美容皮膚科リゼクリニック・赤岩優妃医師

 各地の小中学校では夏休みに突入。長期の休みを利用して「美容医療を受けたい」と考える人の割合に実は10代が多数を占めているという。

【映像】赤岩医師が“家庭内メイクルール”を提案!

 美容医療の口コミ・予約アプリのトリビューの調査によると、「夏休みに受けたい美容医療の施術があるか」という問いに、回答者の半数以上が、「ある」と答えており、年代別にみると最もその割合が高かったのは10代(76%)で、約8割を占めている。

 低年齢化している美容への興味。その中から、まずは、小学生世代に「メイクへの興味」が広がる背景について、美容皮膚科リゼクリニック・赤岩優妃医師に話を聞いた。

「美意識が高い世代が親世代にいるのは、お子様にとっても要因の一つだと思う。またSNSが普及し、学校で会うお友達以外に、SNSで見た有名なインフルエンサーや同世代の女の子たちを見て、興味が広がっているのも一因」(美容皮膚科リゼクリニック・赤岩優妃医師、以下同)

 “メイクへの興味”が広がる一方で赤岩医師は、子どもの肌には注意すべきことがあると述べる。

「お子様の肌は大人と比べてすごく繊細で柔らかく、すごく薄いお肌のため、もし刺激を与えると炎症や腫れ、かゆみが出やすい。また、大人に比べてターンオーバーが正常に行われている分、傷になってしまった時の治りは早いが、もし本当に深刻な炎症や傷が起きたときの対処が、大人と比べて制約があるため、まずは起こさない心がけが重要」

 そして特に、目の周りには気を付けてほしいと強調する。

「目周りは他の皮膚に比べても、ティッシュの組織のようなすごく繊細で薄い組織のため、炎症を起こしてしまうと、目が腫れ上がったり、人によっては視力が落ちてしまったりするようなトラブルも生まれる。そのため、アイプチをはじめとしたアイテープや、アイライナーのような色素を目の近くに入れるようなものはすごく気を付けていただきたい」

 また、家庭内で何気なくやってしまいがちなことにも、注意が必要だという。

「大人用に作られた化粧品は、お子様のお肌を想定して作っていないため、使用したい場合はお子様用と書いてあるものが一番だが、アルコールや香料のような、刺激物になるものが少ないものを選び、お子様用に購入する方が安全かと思う」

「炎症や腫れ、かゆみが出たときに、お子様内で解決せず必ず大人に報告するようにお約束をしてほしい」

子どもの「脱毛したい」 どう判断する?

メイクや脱毛 子どもが「やりたい」と相談してきたら…

 続いて、肌の露出が多くなる時期になると気になる人も増える「脱毛」にも注目した。

 赤岩医師のクリニックの調査によると、小学生では半数近く、中学生では約7割が、方法を問わず「体毛処理をしたことがある」と回答した。

 しかし赤岩医師のクリニックでは、未成年、特に低年齢層の脱毛については、非常に慎重に判断すべき、という方針だという。

「例えば『毛がない方が自分らしい』などとお子様が願望の一つであれば応援したいが、例えば『みんながやってるから』、『人にからかわれた』など、他人が軸になっている理由であれば、大人が止めてあげなければならないと思っている。医療脱毛は良くも悪くもしっかりと結果が出るもので、将来的に『毛が欲しい』となったときに戻らないものであるため、いま始めることが良いのかも、大人が一緒に考えてあげたらと思う」

 また、一定のニーズがある現状では、信頼できる医療機関を見つけ、何かあったときには躊躇せず、相談することが大事だと強調する。

「ご家庭で行う場合、親御様とお子様だけの判断になってしまうため、もしトラブルが起きたときや、『この肌ならやらない方がいい』と判断をする立場の医師がいないため、脱毛する場合は専門機関の方が後々、良いと思う。ご家庭用の脱毛器を使っていても構わない。トラブルが出たら一度、相談してほしい」

子どもに相談されたら…? 専門家が解説

美容・医療ジャーナリストの海野由利子氏

 では実際に子どもから相談された場合に、親はどのように向き合えば良いのだろうか。

 美容・医療ジャーナリストの海野由利子氏は、「子どもは成長とともに骨格や脂肪の付き方が変化するため、思春期前の見た目を変えようとするのは早すぎる。なりたい顔や体型を含めた美の基準は時代によって変わる。子どもの時点で世の中の、しかも一部の流行に合わせて美容医療を受けることは個人的に反対だ。しかも現在は美容医療による合併症の問題が大きくなっている。安全性を高める具体策はこれから出てくるので、お子さんはどうか先走らないでほしい」と主張する。

 また親の対応については、「自分の顔やムダ毛の状態を認識し、こうだったらいいのにと気にするのは成長の現れ。改善策を医療に求める前に、親と一緒に化粧品や化粧品雑貨を試してみては。スキンケアや悩みを改善する美容法の知識を知ることも大切。思春期になっても悩みとして抱えているなら、形成外科医にまずは相談を。治療をするかしないかはそのあとゆっくり考えれば良いと思う」と見解を示した。(『ABEMAヒルズ』より)

「メイクをしたい」「脱毛したい」…子どもに相談されたらどう答えるべき? 専門医らが“リスク”と“親子の向き合い方”を解説