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 ソフトバンクは、量子コンピューティング技術の一種である「イジングマシン」を用いることで、基地局の設定を最適化。5Gの下りデータ通信速度を約10%、通信容量を最大50%向上させる実証実験に東京都内で成功したことを発表した。

 5Gでは複数の周波数帯の電波を同時に用いるキャリアアグリゲーション(CA)の活用により、高速かつ安定したデータ通信が可能になるが、都心部のように基地局が密集したエリアでは、多数の基地局からの電波が到達するため、基地局同士の関連付け(CAリンク)が大変複雑なことになる。

 また、基地局ごとにCAリンクを設定可能な上限数などもあることから、どのように設定すればCAが可能なエリアを最大化できるかは極めて複雑な計算が必要となる。

 今回の実証実験では都内のエリアを細かなメッシュに分けて、CAが利用可能なメッシュを最大化するCAリンクの組み合わせをイジングマシンで算出した(イジングマシンはこのような膨大な組み合わせの最適化問題に特化した技術)。

 この算出結果に基づいたCAリンク構成を実際の基地局に適用した結果、CAが利用可能なエリアが拡大し、下り通信速度が約10%向上するとともに、データ通信量も最大で50%増加したとする。ソフトバンクではこうしたネットワーク構成の最適化において、量子コンピューティング技術の活用を検討するとしている。

 
量子コンピューティング技術で基地局の組み合わせを最適化 ソフトバンクが通信速度を向上