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 ハサミなどでは切りづらい硬い材料や、小さいパーツを切るときに重宝する工具が、ニッパー。とくに電子工作であれば、部品のリード線を切除したり、線材のカットや被覆むき、プラスチック部品の切り離し、切り欠きの加工、といった用途で活躍してくれます。

 イロイロな場面で重宝するニッパーですが、困ったこともあります。それは、切り端が結構な確率でどこかへ飛んで行ってしまうこと。飛び散り防止カバーのない爪切りみたいなものですから、それはもう、あちこちに飛びまくります。

 拾い集めるのが面倒というのもありますが、細いより線が飛び散ってショートしたり、見失った切れ端を踏んで怪我をするなど、切れ端による被害もバカにできません。

 飛び散らないよう、リード線を指で押さえて切ったり、空いている手で覆いながら切る、といった対策をしている人も多いでしょう。とはいえ、頑張って対策したところで飛ぶときは飛びます。

 そんな切れ端の飛び散りに悩んでいる人にオススメしたいのが、刃の部分に樹脂パッドを装備し、しっかり切れ端をキャッチしてくれる「つかめるニッパー」(実売1400円前後〜)です。

 薄刃タイプと強力タイプの2種、サイズ違いを含め合計4製品を貸していただき、どんなものか試してみました。

●柔らかいパッドでしっかりキャッチ

 4製品に共通しているのは、飛び散り防止用に樹脂パッドを装備していること。

 どうやって飛び散らないようにしているかというと、原理はシンプル。刃で切り取る前に対象をパッドで挟み込み、切った後に飛んでいかないよう押さえこんでいるだけです。

 パッドの内側には溝があり、簡単に凹む仕組み。対象物に合わせて変形、フィットするため、対象が太かろうが細かろうが、関係なしにキャッチしてくれるわけですね。

 面白いのは、この変形という利点を生かして、複数の線材をキャッチすることも可能なこと。例えば、8線のLANケーブルを一度にカットしても、8本すべてをキャッチしてくれます。

 また、被覆をむいたより線を切ると、芯線がバラバラと飛び散ってしまいますが、つかめるニッパーならそのほとんどをキャッチできます。

 このように、まとめてカットしたいときにも活躍してくれますが、気を付けたいことがあります。それは、切断できるサイズ、パッドがキャッチできるサイズに限界があることです。

 直径が2mmくらいまでであれば、サイズが小さな「TH-125NC」や「TH-125CNC」が向いています。また、小回りがきくので、電子工作で部品のリード線を切る場合も、こちらがオススメです。

 これに対し、直径が2mmを超える線材、複数の線材を一度にカットしたいというのであれば、サイズが大きな「TH-150NC」や「TH-150CNC」を使うほうがいいでしょう。

●2種類の刃は用途で使い分ける!

 薄刃タイプと強力タイプの大きな違いは、刃のつけかた

 薄刃タイプの「TH-125NC」や「TH-150NC」は、主に内側を削って刃がつけられており、外側はフラットとなっているのが特徴です。これと違って強力タイプの「TH-125CNC」や「TH-150CNC」は、主に外側が削られており、内側は少しだけ削られた形になっています。

 薄刃タイプは内側しか削らないため、より大きく削る必要があります。そのため、(タイプ名通り)若干ですが刃が薄くなっており、硬いものや太いものが不得意。その代わり、外側がフラットなのでギリギリを切ることができ、切り残しが少ないという点がメリットです。

 強力タイプは両側から削るため、刃が分厚くできるのが特徴。これにより、固いものや太いものもがカット可能になります。デメリットは、薄刃タイプと違ってギリギリで切れないため、切り残しが大きくなりがちになるという点でしょうか。

 結束バンドを根元で切ってみるとわかりやすかったので、比べてみました。

 この切り残しは結構鋭くて痛く、怪我をしてしまう危険があります。こういった部分の処理をするなら、薄刃タイプが最適です。

 薄刃タイプはプラスチックやより線、軟銅線がカット対象で、サイズの大きい「TH-150NC」でも、2mmの軟銅線までとなっています。これに対し強力タイプは、軟鉄線やステンレス線のカットも可能。ステンレス線は、サイズの小さい「TH-125CNC」でも1mmまで、大きい「TH-150CNC」なら1.2mmまでカットできます。

 電子工作はもちろん、ケーブルの加工や針金を使った工作をするなら、汎用性が高い強力タイプがいいでしょう。ただし、切り残しを少しでも減らしたいというなら、薄刃タイプがオススメ。根元ギリギリで切れるので、後処理なしで済むというのは本当に楽です。

●交換パッドは追加購入も可能!

 長く使っているとパッドが劣化し、うまくキャッチできなくなる可能性があります。ですが、安心してください。パッドはネジ止めされているだけなので、自分で簡単に交換できます。しかも、予備が2組付属しているので、かなり長く使えるでしょう。

 この付属のパッドまで使い切ってしまっても、追加で購入できるので大丈夫。1組200円しないくらいですから、安く直せます。

 ちょっと特殊なニッパーですが、2000円以下とお手頃なうえ、刃の形状やサイズ違いで4モデル用意されているのがいいところ。自分の用途にあったモデルを選べば、長く便利に使えること間違いなしです。

●お気に入りポイント●

・細い線までしっかりキャッチ

・予備のパッドが2組付属してる

・薄刃タイプならギリギリまで切れる

切った瞬間キャッチ!「つかめるニッパー」が超便利でした