
この記事をまとめると
■イタルデザインはCES2023にてコンセプトカーの「クインテセンザ」を発表した
■クーペスタイルでありながらリヤに荷台を出現させることができるきわめて斬新なデザイン
■インホイール型パワートレインにより4輪トータルで2145馬力の最高出力を得る
イタルデザインによる未来への新たなるクルマの形の提案
話は2023年1月にアメリカのネバダ州ラスベガスで開催されたCES2023にさかのぼる。ここでイタルデザインが世界初公開したコンセプトカー、「クインテセンザ」は、その未来的でかつ独創的なエクステリアとインテリアのデザインで世界中から注目を集める存在となった。
そのクインテセンザがさらに進化し、驚愕のスペックを掲げるに至った。現在ではまだコンセプトカーという位置づけであることに変わりはないが、イタルデザインは今後、2000万ドルというから日本円にして30億円を超える投資を行い、アメリカのミシガン州ブルームフィールドに新たな本社を設立することも発表。
クインテセンザで掲げられたコンセプト、そしてそのメカニズムの詳細を知れば、そのプロダクション化への期待も大いに高まる。
クインテセンザのボディは、一見スポーティなクーペスタイルに見えるが、リヤシートを回転させることでリヤにトラックベッド、すなわち荷台を出現させることができるきわめて斬新なものだ。クーペとピックアップというふたつのスタイルをシチュエーションによって使いわけるというコンセプトは、さすがにこれまでも革新的なアイディアを実現してきたイタルデザインの作といった印象だ。
インテリアのフィニッシュもシンプルかつ端正なもので、ここにも最新のコンセプトカーとしての魅力を強く感じることができる。
強い傾斜をもつフロントウインドウと、それに連なるグラストップの採用によって、4シーターのキャビンは常に開放的な雰囲気へと演出される。
新本社設立でこれまで以上に斬新なデザインソリューションを提供
さらなる進化を遂げたクインテセンザには、エラフェ社によるエレクトリックモーター技術が導入された。モーターを各ホイールに搭載する、いわゆるインホイール型のパワートレインレイアウトがそれだ。エラフェ社のソニック1と呼ばれるモーターは、1基あたり341馬力のピーク出力を発揮するというが、クインテセンザはそれをはるかに上まわる出力を発揮するという。結果、クインテセンザは4輪トータルで2145馬力の最高出力を得ることに成功しているとのことだ。
EVのパワー戦争はいまに始まったことではないが、2000馬力というラインをさらに超越するクインテセンザのスペックは、やはり刺激的というほかはない数字である。
はたしてその2145馬力がフルに路面へと伝達されたとき、ドライバーはどのような印象をクインテセンザに対して抱くだろうか。表現はさまざまあるだろうが、それは現在市場にあるスーパースポーツをはるかに超える、これまでに体験したことのない世界であることは間違いないはずだ。
前で触れたブルームフィールドの新本社は、イタルデザインをさらにグローバルな企業へと発展させる重要な拠点となる。同社のCEOであるアントニオ・カス氏によれば、アメリカのカスタマーにこれまで以上に革新的な技術、そしてもちろんデザインにおけるソリューションを提供することが、新本社設立の直接の理由であったとのこと。クインテセンザはそのための序章にほかならないのだ。
もちろんイタルデザインが意識するのはアメリカ市場だけではないのは確かなところ。はたしてイタルデザインは今後の展開にどのようなビジョンを描いているというのだろうか。その動向には世界中からの注目が集まっている。

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