テレビ番組などの制作会社が加盟する全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)は24日、記者懇談会を行い、一連の問題から改革を進めるフジテレビとの関係について説明した。

○「この環境を考えると下げざるを得ないのではないか」

フジテレビは7月10日付で編成局や制作局を再編した新体制になり、新設されたコンテンツ投資戦略局や第1~第3スタジオのトップがATPの事務局を訪ね、新組織について説明。応対したATPの福浦与一理事長(IVSテレビ制作社長)は「これまでの編成と制作のあり方からかなり変わったという印象を受けましたので、注視していかなければいけないと思っています」と見解を述べた。

番組発注の面での影響については、福浦理事長が総合演出を務める『ネプリーグ』など記者会見の中継番組で放送休止になった番組はあったものの、「放送が飛んだ分の費用は頂いて、フジテレビには非常に助かっています」と説明。また、「9月までの契約書にある放送回数を守るということもおっしゃっていたので、大きく影響が及ばないような環境は作っていただいたかなと思っております」とした。

一方で、制作が進行していた特番を見送る動きもあったが、「それに関してもそこまでかかった具体的に見える費用を精算していただいておりますので、会員社からクレームが上がってきたということはございません」といい、「CM出稿が減るなど苦境の中で、非常に配慮いただいたと思い、清水(賢治)社長をはじめフジテレビの方には感謝しています」と話した。

ただ10月以降については、「これから制作費がどれくらい減ってくるかというのは注視していかないといけない。現時点で制作費を維持するという話も、下がるという話もないのですが、おそらくこの環境を考えると下げざるを得ないのではないか。その場合、同内容で価格を下げるというのは我々対応できないので、どういう折り合いで番組を作っていくかが課題になってくると思います」と懸念点を挙げた。
○ハラスメントの窓口が常に身近にある状態に

フジテレビ第三者委員会が示したハラスメントが蔓延しているという状況については、「私もフジテレビとは仕事をだいぶしているので、驚いているとともに、何とかしたいという気持ちにももちろんなりました」とした上で、「タレントさんやビジネスの関係にある方とは一定の距離を置いておかないと、何かが起きる可能性があるというのを個人として感じました」と受け止めたという。

過去にはATP加盟の制作会社から、テレビ局からハラスメントを受けたという報告が上がってきたこともあったといい、「ハラスメントに対する活動は、これからも継続しなければいけないなと思いました」と気を引き締めた。

そんな中で、各局ではハラスメント対策を具体的に策定。「例えば社屋の中で、“ハラスメントがあったらここに連絡をください”とQRコードが貼ってあったり、それが台本に載っていることもあります。なので、常にハラスメントに対して制作会社やフリーの方、出演者も含めて、窓口が身近にあるという状態に一気になったことに驚いています」と実感を語った。
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画像提供:マイナビニュース