
この記事をまとめると
■トラックの路上駐車が問題視されている
■警察が取り締まりを行うようすが報道されることもある
■トラックの路上駐車にはやむを得ない事情がある
危険なトラックの路上駐車
路上駐車してある車両が原因となって発生した交通事故は数知れず存在する。そのため、そのドライバーに責任が課せられるケースもあるのだが、最近ではたくさんの大型トラックたちが路上駐車している場所に警察が立ち入り、取り締まりを行うというニュースが目立つようになってきた。ただでさえ危険な迷惑駐車だが、それが車体の大きい大型トラックとなれば、近隣住民が苦情を入れるのは当然のこと。そして、取り締まりを強化するという警察の姿勢も、至極もっともなことである。
しかし、その原因にまで追及するような人は、意外にも少ない。プライベートで使用する乗用車であれば私用のために路上駐車しているケースが大半であるため同情の余地はないが、仕事のために使っている大型トラックをわざわざ路上駐車するには、それ相応の理由が存在するのだ。
ドライバーの都合のために大型トラックを駐車する必要が生じるのは、食事休憩や買い物、仮眠といったケース。大型トラックを駐車できる場所は限られているため、おのずとスペースのあるドライブインやコンビニ、道の駅などを選択することになる。いずれも用途に応じた使い方をしていれば、問題視されることはないだろう。
そして路上駐車であるが、免許証が命のトラックドライバーたちは路上に駐車するという手段を好まない。路上駐車している大型トラックたちは、ドライバーの身勝手な行動で起きている問題ではないのだ。その大半が、荷物の積み降ろし先からの指示によるもの。会社側の都合に合わせたタイミングで荷物の積み降ろしを行いたい。しかし、会社の敷地内に大型トラックを駐車させるスペースが存在しない。そのような理由から、大型トラックを会社からほど近い路上で待機させているのだ。
切符を切られるのはトラックドライバー
そのような身勝手な理由であっても、ドライバーサイドは仕事をもらっている以上反論できない。違反切符を切られる可能性が高いことを自覚しながら、やむなくその場所に駐車しているのである。
今回のような取り締まりによって罰せられるのは、当然のことながらドライバー。はたして、これでこの問題が解決したといえるのだろうか。
わたしたちに身近な存在であるコンビエンスストアに配送するトラックも、納品時間がこと細かく定められている。予定時刻より先に到着しても納品できないし、遅れたらペナルティを課せられる。そのため、納品先のコンビニ付近で時間調整をしなければならない。もちろん、その大半が路上である。深夜の納品が多いためさほど問題視されていないかもしれないが、路上駐車問題はドライバーを取り締まっても、解決しないのである。
長距離を走る大型トラックのドライバーたちは、時給に換算すると最低賃金にも満たない場合がほとんど。それなのに罰金やペナルティを背負わされたり労働時間を短縮されてしまうと、まともな暮らしなどできなくなる。しかし、やり玉に挙げられるのは、つねにドライバーなのだ。そんな状況では、ドライバー不足に陥ってしまうのも無理はないだろう。
ドライバー不足だと問題提起している国や機関が、ドライバー不足となる原因を作っている張本人。国の偉い人たちがそこに気づかない限りは、トラック業界が活性化するようなことはないだろう。

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