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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年7月スタートのテレビドラマ『19番目のカルテ』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
第1話の放送から、参議院選挙の開票特番を挟み、2週間ぶりの『19番目のカルテ』(TBS系)。
第2話を待っている間、初回にもう一度向き合ってみたくて、見返して改めて思った。
期間が空いたからといって、視聴意欲が削がれる作品ではない。
センセーショナルな描写はほとんどないし、繰り出される謎や伏線で視聴意欲を引っ張るタイプの作品でもない。
優しく、ひたすらに優しく、丁寧にとったお出汁のように疲れた心にしみいるこの作品は、日曜劇場の中ではおそらく異色だ。
従来の日曜劇場が描いてきた、明日からの一週間を奮い立たせる情熱ではなくて、淡々と支度を整えて、明日を待つような静けさを『19番目のカルテ』は持っている。
人生で避けて通れない生老病死の境界線を描く
舞台は、どの地方都市にもありそうな大きな病院の魚虎総合病院。
専門性の高いそれぞれの診療科に分かれ、医師たちは高いプロ意識を持って患者たちに接している。
そして、その高い専門性とプロ意識ゆえに、時に縦割りの弊害が起こる。
その魚虎総合病院に、総合診療医として徳重晃(松本潤)が赴任してくる。

専門を持たない彼の仕事は、丁寧な問診を経て、患者を最も適切な専門医につなぐこと。
新参者としてまだ他の医師やスタッフからは相手にされていない徳重だが、整形外科医の滝野みずき(小芝風花)は、徳重の問診を見て総合診療医の仕事に興味を持ち始めていた。

2話で患者の岡崎拓を演じるのは、今もっとも将来が楽しみな若手俳優のひとり、杉田雷麟。
心臓疾患の弟をケアするきょうだい児かつヤングケアラーで、弟の死後に心身のバランスを崩してしまう少年という難役を、前評判に違わぬ存在感で演じきった。

まだ荒削りで、時にいびつなほどの杉田の演技のエネルギーを、松本潤が受けに徹した盤石の懐の深さで受け止める。
問診の場面で、弟のことを語るほどに介護者だった拓自身の空虚が浮かび上がり、ともに闇をのぞき込むような杉田と松本のやりとりは見事だった。

今回のエピソードを通して、改めて『病』というものの輪郭について考えてしまう。
病気にかかった1人を看病・介護する家族の、心身のバランスの崩れをどう捉えるか。
まだ介護者が不調を自覚していないのなら、世の中の大半はそれを病気とは思わない。
だがおそらく徳重の目は、重篤な心臓病の少年の病と、それを支えるために奔走した家族の状況そのものを、大きな一つの病として捉えたのだと思う。

初回は病名のつかない症状とどう向き合うか、今回は1人の病気の周辺まで含めて、どう捉えるか。
このドラマは、誰もが人生で避けて通れない生老病死の境界線を静かに揺さぶってくる。

一つ、何げないが印象に残った場面がある。
徳重が猛暑の中を日傘をさして歩いている最中に、熱中症で朦朧とする拓と出会うシーンである。
この数年の猛暑で、男性が日傘を持ち歩くことは当たり前になりつつあるが、ドラマの中で男性が日傘をさして歩く場面はまだ見慣れないように思う。
倒れてしまった拓に、徳重は真っ先に傘をさしかけ、拓の顔が日陰になるように傘を置く。
雨の日に傘がなくてずぶ濡れになった誰かをいたわるように、猛暑の日には日傘をさしかける。
地味だけれど、令和らしい、フラットでいいシーンだと思った。

次回の患者のゲストは、津田健次郎と予告されている。
下咽頭がんを告知されるアナウンサーという役で、津田の美声は今やだれもが知るところでもあるし、あくまでフィクションと分かっていても緊張感のある展開になりそうだ。
淡々と問診する医者と、自らの価値観をさらけだして応じる患者という組み合わせは、サスペンスで対峙する刑事と犯人と同じくらい、それぞれの演技の絶好の見せ場なのではないかと思う。

次回の津田はもちろん、この先どんな魅力的なゲストが登場して、松本潤と演技のケミストリーを見せてくれるか楽しみだ。
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[文・構成/grape編集部]
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