
この記事をまとめると
■N-VAN e:ゆずりのパワートレインとEVらしさと親しみやすさを併せもつ内外装
■現時点で詳細は未公開だが2025年秋に発表・発売予定
ホンダ初の軽乗用EVが登場
日産サクラ・三菱eKクロスEVがセンセーショナルなデビューを飾ったのが2022年。そこからじつに3年が経とうとしているが、現在に至るまでに他社から対抗モデルがデビューすることはなく、軽乗用EV市場はこの2車種が寡占する形となっていた。
そこに待ったを掛けるべく、ホンダから登場するのが「N-ONE e:」である。
モデルの概略としては、その車名の示すとおり軽乗用車・N-ONEの電動版といって差し支えない。
だが、エクステリアを一見しても、その与える印象は文字どおり大きく表情を変えている。既存のコンポーネントを有効活用しながらも、軽快さとナチュラルさ、EVらしいクリーンな印象をもたせたスタイリングへと装いを新たにしているのだ。
フロントマスクでは、先進性を感じさせるデジタルリングライトの灯体と、それを囲むブラックの縁取りが印象的。高くなったボンネットの厚みを感じさせず、ガソリンモデルのN-ONEと同一のドアパネルにも違和感なく繋がる巧みな処理となっている。
リヤセクションはクウォーターパネルまでがガソリンモデルと同一で、トランクハッチとバンパーが専用となるが、こちらもフロント同様大きく印象が変わっている。ガソリンモデルよりも大幅に下部に移動したナンバーポケットはもちろん、より大きな曲率をもたせたというリヤガラスも視覚的に効いている。
インテリアを覗けば、ちょっとした衝撃が待っている。水平基調のインストゥルメントパネルに、センターディスプレイが存在しないのである。
というのも、N-ONE e:のメインターゲティングユーザーは、40〜50代女性。さらにその親子使いを想定している。そしてそのような層は、コミュニティ内での移動が多く、高機能なインフォテインメントシステムを必要とするケースが少ないことから、量販グレードではセンターディスプレイを排するという思い切った選択に出たのだ。
そのかわり、フルデジタルとなるメーターには標準でBluetoothオーディオが仕込まれる。これは、ナビはスマホでいいけれど音楽はクルマのスピーカーで聴きたい、という若年層の需要に応えるものだ。もちろん、最新のインフォテインメントシステムがほしい、というユーザーのため、上級グレードには9インチHonda Connectナビが標準設定となる。
小柄な女性でも適切なドライビングポジションを取りやすいよう、ガソリンモデルよりも37mm乗員側に近づけられたステアリングや、スマホ同様のパーセンテージでのバッテリー残量表示など、ターゲティングユーザーを見据えた細やかな作り込みは、インテリアのいたるところで見られる。
長い航続距離にワンペダルも採用
数少ない軽乗用EVだけに、否が応でも気になるのがその走り。現時点でスペックシートは明らかにされていないが、そのパワーユニットは昨年登場した軽商用EVのN-VAN e:と基本的には同一となるという。N-VAN e:の最高出力は53〜64馬力、最大トルクは162Nmなので、N-ONE e:でもそれに準ずるスペックとなるだろう。
気になる一充電走行距離は、WLTCモードで270km以上を目標としているという。N-VAN e:が245kmなので、重量、空気抵抗で有利なN-ONE e:には期待が高まる。参考までに、日産サクラのWLTCモードでの航続距離は180kmだ。
走りについてのトピックとしては、N-VAN e:では採用されていなかった、アクセルだけで加減速や停止までを行えるシングルペダルドライブコントロール、いわゆるワンペダル機能が採用されたことも挙げられる。
なお、足まわりやサブフレームなど、パワートレイン以外の構造はほとんどがガソリンモデルのN-ONEからのキャリーオーバーとなり、EV化に伴う重量増についてはダンパーのセッティング変更などで対応する。
グレード構成は、スチールホイール仕様・センターディスプレイレスとなる量販グレードの「G」と、アルミホイール仕様・9インチHonda Connectナビを装備した上級グレードの「L」の2種類で、それぞれに新色の「チアフルグリーン」を含む6色のカラーバリエーションが用意される。
また、純正アクセサリーも充実する見込みだ。エクステリア・インテリアのドレスアップアイテムのほか、車外から充電ステータスがひと目でわかる充電インジケーターや、クルマを蓄電池のように使えるAC外部充電器といったEVならではのアクセサリーも充実。リサイクル素材でできたドアバイザーなど、サステナブルなアイテムにも注目だ。
ホンダ初の軽乗用EVとなるN-ONE e:の発表・発売は、2025年秋に予定されている。価格やグレードごとの装備一覧、詳細スペックなどは明かされていないが、軽EV市場に新たな競争の波を起こしそうな期待の1台だ。

コメント