
ゲームの開発や産業を支援するNPO団体である国際ゲーム開発者協会(IGDA)は7月30日、「Statement on Game De-Listings(ゲームの削除に関する声明)」と題したプレスリリースを発表した。海外メディアVGCやgamesrader+などが報じている。
今回発表された声明は、ゲーム販売プラットフォームであるSteamやitch.ioからクレジットカード業者による圧力があったとして多数の成人向けゲームが削除・または検索結果から除外されたという一連の出来事を受けてのものである。7月中旬から各種メディアやSNSにて話題となっており、権利団体からの圧力もあったとして物議をかもしていた。
今回、その出来事に関してIGDAからの意見の表明がなされたという形だ。なお、本記事執筆時点でIGDAの公式サイトにはアクセスできない状況となっている。
権利団体による決済業者への働きかけでSteamとitch.ioから成人向けゲームが削除
これまでの流れとしては、まず7月16日にSteamにて決済代行業者らの基準に反する作品を禁止するというガイドラインが設定され、それに反する多くのゲームが削除されていた。ここで特に問題とされていたのは「特定のジャンル」の成人向けゲームであった。
また、itch.ioも7月24日に声明を公開。NSFW(Not Safe for Workの略。アダルトや暴力など、公の場での閲覧に適さないコンテンツ)作品を検索結果から除外したと発表した。この声明では発端となったのが『No Mercy』というゲームであることや「Collective Shout」という権利団体がSteamとitch.ioのコンテンツについての懸念を決済業者に訴えていたということが説明されている。
そして、上記の声明に7月28日に追加された文面でitch.ioは購入したゲームは引き続き利用可能であるとの方針やStripeやPayPalなどの決済業者の判断を待っている状況であること、成人向けコンテンツを許容できる他の決済業者に連絡を取っていることなどを説明している。
その後、「Collective Shout」の公式サイトでは7月28日付の投稿で今回の出来事の経緯が説明されている。それによると、まず決済業者に接触したのはSteamが要求を無視し続けたためであるとのこと。また、itch.ioはすべてのNSFW作品を除外したと発表したが、Collective Shout側が問題視するのは性的暴行や拷問を題材とした作品であると説明されている。
IGDAが公式声明を発表。成人向けゲームの取り扱いについて透明性と公平さを求める
そして7月30日、IGDAより今回の声明が発表された。IGDAは「主要なプラットフォームにおける成人向けゲームの取り扱いについて透明性と公平さを求める」としている。
The IGDA is calling for greater transparency and fairness in how adult games are moderated and actioned across major platforms.
— International Game Developers Association (@IGDA) July 29, 2025
➡️Read the full statement: https://t.co/Xb7p0jpdrA pic.twitter.com/hQkqnHIAbw
VGCの記事によれば、IGDAはSteamやitch.ioにおける成人向けゲーム削除や決済の混乱について「深く問題視している」とのこと。これらの出来事が影響を受けた開発者とのコミュニケーションなしに行われたことに懸念を示している。
また、プラットフォーム側がゲームを規制することは珍しくないが、ここで問題視しているのはルールの存在ではなく、それらのルールが規制に該当しないゲームまでにも、多くの場合警告や説明なしに影響を与えてしまうことであるという。ルールが曖昧または過度に敏感であると、開発者の声が無視されたり、リスクを恐れて自己規制に追い込まれたりしてしまうのだと説明した。
そのほか、VisaやMastercardなどの決済業者がプラットフォームに圧力をかけることで透明性や責任なしにゲームのストーリーや販売に影響を与えられることについて批判している。
なお、IGDAは今回の声明で求めているのはあくまで「透明性のある一貫したポリシー」であり「性的暴行や不同意の性行為、未成年の性的対象化を助長するコンテンツを容認または支持するものではない」としている。
IGDAによる声明はこちらVGCによる記事はこちら
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