
アップルが、2025年秋に正式リリースを予定するiPhone向け次期OS「iOS 26」のパブリックベータが公開されました。話題のLiquid Glass(リキッドガラス)デザイン、電話アプリによる通話機能の強化など盛りだくさんな進化の内容をレポートします。
無料で試せるiOS 26パブリックベータ
iOS 26のほか、秋にアップルがリリースを予定する新OSはApple Beta Software Programのページから、Appleアカウントと手持ちのデバイスを登録すれば誰でも無料で試せます。
もはや、さまざまなウェブサイトや動画配信サービスには、アップルの最新OSのデベロッパベータの画面や動画解説が掲載されていますが、本当はパブリックベータも含むベータ版の画面を公開することは禁じられています。なぜならベータ版OSはあくまで開発途中段階のソフトウェアなので、正式版では機能や画面の仕様が変わることがあったり、ユーザーインターフェースの見た目が違う可能性もあるから、というのがひとつの理由です。本稿では取材に基づく特別な許可を得たうえで、iOS 26パブリックベータの画面を掲載しています。
これは即戦力! 3つの新機能
iOS 26といえばLiquid Glassを採用した新しいデザインが話題を呼んでいますが、いったんそれは横に置いて、筆者が便利に感じた新機能を紹介します。
1つは電話アプリの便利機能である「保留アシスト」です。長い時間待たされがちなコールセンターなどに電話をかけた時に、iPhoneがユーザーの代わりに待機してくれ、保留が終わると着信音やバイブレーションで通知してくれます。待機中は電話アプリのタスクをバックグラウンドに回して、音楽を聴いたりYouTubeを見ながら過ごせます。
実際に使ってみるとまだベータ版には改善の余地が残されていると感じました。日本企業のコールセンターの中には待機している発信者に気をつかって、保留中に「ただいま電話が大変混み合っています」的な音声ガイダンスを何度も挟むサービスもあります。保留アシストは通話相手から「呼び出し音」または「発声」が聞こえた時に通知をユーザーに届ける仕様なので、その都度「順番が来たぞ!」と呼び出されてしまうからです。世界には日本と同じコールセンターのサービスモデルが沢山あると思うので、正式版OSがリリースされるまでに何らかの改善策が打たれることを希望します。
電話アプリに追加されるもうひとつの便利機能に「通話スクリーニング」があります。筆者は仕事に関連する連絡先として、名刺等に携帯電話の番号をお伝えしています。頻繁に連絡をもらう方は、筆者も連絡先に登録を済ませています。でも時には発信者がわからない番号からの着信に応答してみたら、お仕事の依頼だったということもあります。そして中にはセールスの電話だったり、すぐに仕事を中断してまで応答する必要はない連絡だったりもします。
「通話スクリーニング」があればiPhoneが「名前と要件を録音してください」と相手に音声メッセージで伝えます。相手が名前と要件を伝えた発信については着信音、またはバイブレーションによりiPhoneがユーザーに取り次いでくれます。会議中、または電車で移動中など、ユーザーがワケありのため電話に出られなかった場合には音声と文字に起こしたテキストが残るので、内容を確認して折り返すこともできます。
電話アプリの設定から通話スクリーニングのオンとオフが選べます。公開されたばかりのパブリックベータでは通話スクリーニングをオンにしても動きませんでした。秋の正式公開までに機能が公開されたら改めて試したいと思います。
2つの機能は特に生成AI的なものを使わなくても、「電話」であるiPhoneのベーシックな使い心地を高める余地がまだ残されていたことをあらためて気付かせてくれます。筆者のような個人事業主にとっては、iPhoneが秘書みたいに活躍してくれるありがたい機能です。
3つめの機能が「ライブ翻訳」です。電話/FaceTimeのアプリも音声による同時翻訳に対応しますが、残念ながらiOS 26の導入当初は日本語をサポートしません。日本語対応はメッセージアプリからになります。そしてこの機能はApple IntelligenceとiOSの「翻訳」アプリを使います。
ライブ翻訳はメッセージ単位で、必要な時にだけ使えます。筆者は数少ない海外在住の友人と英語でやり取りしたり、たまに出張の際にタクシーの配車サービスのドライバーとiMessageで連絡を取り合うことがあります。少し込み入った内容を伝えたい時にライブ翻訳が使えれば頼もしいでしょう。
美しいLiquid Glassデザイン
慣れるまでに時間がかかりそう
「iPhoneとLiquid Glassデザイン」の相性について、筆者のファーストインプレッションを少し語りたいと思います。
平面であるデジタルディスプレイの空間の中に再現した、立体感あふれる“ガラスのオブジェ”のようなアプリアイコン、ナビゲーションコントロール、時刻表示のフォントはふつうにキレイだと思います。ホーム画面のページをスワイプ操作で切り替える時に、壁紙の模様とフォルダが交差して煌めくエフェクトは、ウィスキーのグラスに浮かぶ氷を眺めているようで飽きが来ません。
Liquid Glassデザインのルックスの美しさについて筆者は文句なしの立場なのですが、iOS純正アプリのナビゲーションのデザインがまあまあ変わっていることに戸惑いました。Safariはブックマークやタブのコントローラーが一瞥してわかる場所にありません。
Apple Musicはキーワード検索時の画面の動線が変わりました。こちらは「画面の下側」にナビゲーションをまとめたiOS 26の新しいデザインの方が使いやすいと感じますが、慣れるまでに少し時間がかかりました。
カメラアプリはナビゲーションのデザインがよりシンプルになりました。iPhoneを使い慣れていれば良い印象が持てる「改善」方向のアップデートだと思うのですが、シニア世代のiPhoneユーザーである筆者の母は、すぐになじめないかもしれません。これは、改めて説明する機会を設ける必要がありそうです。
Liquid Glassデザインとの相性はmacOS Tahoe 26の方がベターな印象を受けました。詳細については改めて新macOSのパブリックベータのレポートでお伝えします。
スクショ対応のビジュアルインテリジェンスや歌詞翻訳が楽しい
ほかにもiOS 26にはたくさんのアップデートがあります。パブリックベータを試しながら、筆者が気に入った機能をいくつか紹介します。
ビジュアルインテリジェンスがiPhoneのスクリーンショットの画像検索に対応しました。Android端末の一部が対応する「かこって検索」によく似た機能ですが、iOS 26では「とりあえずスクショ」して、あとからChatGPTに聞いたりGoogle画像検索を使い分けることができます。iOS 26もスクショした後に画像の特定箇所を「かこって検索」することで、検索結果の精度が高まりました。正確さはAndroidの「かこって検索」と互角ぐらいでしょうか。
Apple Musicの歌詞表示機能を発展させた「翻訳を表示」と「発音を表示」の機能が楽しく、外国語の学習にも最適です。著作権の関係で、アプリの使用中画面を紹介できないのが残念ですが、たとえば少女時代の楽曲「Gee」を再生して両方の機能をオンにすると、韓国語歌詞の意味が英語、韓国語の発音が日本語のカタカナでそれぞれ表示されます。
「写真」アプリに新設される、2D写真を3D写真に自動変換する「空間シーン」にもハマりました。visionOSが先行する形で搭載した機能がiOSにも広がってきた格好です。何年も前に旅行にでかけて撮影した古い写真や、デジタル一眼カメラで撮った写真も“空間化”できるので、いつまでも遊んでしまします。
【注意点】製品版では変わる可能性あり
自己責任にて導入してほしい
最後にもう一度、アップルOSのパブリックベータ版を試用する際の注意事項です。
パブリックベータ版OSには現時点で大きなバグが含まれている可能性もあります。試す際には、日ごろからメインで使っているiPhoneにインストールすることはなるべく避けて、今は使っていないサブ機などで試すことをオススメします。
iOS 26の対応機種は2019年に発売された「iPhone 11」世代以上のナンバリングモデルか、または2020年に発売された第2世代のiPhone SE以降のモデルです。ビジュアルインテリジェンスやメッセージアプリのライブ翻訳などApple Intelligenceを使うiOS 26の新機能は、Apple Intelligenceに対応するiPhoneでのみ使えます。
筆者はiOS 26をiPhone 16に導入して試しました。先述の通りパブリックベータの先行レポートなので、一部ユーザーインターフェースの文字表記が日本語化されず英語のままだったり、正式リリースの時点で変わる可能性があることはあらかじめご了承ください。

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