
1960年代までは『アメリカ』が多かった
創立間もない頃から1960年代までのフェラーリは、最大のマーケットだった『アメリカ』の名が与えられたモデルが数多く送り出された。しかし1970年代以降は、排気量と気筒数を組み合わせた車名が主流となってゆく。
【画像】文中に登場した地名が車名に採用されたフェラーリと最新モデル『アマルフィ』 全91枚
こうしたなか1996年に送り出された『550マラネロ』で地名を冠したモデル名が復活し、最新の『アマルフィ』まで受け継がれている。ここではアマルフィが日本初お披露目されたということで、近代の地名を冠した代表的な10台のフェラーリをご紹介しよう。
1996年:フェラーリ550マラネロ
フェラーリの12気筒ベルリネッタは、365GT/4 BBからミドシップが定番だったが、ルカ・ディ・モンテゼーモロ社長の決断により伝統のフロントエンジンに回帰する。
こうして誕生した『550マラネロ』はミドシップ以上の動力性能を実現し、フェラーリの本社所在地の名が与えられた。1966年に登場した365スパイダー・カリフォルニア以来となる地名を冠したモデルとなった。2002年にはF1マティックを採用した『575Mマラネロ』に進化する。
1999年:フェラーリ360モデナ
8気筒ベルリネッタは308GTBから原則的に、排気量と気筒数を組み合わせたモデル名が与えられてきた(F355を除く)。しかし、革新的な新時代の8気筒ベルリネッタとして1999年に送り出されたのが『360モデナ』である。
3.6Lの排気量を示す360に、フェラーリ発祥の地であるモデナの名を組み合わせたモデル名とされた。またフェラーリの本社所在地であるマラネロはモデナ県に属すため、歴史と地元に拘ったネーミングといえる。
2005年:フェラーリ・スーパーアメリカ
550バルケッタに続く559台限定のオープンモデルとして登場したのが『スーパーアメリカ』だ。1950年代に造られたラグジュアリーモデルの410/400スーパーアメリカの名が現代に復活したのである。
575Mマラネロをベースに、フィオラヴァンティがパテントを持つグラス製のルーフが回転して開閉するレヴォクロミコを備え、トップ部分は電気的に濃度を変えられた。エンジンは特別なモデルだけに25psアップした540psを発揮する。
2006年:フェラーリ599GTBフィオラノ
575Mマラネロの後継となる12気筒ベルリネッタとして2006年に送り出されたのが、『599GTBフィオラノ』である。550マラネロ、360モデナに続くフェラーリご当地ネーム3作目となった。フィオラーノは本社に隣接するテストコースがある場所で、マラネロの西に隣接する自治体だ。
日本ではGTBとフィオラノの名が既に意匠登録されていたため、モデル名は599として販売され、日本語版のカタログも車名は599となっていた。
2008年:フェラーリ・カリフォルニア
モンディアル・カブリオレ以来の8気筒オープンモデルとして2008年に発表されたのが『カリフォルニア』。往年の名車250GTスパイダー・カリフォルニアの名が現代に復活した。
新たな顧客を獲得するため扱い易いフロントエンジンレイアウトとされ、対候性に優れるリトラクタブルハードトップを採用。当初F430譲りの4297cc自然吸気エンジンだったが、2014年に3855ccターボエンジンを積むカリフォルニアTへと進化する。
2009年:フェラーリ458イタリア
F430に続く新型8気筒ベルリネッタとして2009年に発表されたのが『458イタリア』である。マラネロ、モデナ、フィオラーノに続き、大胆にも国名のイタリアがモデル名に採用された。
イタリアならではのデザイン性、テクノロジー、情熱を意味する名として、モンテゼーモロ社長が決定したという。フェラーリの8気筒ベルリネッタにおいて最後となる自然吸気モデルで、エキゾーストノートの美しさから現在も高い人気を誇る。
2017年:フェラーリ・ポルトフィーノ
カリフォルニアTに替わる8気筒2+2オープンモデルとして2017年に登場したのが『ポルトフィーノ』だ。車名はイタリア国内にこだわり、リビエラの高級リゾート地として知られるポルトフィーノを採用。フェラーリならではのパフォーマンスに加え日常で使える実用性と快適性を併せ持つ。
2020年に20psパワーアップしたエンジンと8速DCTギアボックスなどのアップデートが施された、『ポルトフィーノM』(Mはモディフィカータを意味)に進化する。
2018年:フェラーリ・モンツァSP1/SP2
フェラーリの歴史の中で象徴的な車両をモチーフとし、特別な顧客に向けた新たな限定シリーズがイーコナである。その第一作は1950年代に活躍した750モンツァをオマージュした『モンツァSP1/SP2』だ。
車名はイタリアを代表するサーキットのモンツァが由来。ひとり乗りのSP1とふたり乗りのSP2の2タイプを用意。812スーパーファストのコンポーネンツを基に開発され、エンジンは吸気系の改善により10ps高めた810psを発揮する。
2019年フェラーリ・ローマ
フェラーリにとって空白だった、8気筒フロントエンジン2+クーペのカテゴリーに投入されたのがローマである。1950~60年代のローマを特徴付ける『ドルチェ・ビータ』と呼ばれる気ままで楽しい生活スタイルをコンセプトとし、首都ローマの名が与えられた。
スタイリングはスポーティなエレガンスをコンセプトとし、シンプルなラインで構成。ポルトフィーノで実績のあるV8ターボエンジンは620psにパワーアップして搭載した。
2021年フェラーリ・デイトナSP3
イーコナ・シリーズの第2弾として製作されたのが『デイトナSP3』だ。1967年のデイトナ24時間レースで1-2-3フィニッシュを決めた330P3/4とP4、412Pにオマージュを捧げたモデルとなる。
330P3/4のエッセンスを取り入れたスタイリングは、最新のテクノロジーで製作されマニアックな仕上りを見せる。機構的にはF1直系のカーボン・コンポジット製のタブに840psを発揮するV12エンジンを結合する最先端の技術で構成される。
資料:地名が車名に採用されたフェラーリ
1951年:340アメリカ
1952年:340メキシコ
1952年:340アメリカ
1953年:250エウローパ
1953年:375アメリカ
1954年:250エウローパGT
1954年:250モンツァ
1954年:750モンツァ
1955年:860モンツァ
1955年:410スーパーアメリカ
1957年:250GT LWBカリフォルニア・スパイダー
1959年:400スーパーアメリカ
1960年:250GT SWBカリフォルニア・スパイダー
1963年:330アメリカ
1966年:365スパイダー・カリフォルニア
1996年:550マラネロ
1999年:360モデナ
2002年:575Mマラネロ
2004年:スーパーアメリカ
2006年:599GTBフィオラノ(日本名は599)
2008年:カリフォルニア
2009年:458イタリア
2011年:スーパーアメリカ45
2014年:カリフォルニアT
2014年:F60アメリカ
2017年:ポルトフィーノ
2018年:モンツァSP1/SP2
2019年:ローマ
2020年:ポルトフィーノM
2021年:デイトナSP3
2025年:アマルフィ

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