R34GT-RかGDBインプレッサかランエボIXか? 当時の国産最強の4WDターボマシンはどれか論争を考える!

この記事をまとめると

19902000年代は電子制御4WDターボエンジンの国産スポーツが絶頂期だった

■R34GT-RとGDBインプランエボⅨのノーマルでの速さを再検証してみた

■ノーマルで一番パフォーマンスがあったクルマを選ぶならランエボⅨと考えるのが妥当だ

よーいドンさせたらノーマルだとどれが1番速いか?

 1990年代から2000年代にかけて、国産スポーツカーは絶頂期だったといえる。なかでも特筆できたのは、GT-Rに代表される電子制御4WDターボエンジンというパッケージ。グループAスーパー耐久で活躍したGT-Rに加え、もともとWRCなどのラリーフィールドで世界を制したスバルインプレッサと、三菱のランサーエボリューションが、ターマック=サーキットでもどんどん好タイムを更新。

全日本ツーリングカー選手権GrAのスカイラインGT-R

 チューニングカーとなると、筑波最速はGT-Rではなく、インプランエボのほうが速いぐらいに! ただし、最高速ではエンジンの排気量が大きいGT-Rが圧倒的に有利。

 でも、ノーマルで本当に速かったのはどのクルマだったのか? R34GT-RとGDBインプ、そしてランエボⅨのノーマルでの速さを再検証してみよう。

 まずは気になるサーキットでのラップタイムから。カートップ本誌が行っていた筑波サーキットタイムアタックのタイムを比較してみると、R34GT-RのVスペックのベストタイムが1分04秒55。インプレッサのSTIスペックCタイプRA-Rが1分04秒72。ランエボⅨのGTが1分04秒88。日付やその他の条件が同一ではないので、厳密な比較にはならないが、一応こういう順位になっている。

日産スカイラインGT−R Vスペックの走行シーン

 その他、客観的なデータを比較してみると、パワーウエイトレシオは、280馬力時代なので車重で決まる。R34が1560㎏、インプのG型のスペックCが1390㎏、エボⅨのGSR1420㎏(RSは1320㎏)。

 つまり、パワーウエイトレシオのランキングは、インプが4.96でトップ、エボⅨが5.07、R34は5.57。パワートルクレシオでも、インプが32.3、ランエボが34.8、R34が39.0と変わらず、2リッターターボなのに、43.0㎏-mのトルクを誇るインプの力強さが光る。

 タイヤサイズは、R34が245/40ZR18インプスペックCとエボⅨが235/45R17で、R34がワンサイズ大きい。

トータルバランスでランエボIXがやや有利か

 空力はR34のCd値が0.35、ランエボインプは正確な数字が手もとにないが、エボはエボⅣ時代にCd値0.30を達成。GDBはおそらく0.36前後だろうが、R34は1998年デビューにもかかわらず、180km/h時にー20kgのリフトフォースが得られる空力ボディだったのが強味。

日産スカイラインGT−R Vスペックのフロントスタイリング

 ホイールベース:トレッド比も見ておくと、R34は1.79、エボが1.73、インプが1.70。どれもセダンベースなので、それほど数字は小さくないが、機動性のよさはインプとなる。

 ただ、この3台を横並びで比べるのは難しい。

 R34は1998年のデビューで改造範囲が極めて狭いスーパー耐久でも2003年までは絶対王者の存在だったし、インプの鷹目(F型)とエボⅨは、R34がS耐から退役したあとの2005年のデビュー。そのエボⅨは2007年、スーパー耐久で全戦クラス優勝を達成し、とくに開幕戦では総合優勝した実績もある。インプも2002年と2005年はスーパー耐久チャンピオン

スバル・インプレッサWRXのフロントスタイリング

 ハイパワー4WDの命ともいえる、電子制御がもっともポジティブだったのは、間違いなくランエボ

 スペック的にはインプアドバンテージがあるともいえるが、ボディ、空力、ターボチャージャーブレーキ、そして4WD制御といったトータルでいえば、当時、もっとも進んでいたのはランエボⅨだ。

三菱ランサーエボリューションIXのフロントスタイリング

 この3台のなかから、ノーマルで一番パフォーマンスがあったクルマを無理やり選ぶなら、ランエボⅨと考えるのが妥当だろう。

R34GT-RかGDBインプレッサかランエボIXか? 当時の国産最強の4WDターボマシンはどれか論争を考える!