親&祖父母世代がブイブイいわせていたクルマにいまZ世代が熱視線! 若者が熱狂するネオクラ輸入車7選

この記事をまとめると

■バブル時代の輸入車は若者にとってデートするための道具でもあった

Z世代にネオクラシックカーと呼ばれる古めの輸入車が人気だ

■幼少期に自身の両親や親戚が乗っていたという環境が影響しているケースが多い

Z世代に大人気なネオクラ輸入車とは

 時はバブル。当時の若者にとっての輸入車、むしろ「外車(ガイシャ)」と表現したほうがしっくりくる時代は、目いっぱいオシャレして、女の子とトレンディなスポットでデートするための道具でもありました。つまり「見栄を張ってでも乗りたいクルマ」だった側面があります。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 時は流れ、Z世代と呼ばれる若者たちが運転免許を取得し、自身の愛車が所有できるようになりつつあります。かつては見栄を張るための存在だった外車(ガイシャ)たちも、いい塩梅でこなれてきて、自身のライフスタイルを表現するオシャレアイテムとして支持されるようになったのです。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 自身と同世代か、もしかしたらクルマのほうが年上というケースも珍しくない組み合わせ。もっと快適で、故障の心配もいらないクルマがいくらでもあるなか、なぜあえて古いクルマを愛車に選ぶのでしょうか。

 今回はさまざまな取材を通じて知り合った、20代〜30代の若者に人気なヨーロッパのネオクラシックカーをピックアップしてみました。

*この情報は2025年6月現在のものです(カーセンサー調べ)

●アウディ TT(初代)

・生産期間:1999年10月~2006年9月
・当時の新車の価格:419万円〜562万円
・中古車の平均価格:72.7万円
・中古車の価格帯:23万円~385万円

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 いまから30年前の1995年に、クーペのスタディモデルとして発表されたアウディTT。同年12月に量産化が決定し、1998年に生産が開始されます。以降、2006年までにクーペとロードスターを合わせると約27万台生産されています。世界初の総合的なデザインに関する教育を行った機関、「バウハウス」にヒントを得たとされる初代こそ、もっともアウディTTらしいデザインだといい切る人もいるほどで、日本でも人気が再燃しつつあります。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 若い世代の方にとってのアウディ TT(初代)は、幼少期に子ども向けのミニカーで遊んだ懐かしい存在でありますファミレスのレジ付近にあるオモチャコーナーにもありました!)。大人になってから改めてアウディ TT(初代)見て、デザインの美しさに再度気づくと同時に、「カッコイイクルマの原体験ともいえる」存在なのかもしれません。

●ボルボ 240エステート

・生産期間:1989年10月~1993年12月
・当時の新車の価格:365万円〜418万円
・中古車の平均価格:202万円
・中古車の価格帯:85万円~419万円

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 ボルボ240そのもののデビューは1974年。2024年で誕生から50周年を迎えた歴史あるモデルです。1993年に生産が終了するまでの19年間のあいだに約280万台も作られ、モデル後半になると、世界はもとより日本でもエステート(ワゴン)の人気を博し、ワゴンブームの一翼を担ったモデルだといえます。角張ったデザインと大きなガラスが目を引くリヤクォーターが特徴的なボルボ240エステートは、生産終了から30年以上が経過した令和の時代の日本でも根強い人気を誇ります。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 ボルボ 240エステートは、現役当時からクラシカルな雰囲気が魅力的だったモデルです。「古いクルマ」として扱われる時期を過ぎ、味わい深いクラシックさが若い世代の方にとって「1周まわってお洒落」に映っているように感じます。街なかで240エステートを運転している若い方を見ると、その「着こなしっぷり」に思わず嫉妬してしまうくらいサマになっていて驚くことがあります。

●フィアット・パンダ(初代)

・生産期間:1981年11月~1999年12月
・当時の新車の価格:144.5万円〜215万円
・中古車の平均価格:102万円
・中古車の価格帯:20万円~450万円

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 初代フィアットパンダのデビューは1980年。ちなみに、日本市場導入は1982年から。駆動方式はFFと4WD4WDの駆動システムは、メルセデス・ベンツのゲレンデヴァーゲンも手掛けたオーストリアの軍用車メーカー、シュタイヤープフ社によるもの。このクルマのデザインを手掛けたのは、4月に来日し話題となったジョルジェット・ジウジアーロ。「パンダといえば初代!」というほどのインパクトを誇り、日本の路上でも後継モデルよりも見掛ける頻度が多いのでは? と思えるほど、現役の個体も多いベストセラーカーです。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 フィアット パンダ(初代)って中古車の価格も文字どおり「ピンキリ」ですが、クタッとしていても画になる数少ない輸入車って気がします。しかもいまやレアな左ハンドル&MT車。いざとなれば大人4人乗れる(狭いけど……)し、ひとり暮らしなら引っ越しの荷物も積める。クルマの整備のイロハが学べる。ジョルジェット・ジウジアーロが手掛けたデザインっていうのもクルマ好きにはグッとくるポイントです。

●フォルクスワーゲン・ゴルフII

・生産期間:1984年4月~1992年3月
・当時の新車の価格:217万円〜330万円
・中古車の平均価格:234.9万円
・中古車の価格帯:40万円~488万円

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 1983年に2代目となり、日本では1984年から販売開始となったフォルクスワーゲン・ゴルフII。3ドア/5ドアハッチバックのほか、カブリオレなど、さまざまな派生モデルが誕生しています。ゴルフにとってもうひとつのアイコンである「GTI」が正規輸入されたのも、ゴルフIIからです。むしろ、Z世代の親御さん世代にとって懐かしいモデルといえるのではないでしょうか。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 市場には高年式のゴルフの中古車がいくらでも売られているのに、あえてゴルフIIにいく。「お父さんが乗っていたクルマがゴルフIIだった」「お父さんがよく読んでいたクルマの雑誌に載っていた」など、幼少期の記憶がうっすらと残っていて、ほしいクルマを考えてみたときにゴルフIIに乗ってみたいと思った。そして、中古車でもなんとか買える金額だった。自分も若いときに乗っておきたい。そういった原体験をひきずる(もちろん良い意味で!)若い人たちの受け皿となっていることは確かです。

幼少期の思い出を愛車に

●クラシック ミニ(ローバー ミニ)

・生産期間:1983年5月~2001年6月
・当時の新車の価格:139万円〜359万円
・中古車の平均価格:191.9万円
・中古車の価格帯:55万円~398万円

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 いまやMINIといえばBMWグループの1ブランドではありますが、クラシック ミニと呼ばれるモデルの源流は1959年にまでさかのぼります。日本では正規輸入されたり、途切れたりを繰り返したものの、1983年オースチンローバージャパンが設立され、1990年にはミニクーパーも復活。1992年にはエンジンをインジェクション化。2001年まで生産されます。日本各地にスペシャルショップが存在し、根強い人気を誇ります。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 ゴルフIIと同様に、クラシック ミニも、小さいころからよく見ていたし、大人になってからも街なかを走っている。あれこれ調べはじめるとじつに奥が深い。あまりにも深すぎて沼にハマる。そしてついに実車を手に入れてしまう……のパターンです。全国各地に専門店があり、よい個体と主治医が見つかれば部品は何とかなるし、まわりのベテランオーナーたちが何かと世話を焼いてくれる(笑)。はじめの一歩さえ踏み出せれば、あとは「底なし沼」が待っている魅惑の世界です。

●ジープ・チェロキー(2代目)

・生産期間:1990年1月~2001年9月
・当時の新車の価格:269.8万円〜513万円
・中古車の平均価格:176.9万円
・中古車の価格帯:95万円~249.8万円

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 2代目にあたるジープ チェロキーのデビューは1983年。日本では1989年クライスラージャパンセールスが設立され、正規輸入がスタートします。1993年にはホンダディーラーで購入できるようになり、さらには右ハンドル仕様の輸入が開始されたことで身近な存在となっていきます。1994年モデルのエントリーグレードは300万円を切る価格で販売されていたこともあり、当時の若者でも頑張れば手が届く輸入車として人気を博しました。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 小さいころアメ車好きのお父さん、あるいはお母さんが乗っていた。自分が大人になってみたらまだ売ってる! しかもお洒落でカッコイイ! ということで、幼少期から家にアメ車がある家庭で育った若い世代にも人気です。ご両親の英才教育の賜物でしょうか。若い男性だけでなく、女性オーナーを見かけたりします。しかも似合う! お父さん世代としては、若いころの今井美樹がこのチェロキーに乗っているのをテレビで観たことを思いだしてしまったのは、いうまでもありません。

●メルセデス・ベンツ ミディアムクラス/Eクラス(W124)

・生産期間:1986年1月~1993年8月/1993年9月~1995年9月
・当時の新車の価格:580万円〜1550万円
・中古車の平均価格:373.5万円
・中古車の価格帯:105万円~1849.9万円

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 数あるメルセデス・ベンツのなかでもベストセラーカーとして知られるW124/S124型。デビューは1985年、日本では1986年から販売が開始され、名称がミディアムクラスからEクラスへと変更され、W210/S210型へとフルモデルチェンジした1995年までの約10年間、多くのユーザーに支持されたモデルです。ボルボエステートモデルと同様に、日本のステーションワゴンブームに貢献した1台であり、いまだに根強い人気を誇ります。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 何も若いうちからメルセデス・ベンツにいかなくても……と思うなかれ。お父さんではなく、おじいちゃんが所有していて、たまに乗せてもらうのが至福のひとときだった……という、何とも羨ましいご家庭で育った若い世代にとって、メルセデスといえばこのモデルなんです。大人になり、このモデルがいかに偉大で、時代を超えて愛される理由を知るにつれ、自分も乗ってみたいと愛車に選びます。流行りのワゴンではなく、あえてセダンに。それはおじいちゃんが乗っていたから。

●見栄でも自己顕示欲でもステータスシンボルでもない。幼少期の原体験がきっかけ

 レコード、カセットテープラジカセファミコン。挙げればまだまだキリがありませんが、筆者を含め、幼少期に昭和の時代を過ごした人間からすれば、慣れ親しんできた懐かしいものばかり。いずれも当時の記憶を呼び起こしてくれる愛すべき小道具たちです。しかし、Z世代の人たちにとってはアナザーワールド。生まれたころにはそのほとんどが家庭や市場から姿を消し、実物を見ることすらなく幼少期を過ごしています。そして、大人になって追体験で存在を知り、同時によさを知ったものばかりです。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 今回ピックアップした7モデルを所有している若い世代のオーナーには、共通していることがあります。それは「自分が子どものときに親や祖父母が乗っていた(乗っていたと聞いた)」あるいは「家にあったクルマの雑誌を小さいころに見て以来、いつか乗ってみたいと思っていた」など、幼少期の原体験がキーになっている傾向が強いのです。

 自他ともに認めるクルマ好きがいる一方で、ファッションや腕時計など、自分の気に入ったものを身につけたい、所有していたいという人もいます。いずれにせよ、見栄でも自己顕示欲でもステータスシンボルでもない、「自分がいいと思ったモノを、自分の意思で選んでいる」人たちばかりです。

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

 老害発言であることを承知のうえで。若いときだからこそ乗っておきたいクルマって、あるように思います。別にヨーロッパ車、そして輸入車である必要はありません。ましてやスーパーカーである必要もありません。時間と体力とお金の融通が利くうちに多少でも無理すれば手が届くのであれば、いつかは乗ってみたいクルマを手に入れてみてほしいな……と、老婆心ながらに心から思います。

フィアット・パンダ(初代)

現代の若者が熱狂する懐かしのネオクラ輸入車7選

親&祖父母世代がブイブイいわせていたクルマにいまZ世代が熱視線! 若者が熱狂するネオクラ輸入車7選