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 7月27日(日)さいたまスーパーアリーナにて「超RIZIN.4」が開催され、朝倉未来が元RIZINフェザー級王者のクレベル・コイケに判定勝利。約4年ぶりの再戦でリベンジを果たし、5月の鈴木千裕戦に続いて2連勝を飾った。

【映像】超RIZIN.4ハイライト

 昨年7月の超RIZIN.3で平本蓮にKO負けを喫し、一時は現役引退を表明していた朝倉。今年5月のRIZIN男祭りで復帰を果たすと鈴木千裕に判定勝利し、今大会でのクレベル戦を迎えた。クレベルと朝倉は2021年6月に対戦して、この時はクレベルが三角絞めで一本勝ちしており、朝倉にとっては約4年ぶりのリベンジ戦となった。

 試合は打撃で攻めたい朝倉×寝技でフィニッシュしたいクレベルという構図が分かれる展開となり、クレベルの組み技・寝技を凌ぎつつ打撃でポイントを取った朝倉が判定2-1で競り勝った。試合後のインタビュースペースで朝倉は「自分は普通に3-0で勝ったと思った」、クレベルは「今日は勝ちを盗まれた。負けたとは思っていない」と話し、RIZIN榊原信行CEOも「リングサイドで見ていてジャッジ泣かせ、どっちが勝ってもおかしくない試合。これまでで1、2を争う判定が難しい試合だった」と見解を示したように、試合内容は超接戦だった。

 クレベルはテイクダウンや引き込んでからの展開を作ろうとする回数は多かったが、明確に朝倉を寝かせたり、サブミッションの形を作るまでには至らなかった。逆に朝倉はクレベルの仕掛けを凌ぎ、2Rにインサイドガードからのヒジ打ちを当てるなど、グラウンドでの打撃をヒットさせていた。ダメージが優先されるRIZINのマスト判定において、朝倉の方が評価される場面を作っていたことが勝敗を分けたと言えるだろう。

 それが出来たのも朝倉がRIZINフェザー級No.1の寝業師であるクレベルに対し、組み技・寝技の展開で差がつく場面を尽くらせなかったディフェンス能力の向上があったからだ。朝倉の組み技・寝技のコーチであり、試合当日にセコンドも務めた黒帯柔術家の竹浦正起はクレベルの動きを徹底的に研究して対策を練り、セコンドから見てもクレベルの動きは想定内だったという。

「今回はクレベル選手がどういう風に組んでくるか、どういう風にテイクダウンを狙ってくるか、どういう風にバックを狙ってくるか、クローズガードでどういう風にアタックしてくるか…そこを徹底的に研究して、その対策を未来さんが実行してくれました。セコンドについていても、クレベル選手の動きが想定内だったので、未来さんがミスをしなければ大丈夫だと思って見ていました。特に力を入れてやっていたのは大きく分けて2つで、クレベル選手のクローズガードの中に入った時、手と頭をどこの位置に置けばいいか。クレベル選手はテイクダウンできなかった時に引き込んでバックを狙ってくるので、どうやってバックに回られないようにするか。こちらとしては三角絞めとバックチョークが怖かったので、そうさせないように準備していました」

 この試合のハイライトの一つであり、敗れたクレベルも「唯一ダメージがあった攻撃」と認めた2Rの朝倉のヒジ打ちも事前の対策から生まれた一撃だった。また寝技になった時にクレベルから離れて立ち上がるタイミングも入念に練習していたものだ。

「相手にガードポジションを取られた時、ちゃんと正しい位置に手と頭を置いて(三角絞めを)取られないようにする。それを大前提にして余裕が出来たから攻撃しようと事前に言っていて、2Rのヒジはまさにその流れで出た技です。もし未来さんが正しい対処を出来ていなかったら、あのヒジは打てていなかったと思います。またクレベル選手から離れるタイミングもちゃんと練習していました。寝技になって相手に下から攻められている時、相手に突っ込みすぎたり、間違ったタイミングで離れようとすると技をかけられてしまう。タイミングがずれるだけで動きが全然変わってくるし、未来さんは練習していた通りに正しいタイミングで動いたからこそ、クレベル選手から距離を取って離れることが出来たと思います」

 もともと持っていた荒々しさと緻密な寝技の技術。この2つをミックスしたファイトスタイルこそ復帰後の朝倉未来の真骨頂だ。試合後のリング上で朝倉は次の対戦相手として過去に敗れているヴガール・ケラモフや平本蓮の名前を挙げた。新たに手に入れた強さと共に朝倉はリベンジロードを進むつもりだ。

文/中村拓己
©RIZIN FF
 

朝倉未来がクレベルにリベンジ 「クレベル選手の動きは想定内だった」コーチが明かす徹底した寝技対策