来週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな「先週の世界経済の動き」について、東京海上アセットマネジメントが解説します。

「参議院選挙」や「ECB理事会」に注目が集まった先週

先週は、参議院選挙やECB理事会に注目しました(図表1)。

20日の参議院選挙では連立与党(石破首相率いる自民党公明党)が議席を減らし、衆参両院で過半数割れとなりました。

石破首相は参議院選挙後に日米通商協議が妥結していないことなどを理由に続投の意向を表明したものの、23日に25%の相互関税発動期限である8月1日を前に日米通商協議が合意に至ったことから、石破首相の辞任に向けた機運が高まる可能性があります。

目先、28日に予定される両院議員懇談会で「石破おろし」の動きが強まるか注目されます(図表2)。

仮に、石破首相が辞任する場合には、自民党総裁選、国会での首相指名選挙を経て新首相が選出され、野党との連携を模索する展開が想定されます。

具体的には、政策ごとに野党の協力を得て実現することや、議席の過半数回復に向けた連立枠組みの拡大が考えられます。特に、与野党の隔たりが大きい物価高対策で、野党が主張する消費税の減税などに対して与党がどの程度譲歩するか注目されます。

ECBは、主要政策金利である預金ファシリティ金利を2.00%に据え置くことを決定しました(図表3)。

利下げ見送りは、2024年7月以来8会合ぶりとなります。ラガルドECB総裁は記者会見で、足もとの経済状況について「良好な状態」としたうえで、インフレ目標達成に向けて「よい位置にいる」との認識を示しました。

関税政策については不確実性に対する警戒感を示しつつも、「関税交渉が早期に解決されれば、対処しなければならない不確実性が減少する」と述べました。景気の底堅さに加え、関税政策によるディスインフレ圧力への警戒感が緩和されたことも、ECBにとって安心材料になっていると考えられます。

また、前回の6月会合時点でユーロ高が利下げの理由の一つであったものの、ユーロ高の進行は7月に入って一服しています。

今回の記者会見を踏まえると、次回9月会合における利下げのハードルは高くなったと考えられます。  

東京海上アセットマネジメント

※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…7月第4週の「米国経済」の動き』を参照)。

(※画像はイメージです/PIXTA)