
都内のIT企業に務めている小林博美さん(仮名・20代)も、デート中に判明した恋人の嫌な一面を前に、即座に別れを選んだという。別れたてほやほや、先月の話を聞いてみよう。
◆“ゴルフ好き合コン”で良い出会いが
「最近、若い女性の間でもゴルフが流行りだしていて、私も興味を持つようになっていました。そんな時、同僚がゴルフ好きな人が集まる合コンを開いてくれたんです。その合コンで知り合ったのが、3歳年上のAさんでした。
Aさんのゴルフ歴は5年ほどとそう長いわけではないのですが、営業職らしく接待で行くことも多いそうで、かなりの腕前だと聞いていました。実際の合コンでもすぐに意気投合し、それから何度か2人きりで食事に行き、トントン拍子で交際をスタートすることになったんです」
Aさんは、誰もが知る大手企業に務めるサラリーマン。社会的な安定感があり、懐に余裕もありそうなばかりか、しかも優しかった。そんな好条件の男性との交際は順調で、小林さんは真剣にAさんとの結婚を意識していたそうだ。
「ゴルフを始めたいという私に、誕生日だからと10万円以上するセットをさらっと買ってくれました。それもただ財布を出すというのではなく、何回もゴルフショップに付き合ってくれたんです。
一生懸命に選んでくれていることが伝わってきて、それがなによりうれしくて。普段の行動や発言でも節々から思いやりが感じられて、交際してから3カ月ほどしか経っていなかったにもかかわらず、早くも結婚したいと思うようになっていました」
◆初ラウンドが“最後のデート”に?
理想的な彼氏にゴルフセットを買ってもらい、念願のコースデビューももちろん彼とのデートとなる。小林さんの胸が高鳴るのも当然だろう。
「初ラウンドを迎えたのは、交際から半年が過ぎてからだったんです。というのも、まずは打ちっ放しでAさんからみっちりレッスンを受けていて(笑)。なんとかボールが打てるようになって、『これならラウンドも回れるだろう』とAさんから合格をもらい、やっと2人でゴルフ場に行くことになりました。
場所はAさん行きつけの千葉県にあるゴルフ場。自然が豊かできれいなコースでした。私は初ラウンドで緊張していたものの、いつものようにAさんがリードしてくれるだろうとの安心感もあったんです。なのにまさか、その日がAさんとの最後のデートになってしまいました……」
◆手当たり次第に悪態をつき始めた
これまで問題らしい問題はなにひとつ起こらなかった交際。もはや心配事などなかった小林さんだが、ゴルフ場で一気に幻滅してしまったそうだ。
「週末に行ったからか、すごく混んでいて、常に2~3組が詰まっているような調子でした。その混雑にAさんはイライラしているようでしたが、これまでは一度もそんな姿を見たことがなく、動揺してしまいました。
そんな緊張からか、私は練習の成果を全然発揮できず、ミスショットを連発。Aさんも私に影響されてしまったのか、指導してくれているときのようなキレを失っているようでした。
ミスばかりの2人に、混雑。カートの中でも微妙な空気になってしまいました。なんとか盛り上げようとしたのですが、Aさんは『前の組が下手だからスムーズに回れない』などと、手当たり次第に悪態をつき始めたんです。それで私もさらに萎縮してしまって……。最悪なコースデビューだったとしか言えません」
◆ゴルフなんて二度としたくないと思った
ゴルフに行くとその人の性格がよくわかるというが、この日はAさんの短気で怒りっぽい性格が露見してしまった形になった。
「ハーフを終え、昼食を食べるも、相変わらず会話はぎこちないまま。緊張と不安、驚愕から、私はつい泣き出してしまったんです。涙を流す私を見てAさんは、『泣いてうまくなるわけじゃないんだから、集中して頑張らないともったいない』と、説教モードに突入して、くどくど言ってきました。
後半のラウンドでも、Aさんのイライラは落ち着くどころか、さらに悪化して。ミスショットをすると、地面にゴルフクラブを叩きつけては大暴れしていましたね。結局、楽しい瞬間が一度もないまま終了して、私はゴルフなんて二度としたくないと思ってしまったほどでした」
◯◯を握ると豹変する——。Aさんはまさにそうしたタイプだった。ただしハンドルではなく、ゴルフクラブ限定で。
◆帰りの車内で謝罪されたものの……
「帰りの車の中では、冷静さを取り戻したようで、普段の優しいAさんに戻っていました。何度も繰り返し謝罪されたのですが、コロコロ様子が180度変わることがもう怖いじゃないですか。
このまま結婚したところで、DVあるいはモラハラが待っているだけなんじゃないかと、彼に対して警戒心しかなくなってしまっていました。もはや交際を続けるだけでも怖く感じてしまって、その日の夜に電話で別れを告げました。
が、後悔はまったくありません。結婚前にそうした悪癖があることを知れた上で、悩まず別れを選べた自分をむしろ褒めたいくらいですね」
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長く交際を続けたところで、恋人のすべてを知れるとは限らない。どれだけ注意して観察したつもりでも、結婚後に相手が豹変し、さまざまな暴力を振るってくるというケースはひどい話であれども、いくらでも存在する。
そうした最悪の事態に巻き込まれる前に、早々に相手の本性を見ることができた小林さんはラッキーだったといえよう。結婚を決める前の試金石のひとつとして、ゴルフデートに誘うのが賢い策であると、“流行”する日も近いかも?
<TEXT/高橋マナブ>
【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている

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