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 7月20日にJR山手線で発生した出火事故を契機に、さまざまな場面でモバイルバッテリーの安全性が問われている。そんななか、これまでより発火しにくい構造の「準固体電池」を搭載した製品が注目を集めている。

期待の新技術「準固体電池」とは

 2025年7月現在、市販のモバイルバッテリーは「リチウムイオン電池」を搭載した製品が主流となっている。

 準固体電池はその改良型で、内部の電解質を従来の液体から半固体(ゲル状)に変更し、安全性を向上。従来型よりも以下の点が優れているとされる。

●発火しにくい構造

 液体電解質のリチウムイオン電池では、過充電などが原因で電池内部に発生したリチウムの結晶がショートを引き起こし、電池の発火や破裂といった事故に繋がることがある。

 一方、準固体のゲル状電解質の場合、リチウム結晶の成長が抑制され、液体電解質と比べてショート発生のリスクが低い。つまり、発火や破裂といった事故が起きにくいということだ。

 製品を展開する各社も、本体に釘を刺すテストの画像などを公開して、安全性をアピールしている。

●長寿命

 充電池は充電を重ねるほど劣化が進み、取り出せる電力が低下していく。

 準固体電池はこの現象に比較的強く、約2000回の充電サイクルに耐えることが可能。液体電解質のリチウムイオン電池(約300〜500回)と比べて、4倍以上の長寿命を誇る。

 価格は液体電解質のモバイルバッテリーより割高な傾向にあるが、長い目で見たときのコストパフォーマンスは、決して悪くない。

●動作温度の幅が広い

 一般的なモバイルバッテリーの動作温度は0度から45度程度で、暑さ寒さが厳しい環境では使えないこともある。

 一方、準固体電池の場合は製品により異なるが、概ね−20度から+60度の範囲で動作可能。夏の暑さにくわえて、冬の寒さにも対応できることが強みだ。

 7月29日現在、国内メーカーでは浜田電機とエアージェイの2社が、準固体電池を採用したモバイルバッテリーを展開中。容量はどちらも5000mAhと10000mAhの2種類で、価格は以下のとおり。

 各社の公式オンラインショップやAmazon.co.jp、全国の家電量販店などで購入可能だ。

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