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第2四半期は「過去最悪」に

テスラは、『モデルY』の安価な新バ-ジョンを発売する予定だ。過去最悪の四半期売上高の減少を受け、販売力の強化を図っている。

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1月、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏は、この夏までに「より手頃な価格のモデル」を発売すると発表した。これはまったく新しいモデルというよりも、ベストセラー車であるモデルYの装備を簡略化した仕様となるようだ。

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テスラ・モデルY

生産は8月か9月頃から開始される予定だ。

マスク氏は、モデル3などにも低価格バージョンを導入するかどうかについては言及していない。また、新しいモデルYの販売市場、販売目標台数、目標価格などの詳細も明らかにしていない。

現在のモデルの最安仕様は、英国では5万1990ポンド(約1030万円)から販売されている。

米国ではドナルド・トランプ大統領の排出ガス規制緩和策の一環として、7500ドル(約110万円)のEV購入補助金が廃止される予定で、テスラは販売促進に力を入れている。

テスラは2025年第2四半期に大幅な損失を計上した。同社にとって最も困難な時期となる見通しで、マスク氏はこの傾向は今後も続くと警告している。

第2四半期の純利益は11億7000万ドル(約1730億円)で、前年比16%減となった。テスラはその要因として、13%の売上高の減少、平均販売価格の引き下げ、および営業費用の増加を挙げている。

最も重要な点は、EVクレジットの収益だ。他の自動車メーカーが排出ガス規制の目標を達成するために購入するもので、テスラはこのクレジットからこれまで多大な利益を得ていたものの、2024年第2四半期以降51%(4億4100万ドル=約650億円)減少した。

これはトランプ大統領が米国におけるEV規制を緩和したことによるもので、自動車メーカーは特定のEV生産目標を達成する必要がなくなり、クレジットを購入しなくなったためだ。

2030年までに米国で販売される新車の50%をEVとするという、ジョー・バイデン大統領の法案は、今後数か月以内に失効する。

そのため、マスク氏は決算発表の記者会見で、「おそらく数四半期は厳しい状況になるでしょう。必ずそうなるとは言いませんが、その可能性はあるということです」と語った。

この発言を受け、同社の株価は7%下落した。

今年はテスラにとって厳しい1年だ。今年初めにモデルYの改良新型を発売したものの、中国市場(最大の市場の1つ)での関税問題や、マスク氏とトランプ氏との関係に起因する販売減少に直面している。

テスラは現在、他の主要モデルの開発計画がないようだが、マスク氏は楽観的な見方を示し、同社の自動運転技術(テキサス州で試験中のロボタシーサービスやサイバーキャブなど)からの収益に期待を寄せている。また、人形ロボットの開発にも多額の投資を行っている。

「来年の後半に大規模な自動運転を実現できれば、テスラの経済性が悪くなるとは考えられません」とマスク氏は述べた。


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