラックバッジでは600psと91.6kg-mのV12

プラットフォームはBMW譲りではなく、オールアルミ製となる独自開発の「ラグジュアリー」。エンジンは、ファントムと同じ6.75L V型12気筒ツインターボと、孤高の内容にある。そのブラックバッジは、歴代で最も機敏なリムジンだと主張される。

通常のゴーストは、最高出力572ps、最大トルク86.5kg-mだが、ブラックバッジでは600psと91.6kg-mへ上昇。このパワーは8速ATが受け止めるが、スロットルの開度が90%を超えると、50%高速に変速するプログラムが組まれる。

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ロールス・ロイス・ゴースト・ブラックバッジ(英国仕様)

サスペンションは、革新的な「プラナー」アクティブ・エア。カメラ映像を元に、予測的にエアスプリングダンパーを制御することに加えて、横方向の揺れを抑える目的で、前後アクスルにも独立したダンパーが実装される。

フェイスリフトではサスペンションの設定が見直され、姿勢制御と運転の一体感を高めたという。高度な四輪駆動システムと後輪操舵システムは標準で備わり、アクティブ・エグゾーストを得るブラックバッジでは、より迫力あるサウンドも楽しめる。

あえて細いステアリング 滲み出る格調の高さ

車内空間は、ファントムほど圧倒されるわけではないが、別格の雰囲気。運転席へ座ると、従来的なレイアウトで落ち着ける。大きなシートはフカフカで、調整域は広い。上級サルーンらしく、座面の位置は高め。足元の空間にはゆとりがある。

テクニカルファイバーと呼ばれる内装トリムは、ブラックバッジならでは。カーボンファイバーに金属製ワイヤーが織り込まれた素材で、高級感だけでなく高性能さも滲ませる。もちろんオーナーのお好みで、別注トリムでコーディネートも可能だ。

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ロールス・ロイス・ゴースト・ブラックバッジ(英国仕様)

大径ステアリングホイールのリムは、あえて細め。コラムシフトやウインカーのレバーも細く上品。モニター式のメーターパネルには、ブランド伝統のパワーリザーブ・メーターが描かれる。タコメーターがないのは、特別な動力源を宿すことの暗示といえる。

後席側は、リムジンとして納得の広さ。リアヒンジのコーチドアに、リアピラーへ隠れるシートが、格調の高さを醸し出す。上質な素材と適度な包まれ感に、どんな人が乗っても安らげるだろう。ホイールベースが170mm長い、エクステンデッド仕様も選べる。

アップデートを受けたスピリット・システム

現代のリムジンだから、「スピリット」と呼ばれるインフォテインメント・システムも実装する。フェイスリフトでアップデートを受けたが、基本的には前世代感が漂う。とはいえ、センターコンソール上にロータリーコントローラーがあり、操作性は良い。

エアコン関係には、独立したハードスイッチによるパネルを用意。モニターの下には、任意に機能を登録できるショートカットキーが8つ並ぶ。少し時間をかけて設定を詰めれば、扱いやすいシステムになるはず。運転の邪魔にもならない。

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ロールス・ロイス・ゴースト・ブラックバッジ(英国仕様)

後席側には、試乗車の場合はピクニックテーブルの裏面にモニターが内蔵されていた。お好みで映画などをストリーミングすれば、長時間の移動もやり過ごせる。ワイヤレスのヘッドホンにも対応する。

荷室は、部分的に幅が狭いものの、奥行きは最大1.2mもある。長距離旅行の荷物も、余裕なはず。

走りの印象とスペックは、ロールス・ロイス・ゴースト・ブラックバッジ(2)にて。


伝統と格式の「対極」 ロールス・ロイス・ゴースト・ブラックバッジ(1) 歴代一に機敏なリムジン