カムチャツカ半島付近で地震、津波も

 午前8時25分ごろ、カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード8.7の地震が発生した。日本でも北海道青森県大阪府など主に太平洋側の広い地域に津波警報が出され、各地では実際に津波が観測されている。東北大学災害科学国際研究所・今村文彦教授は「遠地津波は最大波が遅れてくる」「短時間で終わる避難ではない」と現状を説明した。

【映像】日本各地で津波警報 カムチャツカ半島では大きな津波も

マグニチュード8.7の地震があり北海道千葉県など広い地域に津波警報が出されている。注意すべきこと、今後の予測は。

 今村氏 カムチャツカという少し遠いところから来た津波は遠地津波といい、特徴としては最大波が遅れて来る。今1波、2波と継続しているが、一番大きなものは後から来る。もう1つの特徴は津波の周期だ。水面が上がったり下がったりが繰り返されるが、それが非常に長く、1時間以上かかる。その場合、見た目よりも津波の流れが強い。まるで洪水が海から押し寄せるような形だ。

マグニチュードは8.0から8.7に引き上げられた。地震のパワーはどのくらい違うのか。

 今村氏 8.0から8.7に変わると、エネルギーとしては数十倍になる。かつ今回は地震が発生した深さが20キロ弱と非常に浅い。地震の規模も大きくなり、浅いところで起きた分、海底の変化や隆起、沈降が大きくなるので、津波を巨大化させる要因の一つになる。

―津波の到達時刻は前後するものか。

 今村氏 (気象庁に)海底の地形のデータが入り津波到達を推定しているが、実際の場合と地震の位置などが変わると、(到達)時間も変化する。今のところ予想よりも若干遅いことが多いが、逆に早いところも当然出てくるので、あくまで目安にしていただきたい。

―直近では、カムチャツカ半島付近でマグニチュード7.0の地震が20日に起きていた。

 今村氏 もともとこのエリアは地震が。今回の少し前に起きたというのは、言わば前震の状況だ。東日本大震災から14年が経つが、日本周辺の付近での地震活動は活発化していると考えている。

1952年にもカムチャツカでは同様の地震が起きた。

 今村氏 まだ100年(前)弱だが、(今回より)少し大きなマグニチュード9.0で津波も発生し、日本にも1メートルから3メートルの津波を記録して、被害も出た。

―この影響はいつまで続くのか。

 今村氏 正確なところはわからないが、少なくとも半日以上は続く。例えば東日本大震災の場合は、注意報が解除されるまで1日半かかった。これは太平洋の各地で津波が伝播したり、また一部反射して戻ってくるからだ。

津波注意報は西日本の太平洋側に出ているが警報に変わる可能性もあるのか。

 今村氏 警報などのレベルは変わる場合がある。能登半島地震も途中で警報から大津波警報にも変わった。

―改めて気をつけないければいけないのはどのような点か。

 今村氏 今現在、非常に猛暑でもある。避難されている方は、熱中症等注意していただきたい。短時間で終わる避難ではない。しっかりとした熱中症対策、出来るだけ日陰を用意する。また、状況によっては今いる避難場所からさらに高いところなどに移動していただく必要もある。
(『ABEMAヒルズ』より)
 

「短時間で終わる避難ではない」カムチャツカ半島付近でM8.7の地震 太平洋沿岸に津波警報、観測も 専門家「遠地津波は最大波が遅れてくる」