ホテルチェーン「スーパーホテル」(大阪市)と業務委託契約を結んで働いていた元支配人・副支配人の2人が、実態は労働契約だったとして、労働者としての地位確認などを求めた訴訟で、東京地裁(角谷昌毅裁判長)は7月10日労働者にあたらないとの判断を示した。

スーパーホテルは7月25日、「原審判決を受け止めまして、引き続き誠実に対応してまいりたいと思います」と弁護士ドットコムニュースにコメントした。

一方、原告らは7月23日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開き、判決を不服として控訴したことを明らかにした。

●東京地裁「原告らは、労働者には該当しない」

判決文によると、原告の2人は2018年、ホテル側と委託契約を結び、都内のスーパーホテルで支配人・副支配人として運営業務を担っていたが、2020年に契約を解除された。

2人は同年5月、業務委託契約であっても、ホテル側の指揮監督下にあり、実態は労働契約で、労働法が適用されると主張して、未払い賃金などを求めて東京地裁に提訴。

一方、ホテル側も、原告らのホテル運営で損害が生じ、提訴会見などによって名誉を傷つけられたなどとして反訴していた。

東京地裁は、原告らにはホテル側が作った運営業務全般のマニュアルについて遵守が義務付けられ、一定の時間的・場所的拘束が生じていたなどの事情を認めつつも、労働者(労働契約法2条1項、労働基準法9条)には該当せず、労働契約とは認められないと結論づけた。

さらに、判決では、原告らが販売可能な客室があるのに、宿泊を断っていたといった事情を踏まえて、客室販売に関する善管注意義務に違反したと指摘。原告のホテル運営によって損害が出たとするホテル側の主張を認めて、原告に対して、約300万円の損害賠償を支払うよう命じた。

●暴行主張も「認める証拠はない」と判断

原告らは、提訴時の会見で、同社の社員から暴行を受けたなどとも主張し、刑事告訴していたが不起訴処分となったという。今回の判決でも、暴行を受けたと認めるに足りる証拠はないとされた。

●原告「到底納得できない」スーパーホテル「引き続き誠実に対応していく」

原告の渡邉亜佐美さんは記者会見で「裁判所によって私たちは労働者ではないと判断されました。到底納得ができません。控訴することに決めました」と語った。

原告代理人は「労働法の存在意義を否定するに等しい判決だ」と批判した。

スーパーホテルは取材に「原審判決を受け止めまして、引き続き誠実に対応してまいりたいと思います」とコメントした。

スーパーホテル元支配人に300万円賠償命令、「労働者性」認められず控訴 運営会社「引き続き誠実に対応する」