「古来より伝わる秘技」──。

マクドナルドが7月27日、そんな一文とともに公式アカウントのXに投稿した写真に多くの反応が寄せられている。

投稿はマクドナルドの人気商品であるチキンナゲットの割引きキャンペーンを宣伝するものだが、添付された写真には「(秘)ナゲットゲットテクニック」「あっUFO飛んでる!」と書かれ、相手がよそ見をする間にチキンナゲットをつまみ食いする様子が「再現CG」として描かれている。

これに対し、人気芸人の見取り図の盛山さんが「マクドナルドさん、私これ得意です」と応答すると、4000以上リポストされた。

他にも、「これガチでやめとけマックで友達にやってバカ喧嘩した」「犯罪めいた再現VTRみたいw」などの書き込みが寄せられている。

もし実際の生活で「ナゲットゲットテクニック」を実行した場合、犯罪になる可能性はあるのか。西口竜司弁護士に聞いた。

●窃盗にあたる可能性

──よそ見している相手のチキンナゲットを盗み食いする行為には、どんな法的問題がある?

古典的なネタですね。子どもの頃、引っ掛かった記憶があります。そのときは友人からネタばれがあって「やられた」と笑い飛ばした記憶があります。

相手のチキンナゲットを無断で食べる行為は、刑法235条に定める「窃盗罪」に該当する可能性があります。

同条は「他人の財物を窃取した者は、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する」と規定しており、食べ物も「財物」に該当します。

したがって、相手がよそ見をしている間に無断でナゲットを取って食べれば、「他人の占有を侵害して財物を自己または第三者の支配下に移す行為」として窃盗となり得ます。

●家族や友人との間では立件されないケースがほとんど

──家族や友だちとの間でも問題?

家族や友人との間でのこうした行為は、「被害の意思(被害感情)」が乏しく、刑事的な処罰を求めないことが多いため、実際には犯罪として立件されない場合がほとんどです(刑法244条1項に基づく親族相盗例が適用されることもあります)。

また、「冗談」や「日常的なやり取り」と評価されることもあり、可罰的違法性が否定される余地もあります。

●なぜ詐欺ではない?

──詐欺にはならない?

詐欺罪(刑法246条)が成立するには、欺罔(ぎもう)行為によって相手を誤信させ、財物を交付させる必要がありますが、本件は財物を交付させるための欺罔とはいえず、よそ見をさせて隙を作ったにすぎず、「こっそり」盗んでいるため、欺罔による財物の交付がなく、詐欺罪には該当しません。

よって、詐欺ではなく窃盗が問題となるのです。

似たようなものをTikTok等で見かけますが、人の嫌がるようなことは止めましょうね。UFOって言って本当に飛んでたらビビりますけど。

【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。Xリーグ選手でもある。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/

「あっUFO!」で、友達のナゲットつまみ食い マックの“秘技”、ほんとにやったら犯罪?