
この記事をまとめると
■グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでマセラティが新作を披露
■MCプーラは2020年に誕生した「MC20」の進化版という位置付けだ
■リッターあたりの出力は210馬力でパワー・ウエイト・レシオは2.33kg/psを誇る
マセラティが栄光の地で新型を披露
毎年さまざまなハイパフォーマンスカーがデビューを飾るグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード。今年ももちろん例外ではなかったが、そのなかでも観衆からとくに熱い視線が注がれた1台が、マセラティが発表したニューモデル、「MCプーラ」だった。
ちなみにこのMCプーラは、2020年に誕生した「MC20」のさらなる進化型といえるもの。さっそくその詳細に迫ってみよう。
まず報告しなければならないのは、やはりエレガンスの極みともいうべき魅力的なデザインだ。グッドウッドでは「AIアクアレインボー」と呼ばれるニューカラーをまとって披露されたMCプーラだが、そのチョイスは間違っていなかった。まさにエアの流れを可視化したかのような流麗なボディは、同時にそれが実現するだろうパフォーマンスへの期待感を大いに高めてくれるもの。
時代を超えて受け継がれるイタリアンデザインの神髄、あるいは芸術と科学の融合。マセラティはこのような言葉を用いて、MCプーラの息を呑むかのような美しさを表現する。
インテリアのフィニッシュもまた素晴らしい。そのなかでももっとも印象的なのはアイスカラーで縁取りされた、アルカンターラによるシートで、それがエクステリアの造形と巧みにシンクロしていることはいうまでもない。MCプーラのキャビンは、ほかのどのブランドにもない独特なエレガンスさと、卓越した機能性を両立させたものなのだ。
MCプーラの基本構造体とされるのは、もちろんカーボンファイバー製のモノコックだ。それは高剛性と軽量性を両立させる直接の理由であり、車重はわずか1500kgに抑えられることになった。
ちなみにMCプーラにはクーペのほかに、「チェロ」と呼ばれるコンバーチブルも用意されるが、後者は格納式の電動ガラスルーフを装備。クラス唯一となるポリマー分散型液晶技術を採用したそれも、軽量性を考慮して設計されていることはいうまでもない。
文句なしの圧倒的性能を秘める
ミッドに搭載されるエンジンは「ネットウーノ」、すなわち英語でいうネプチューンとネーミングされた3リッターのV型6気筒DOHCツインターボ。その最大の技術的特徴はMTC(マセラティ・ツイン・コンバスチョン)、すなわちプレチャンバー(副燃焼室)システムの導入で、MC20でそれが初採用されたときにはこれが大きな話題となったことも記憶に新しい。
注目の最高出力と最大トルクは、それぞれ630馬力、720Nmと、MC20のそれから変化はないが、その数字に不満を抱くカスタマーなど、おそらくは皆無であるに違いない。リッターあたりの出力は210馬力にも達し、また前で触れた1500kgという車重から計算されるパワー・ウエイト・レシオの2.33kg/psという数字も、大いに魅力的なものであるのは確かだ。

こちらも軽量性を重視して設計されたネットウーノ・エンジンは、さらに潤滑方式をドライサンプとしたことや、ターボチャージャーをVバンク内ではなく、左右両バンクの下側にレイアウトすることなどによって低重心化を実現。これもまたMCプーラの運動性能向上に大きく貢献するエンジニアリング。組み合わせられる8速のDCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)もまた、その驚異的なシフト速度など、さまざまな魅力を感じさせる。駆動方式はもちろんRWDとなる。
MCプーラは、その開発に始まり、生産、そしてカスタマイズ部門である、オフィチーネ・フォーリセリエ・マセラティによるインディビジュアル・プログラムにまで至るすべてのプロセスをモデナのマセラティ本社で完結する、いわゆる「メイド・イン・モデナ」のコンセプトに基づいて誕生したモデル。それもまたマセラティというブランドに心酔するカスタマーには特別な響きをもつ言葉だ。
MCプーラと同チェロは、グッドウッドでの世界初公開と同時に販売が開始された。そしてそれはマセラティにとって重要な輸出市場である日本にも、さほど大きなタイムラグなく上陸を果たすことになるはずだ。はたしてそれは、前作MC20からどれほどの進化を遂げているというのか。そのステアリングを日本の地で握ることを待ち望むマセラティのカスタマー、そしてファンは大いに気になるところだろう。
参考までにマセラティからは、0-100km/h加速で2.9秒未満、また最高速では325km/hという魅力的なパフォーマンスデータが発表されている。

コメント