
まさかの逆転劇に、棋士たちの感情が剥き出しになった。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2025」予選Bリーグ1位決定戦、チーム藤井 対 チーム永瀬が7月26日に放送された。第2局はチーム藤井・古賀悠聖六段(24)と、チーム永瀬のリーダーである永瀬拓矢九段(32)が対戦したが、終盤で周囲も驚く逆転劇。藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋聖、棋王、王将、23)も「ええ!?」と大きな声を出すことになった。
第1局、藤井竜王・名人も佐々木勇気八段(30)に追い詰められながら逆転勝利を収めていたが、その流れが第2局にも続いたのか。先手・古賀六段が矢倉、後手・永瀬九段が雁木の相居飛車で始まった将棋は、じっくりとした展開ながら解説の井出隼平五段(34)が「先手としてはまとめにくい将棋」と指摘したように、少しずつ形勢が後手に傾いていった。
40手を過ぎたあたりから、後手から6筋を中心に戦いを仕掛けると、57手目に古賀六段が▲6四銀と指し、ここからさらに後手ペースに。その後も先手に苦しい指し手が続くと、60手を過ぎたころにはABEMAの「SHOGI AI」も後手の勝率を70%以上とし、井出五段も「現局面は後手がかなりいい」と語っていた。
急展開が待っていたのは最終盤だった。後手が先手玉にプレッシャーはかけるものの分かりやすい寄せが見つからない中、先手から97手目に▲4三金という手が飛んだ。これを永瀬九段はすんなり△同金と応じたが、これがまずかった。▲3一飛成と王手をしながら竜ができた瞬間、控室で見守っていた藤井竜王・名人は「え?ええ!?これ来たんじゃないですか?」と興奮気味に声を出した。
ここから指し手進み、▲2六飛車と打ち込んだ手が絶好の王手馬取りに。永瀬九段は大事な攻め駒だった金で合い駒するしかなく、ボロッと馬を抜かれる展開に思わず天を見上げて、頭に手を置いた。ここが勝負の分かれ目になり、その後は古賀六段が優勢を拡大、123手で勝利を収めた。
ファンからも「事件は盤上で起きている」「事件でーす」「きてます」「わ、これはすごくない?
」と逆転劇に対するコメントが流れる中、痛恨の負けを喫した永瀬九段は頭をかきむしるような仕草の後、すぐに対局場を後にしていた。
◆ABEMAトーナメント2025 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が8回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士7人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全8チームで行われる。予選は4チームずつ2リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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