現行カラーのオキサイドイエローの同形車(左)と並ぶアイスグリーンの600形電車(画像:西日本鉄道

酷暑にうだる日本列島に一服の清涼感を届けてくれそうなワンショット。いかにも涼しげなアイスグリーンの電車といえば、ご存じ九州私鉄の雄・西日本鉄道だ。

西鉄の別線に当たる貝塚線(貝塚~西鉄新宮11.0キロ)で2025年7月19日から、アイスグリーンの復刻塗装にお化粧直しされた600形電車(2両1編成)の営業運転が始まった。

1960年代から1970年代初頭にかけての西鉄を代表する600形電車(2代目)は、1962年に登場。全長19メートル、片側3ドア。特急から普通までオールラウンドの汎用(はんよう)電車として、西鉄福岡(天神)~大牟田の大牟田線(現・天神大牟田線)に新風を吹き込んだ。

1978年からは車体自動方向幕の採用やヘッドライトの位置変更といった車体改良にあわせ、初期のマルーン&ベージュの外装色をアイスグリーンに塗り替えた。

1990年からは宮地岳線(現・貝塚線)に転じ、車体カラーもオキサイドイエローに変更。しかし、デビューから60年近く経過して老朽化が目立つようになり、西鉄は現在、甘木線を走る2000年デビューの7050形電車に置き換えることにした。

西鉄は引退を前に、鉄道ファンのリクエストに応え、600形全盛期のアイスグリーンに復刻塗装してシャッターチャンスを提供する。

貝塚線で〝最後のお色直し〟を受けたのは606、656号車の2両。車内には、600形あゆみをたどるアーカイブ写真を2026年3月末まで展示する。西鉄はアイスグリーン電車を2027年8月ごろまで運行する。

記事:上里夏生